書評「プログラマーのためのVisual Studio Codeの教科書」
先日、株式会社マイナビ出版さまより「プログラマーのためのVisual Studio Codeの教科書(以下、本書)」を送って頂きましたのでレビューします。
「教科書」を銘打つだけあって、初めて使う人から使い慣れた人までを対象に、VS Codeの幅広い機能をカバーする内容になっています。「拡張機能の"開発"」に150ページも割かれているかと思えばプログラムを書かずテキストエディタとして使うという章が始まるなど、多彩な内容です。
本書の発売は2020年5月。VS Codeはおそらく発売数ヶ月前のバージョン1.42あたりをベースに執筆されていると思います。この書評執筆時(2020年7月)はとくに問題はありませんが、VS Codeは機能追加・開発のスピードがとても早いため、時が経ってから読む場合には注意が必要かもしれません。
本書はすべてを読む必要は無く、必要な所や面白そうなところをかいつまんで読めば良いように構成されています。裏を返せば、400ページ超という分厚さに反して本書の内容すみずみまですべてが対象読者みんなにとって役に立つ内容かと言われれば、そうではないのが難点かもしれません。
本書では多くのショートカットキーが紹介されていますが、私はショートカットキーを覚えるのが嫌いでVS Codeを使う上で覚えるべきショートカットキーは「Ctrl+Shift+P」のひとつだけで良いと思っていますので、そういう点ではちょっと合わなかったなとも思っています。(これは私の使い方が特殊かもしれませんが)
なお、Windows/Mac両方のショートカットキーが併記されている(Linuxは明記されていませんがWinとだいたい一緒です)など、VS Codeを使うすべての人にとって役に立つように配慮して書かれています。
VS Code自体を学習したいなら、本書を片手にTypeScriptで開発してみよう
VS Codeは様々なプログラミング言語で使うことができます。しかしVS Code自体がTypeScriptで開発されていて言語が内蔵されている事もあり、TypeScript開発のサポートは拡張機能なしのバニラ状態でも非常に強力です。IntelliSence、CodeLensといったVS Codeの機能を、とくに拡張機能の準備等もすることなく最初からフルで体験できます。具体的にどんな事できるかは本書内で説明されています。
たとえばTypeScriptではCodeLensの参照数表示が可能で、これがデフォルトでOFFになっているのは本書を読むまで知りませんでした。ONにすると、こんな感じで関数の参照回数が表示できます。
リファクタリング機能による関数抽出など細かい機能も紹介されていました。
もちろん好きなプログラミング言語があればそれを使うのがいちばん良いのですが、もし言語に強いこだわりが無くてVS Code自体を学習したいならば、本書を片手にTypeScriptを使ってみるのがおすすめです。おもに本書のChapter 4が参考になると思います。
VS Codeをテキストエディタとして使おう
本書の後半Chapter 14には「VS Codeによるドキュメント作成」と題して、MarkdownやUML等の拡張機能の利用方法が紹介されています。
VS Codeには自動保存など普通のテキストエディタとして使う場合にも便利な機能がいくつかあります。実際、私がVS Codeで最も多く書いているのはMarkdownファイルかもしれないくらいです。なのでVS Codeの使い方としてこのような章がひとつ設けられているのも納得です。本書のタイトルは「プログラマーのため」と冠しているものの、この章はプログラマーでなくとも役に立つ内容になっています。
なお本書では触れられていなかったのですが、テキストエディタとして使うときは他のいろいろな機能が不要になるので、個人的にはZen Modeにして使うのがおすすめです。コマンドパレットで`>View: Toggle Zen Mode`コマンドを打つとZen Modeに切り替わります。私は`"zenMode.fullScreen": false`の設定も入れて、ウィンドウモードのままZen Modeにできるようにしています。
Zen Modeにすると、上記のようにVS Codeがメモ帳のようにシンプルな見た目になります。サイドバイサイドプレビュー等が必要になっても、Zen Modeのままコマンドパレットから有効化できます。
拡張機能紹介
VS Codeの特徴といえば豊富な拡張機能、という人もいるのではないでしょうか。本書には本書専用のGitHub Organizationが用意されており、ここからサンプルコード等が入手できます。なかでもvscode-textbook/favorite-extensionsリポジトリは本書巻末の「お勧め拡張機能一覧」がほとんどそのまま掲載されています。
しかも書面とは違いカラーでのスクリーンショットや紹介Gitアニメが付いており、たとえばBracket Pair Colorizerなどの拡張機能はその良さが本書以上によく伝わるようになっています。本書をすでに購入した方でも必見です。
参考リンク
・プログラマーのためのVisual Studio Codeの教科書 | マイナビブックス
・Visual Studio Code
・画像の出典: Pankaj Patel on Unsplash
本書はTypeScript Meetup # 4のセッション「Azure Static Web Apps と Visual Studio Codespaces で快適な TypeScript 環境を構築する」のプレゼント企画で送って頂きました。改めて、ありがとうございました。
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