熱を帯びる
人はなぜ、鍋焼きうどん(いろいろ含めた総称、として)に心惹かれるのだろうか。
学生時代、住んでいた京都で通いなれたうどん屋さんがあった。
いろんなうどんを食べた。
うどん屋だけど、ざるそば好きの自分はきっとざるそばを食べているはず。
でも、記憶に残っているのはなぜか「鍋焼きうどん」。
調理器具である鍋から直接食べるという何かしらの特別感、具沢山で楽しい見た目や味、目も眼鏡も曇らせる立ち上る湯気、吸いこまれるようなだしの香り…
数えだしたらきりがない魅力にあふれている。
でも、一番の魅力は「熱せられた器」ではないだろうか。
アルミ鍋もいい、大好きだ。
でも、それより熱伝導率が悪いために
長く長く火にかけられて、一旦熱すれば冷めにくい陶器の鍋の中ですでに十分に煮込まれたはずの具材やうどんが目の前で変化する。
その器に帯びた熱がそうさせている。
その器に帯びた熱が、心を震わせている。
そこに人は惹かれていると思っている。
2024.4.20-4.21
富山市総合体育館で感じた熱は間違いなく、それと同じ熱だったように思う。
富山グラウジーズvs信州ブレイブウォリアーズ
B1の下位を争うチーム同士の試合。
順位表のままで言えば、そう。
しかしながら、両日会場を埋めた
真っ赤な富山グラウジーズのブースター、
アウェイ側の観客席を黄色に染めた、
信州ブレイブウォリアーズのブースターから
発せられる声援に、「応援するチームの会場がこんな風だったら本当にいいな」と心から思った。
そんな人たちが応援するからこそ、
勝利を手繰り寄せるラストショットを外したチームがまるで勝ったチームかと思うぐらい盛り上がって悔しがり、それによって勝ったチームの選手がまるで敗北したチームのように疲れ果てて膝に手をつくシーンが観れたのだと思う。
バスケを、チームを愛するひとたちが長い時間をかけて応援を続けたからこそ、富山市総合体育館は大きな熱を帯びている。
そんな会場で観るから楽しいんだ。
だから毎回行くのが楽しみなんだ。
富山に行き始めて4.5年経ったのかな?
今更だけど、そんなことに気づいた。
来シーズンも、その先も僕は行くだろう。
より強く、何があっても簡単には冷めない
熱を帯びた会場に。