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「どうして今さらハンセン病について学ぶのですか?」に答える(2)

昨日の記事の続きです。

生徒たちは正しい情報を得ることの大切さを学びましたが、現実はどうでしょうか。

新型コロナウイルスに感染した人や家族、医療従事者らが、いわれなき差別や中傷を受ける事例がインターネット上で次々と表面化している、といいます。

いわれなき差別や中傷「思いやりをコロナウイルスに奪われないように」
https://this.kiji.is/633496272948790369
2020/5/14 11:16 (JST)
©株式会社神戸新聞社
同志社大教授で世界人権問題研究センター所長の坂元茂樹氏
 新型コロナウイルスに感染した人や家族、医療従事者らが、いわれなき差別や中傷を受ける事例がインターネット上で次々と表面化している。同志社大教授で世界人権問題研究センター(京都市)所長の坂元茂樹氏(国際法)は、ハンセン病患者への差別撤廃に取り組んできた経験を踏まえ「私たちは、互いを思いやれる社会を、コロナウイルスによって奪われないよう行動すべきだ」と訴える。(井原尚基)
 ー患者らに対してだけでなく、医療従事者の子が保育所から登園を拒否されるといった事例が報告されている。
 「感染を過度に恐れる心が、患者のみならず医療従事者やその家族らまで差別する事態を招いている。新型コロナウイルス感染症は恐ろしい病気だが、真に恐れるべき対象はウイルス。決して感染した人ではない。

このように恐れていたことが起きているのである。
同じようにハンセン病に取り組んできた方々がこの現状にメッセージを訴えている。

コロナ患者らへの差別やめて ハンセン病世界遺産登録協が訴え
https://this.kiji.is/635069825346585697
新型コロナウイルスの感染者や医療従事者が差別的な言動や扱いを受けている問題で、NPO法人ハンセン病療養所世界遺産登録推進協議会(瀬戸内市)は18日、「患者さんや関係者に対する疾病差別は決してあってはならない」とするメッセージをウェブサイトで発信した。
 新型コロナを巡っては、インターネットに感染者を特定する書き込みがされたり、医療従事者の子どもが保育園の登園自粛を求められたりしたことなどが問題化。らい菌による感染症のハンセン病も激しい偏見・差別を経験していることから同じ過ちを繰り返さないようメッセージを出すことにした。
 メッセージでは、ハンセン病と新型コロナは原因や症状が異なり、単純比較できないものの「誤った知識や見解による過度な反応は噂(うわさ)を呼び、偏見を生み、差別につながる」とハンセン病の歴史を踏まえて指摘した。
 差別を恐れるあまり患者が病気を隠せば、新型コロナの感染拡大が長期にわたる懸念もあるとして、市民一人一人が病気について正しく知って行動するよう訴えている。
 同協議会は「メッセージには同じ思いをしてほしくないというハンセン病回復者の思いが込められている。多くの人に届けば」としている。
(2020年05月18日 19時48分 更新)


ハンセン病の過ち繰り返すな 内田博文・九州大名誉教授
https://this.kiji.is/631140535959716961
2020/5/7 23:47 (JST)5/8 07:02 (JST)updated
©株式会社西日本新聞社
新型コロナウイルスを巡り、患者や医療関係者などに対する差別的な言動が相次いでいる。社会が感染症と向き合うためには、医療と同じほどに人権の視点が重要だ。深刻な差別被害を受けてきたハンセン病の元患者たちが「ハンセン病問題は医療問題ではない」と訴え続けているのも、そのためだ。
感染症への差別意識は「うつされるのでは」という恐怖心が発端。科学的な知見を軽視して、根深く浸透するという特徴を持つ。
ハンセン病での人権侵害は、国が強制隔離政策を徹底したために、本来は感染力が弱いのに「怖い病気」とする誤解が社会に定着して深刻化した。患者や家族は結婚や就職などあらゆる面で差別を受け、その悲惨さは「人生被害」とさえ呼ばれる。1949年からは特効薬が広く使われるようになり、その後に治療法が確立しても、偏見はなくならなかった。

また、NPO法人ハンセン病療養所世界遺産登録推進協議会は以下のメッセージを表明している。

https://www.hansen-wh.jp/news/374/
私たちからのメッセージ
–新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者や関係者への誹謗中傷について-
現在、世界中の人々が新型コロナウイルス感染症の感染拡大の危機に直面しています。お亡くなりになった方々とそのご家族に心よりお悔やみ申し上げます。また、現在治療中の方々の一日も早い回復をお祈りすると共に、日々懸命に業務に取り組まれている関係者の皆さまに敬意を表します。
私たちNPO法人ハンセン病療養所世界遺産登録推進協議会は、高齢化の進むハンセン病療養所入所者、回復者の皆さんの自らの経験を決して繰り返して欲しくないという強い願いと共に、ハンセン病療養所とそこで生活されてきた人々の歴史を世界遺産として後世に語り継ぐ運動に取り組んでいます。
社会では、しばしば比較されるハンセン病と新型コロナウイルス感染症ですが、両者は原因、発病のメカニズム、症状、治療法の有無など全く異なります。よって、両者を単純に比較することはできませんが、今、ただ一つハンセン病の歴史を語り続けることを使命とする私たちがお伝えしたいことがあります。それは「患者さんや関係者に対する疾病差別は決してあってはならない」ということです。
私たちは誰しも病気になりたくありません。そして感染症という病気の原因となる細菌やウイルスは私たちの目には見えません。ヒトからヒトへの感染が明らかになっている新型コロナウイルス感染症において患者と関係者からできるだけ距離をおきたい、という気持ちは十分に理解できます。また、社会的距離の確保や「三密」の回避は、今後も感染の状況に応じて意識し続けるべき行動基準です。
しかし、誤った知識や見解による過度な反応は噂を呼び、偏見を生み、差別につながります。私たちはこれらのことをハンセン病隔離政策から学んでいます。
患者が恐れるのは病気とそれに伴う差別と人権蹂躙です。患者が差別を恐れるがあまり、病気を隠し、今回の感染拡大が更に長期に渡り収束しなければ、私たちの社会的経済的な活動は益々の困難に直面するでしょう。
「歴史は繰り返す」ローマの歴史家クルティウス=ルーフスは言います。私たち人類には今までも新たな感染症の出現に直面し、その脅威を乗り越えてきた歴史があります。
-患者さんが安心して治療に専念し、家族の方がそれを十分サポートできるように。そして、医療従事者が存分に活躍できるように-
ハンセン病の歴史を学ぶことにより、少しでも病気による偏見や差別が和らぐのであれば非常に有り難く、そして私たち一人ひとりが新型コロナウイルス感染症という未知の感染症を正確に知り、正しく行動すれば、それに伴う偏見、差別と人権蹂躙を生まない社会の創造に寄与できる。これがハンセン病回復者と私たちからのメッセージです。

2020(令和2)年5月18日
岡山県瀬戸内市邑久町虫明6253番地
特定非営利活動法人
ハンセン病療養所世界遺産登録推進協議会

ハンセン病問題に取り組む者たちの想いは皆、共通する。

「差別や偏見をくり返さない」
そのために私たちはいつまでもハンセン病のことを忘れず、学び続けていく必要があります。

これらのことから昨年度の12月~2月という遠くない時期にハンセン病のことを取り扱い、差別の歴史や誰もがくり返す危険性のあることを学んでおいて良かったと思っています。
こういったことを学んだ生徒たちが今後、正しい情報を大切にし、差別や偏見から人々を守ってくれると信じています。

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