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カレーのネクストステージはビリヤニ
みなさんはビリヤニという食べ物をご存知だろうか。ビリヤニとは、インド料理版炊き込みご飯である。ルーとご飯が分かれている、あのお馴染みのカレーとは別物だ。
私は今、カレーの街と言われる場所に、縁あって住んでいる。
この街に住み、全カレー業界を網羅したんじゃないかと思われるほど、いろんなカレーを食べた。
インドカレー、スリランカカレー、欧風カレー、スパイシーカレー、中華料理屋のカレー、あらゆるカレーを食べ、カレー舌経験値を着実に上げていた。
そんなある日、早朝に娘と公園で遊んでいると、一人の東南アジア系の男性が、私たちに近づいてきた。
男性は一度も会ったことがないのに「オハヨーゴザイマス」と片言で話しかけてきた。私が挨拶を返すと「ムスメ、カワイイね。ナンサイ?」と軽快に会話を展開してきた。
私は、戸惑いを隠しきれないまま、会話を続けていると「ワタシ、チカクデ、ビリヤニヤヤッテル」と言われ、それを証明するかの如く、お店のチラシを渡された。
その時、ビリヤニを知らなかった私は「ビリヤニって何?カレー?」と聞くと、即座に「カレーじゃない」と否定された。
この「カレーじゃない」という言葉だけは、片言じゃないことに驚いた。きっと何回も同じ質問をされているんだろうなと勝手に納得した。
私は得体の知れない「ビリヤニ」という食べ物について、次第に興味が湧き、いくつか質問した。しかし、帰ってくる返答が「カレーより美味しい」、「カレーより辛くない」、「カレーより食べやすい」など、すべてカレーを意識しているものだった。どんだけカレー意識してんだよ、と思いながらも、なんとなくカレー寄りのものなんだろうなと想像した。
場所を聞くと、家の近所だったので、今度行くよというと「サラダを合わせると10円引き」という、得なんだか、損してるんだかわからないサービス券をくれた。
後日、テイクアウトで食べてみようと思い、店に行くと、例の店主がおり「オオメニ、イレトイタヨ」といってくれた。
ちなみにもらった微妙な割引券は使わなかった。
家に帰って中身を見てみると、超大盛のカレー風味の炊き込みご飯っぽいものに、骨付きの鶏肉やら色々乗っていた。
食べてみると、カレーとは一味違う独特のスパイスの利き方をしており、これまたクセになる味で、めちゃくちゃ美味しかった。
これを食べて、私のカレー舌経験値は格段に上がった。カレー舌の進化さえ感じた。
例えるなら、ポケモンのイーブイが、経験値を得て、シャワーズやサンダースに進化した感覚と似ていた。
カレーの経験値を上げ続けたら、カレーの強い盤になっていくのではなく、ビリヤニという全く違う形に進化した。
これは、私が様々なカレーを食べ続け、カレー舌経験値を上げてきたからこそ、次のステージとして、ビリヤニに出会い、そのトリガーとして、公園であの怪しい店主が出現した。店主がジムリーダーだったのだ。出会っちゃったら、逃げるボタン効かないやつ。
ビリヤニの次のステージは何が待っているんだろう。そして次はどんなジムリーダーが待ってるんだ?
ひとまず、本ターンはビリヤニで経験値を上げることとする。乞うご期待。