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Stairs新潟研究会2023.03


Stairsの第1回目のイベントとして、
新潟の日本酒イベント「新潟淡麗 にいがた酒の陣2023」と、
リノベ変革を成し遂げた「沼垂テラス商店街」見学会に行って参りました。

※Stairsとは、家業をもつナウでミドルな後継ぎで結成した勉強会です。


新潟淡麗 にいがた酒の陣2023


こちらは新潟で開催される中でもかなり人が集まるイベントです。
今回は、コロナ明け約3年ぶりの開催となります。

確かに、宿泊施設がどこもパンパンで中々予約が取れませんでした。
それだけ他県からも人が集まるということですね、恐るべし酒の力。


このイベントは、
新潟県酒造組合の40代の若手が、設立50周年を記念し、オクトーバーフェスを参考に開催したのがはじまりだそうです。
今年は感染拡大防止策として入場量を1万2千人に制限、2019年が14万人の来場者数でしたので1/10以下での開催となりました。

ただそれでも、80酒蔵/地酒400種類以上もの日本酒が並ぶのです。
なんてこった、パンナコッタ。


取り敢えず見てくださいよ、このわくわくする入口。


そして門をくぐった先がこれ。


十分大きいし、すでに皆さん満面の笑み。なんだここは、極楽浄土なのか?

会場では、各酒蔵のブースで試飲がし放題。
古酒から生酒まで幅広く置いてあって、選び放題。
こりゃたまらん。

知らなかったのですが、新潟は基本的に辛口が多いそうです。
キリっとした飲み口と、鼻に抜ける香りがたまりません。



近年、日本酒は大量生産ができる仕組みが確立され、若者まで幅広い年代に嗜まれるようになりました。
しかし最近は流通性だけでなく、生産者の顔や思いに価値が付与され、新たな購買につながっています。

野菜などの食品もラベルに生産者の顔が載るようになりましたよね?あんな感じです。

日本酒は蔵元や杜氏の想いが組み込まれてやっとできる。
他の醸造酒とは少し異なるのです。


例を挙げると、ワインは土・ブドウの品質で味が決まるとされています。
ですので、愛好家の方たちはこれらの要因を年代毎に分析し、考察を交えながら購買します。
この因果関係が外からかなり見えるようになっている。

しかし日本酒は、この因果関係が見えづらい。
その材料は、米・水・微生物。これらのバランスをとる為に人間の考えが必要で、これが品質に大きく関わってきます。


引用:著者佐藤敦「新潟清酒の再興戦略」


外からは見えない部分が大きいからこそ、これをラベルやSNSなどで情報発信することが新たな販売戦略として確立したのでしょう。

日本酒以外に関してもそうです。
こういった時代になって漸く、職人のこだわりが消費者に届くようになりました。

消費者側ももっと目を凝らし、新たな刺激を得る機会を失わぬようにしたいものです。


沼垂テラス商店街


次の日にやって参りましたのが、沼垂テラス商店街。

こちらは、株式会社テラスオフィスさんが沼垂地区に古くからある長屋を、リノベ改革して生まれ変わらせたナウい商店街です。


元々は沼垂市場として、市民の方たちが交易する場として隆盛していたそうです。

引用:「沼垂テラス商店街HP」 https://nuttari.jp/


この沼垂商店街は新潟駅から車で20分程度の場所にあります。
途中、旧新潟駅のあった万代という一番賑やかな場所を通り過ぎます。そこから本当に目と鼻の先です。

万代は学生も多く、百貨店やチェーン店が建ち並び、かなり賑やかしい街です。
しかし、万代を通り過ぎてからは、がらっと車窓風景が変わります。


開けた視界に建ち並ぶのはシャッター街。
歯抜けのように開いた商店と、気配のない通り。
路地裏のような町を抜けると、そこに沼垂テラス商店街がぽつんと現れます。



思ったより規模が大きい。
しかも、おしゃれな個人商店ばかりやないかい。
陶器屋で思わず大量買い。この後の移動死ねる。

おしゃカフェもあるよ!


新潟駅からも離れてないし、そりゃ流行るわ。
こういった個人商店っていいですよね。ついつい入ってしまいます。

都会のように、チェーン店で安定した価格・時間・供給を享受するより、こういうこだわりや暖かみが透けた店が好きです。これは私だけでなく。


飲食店がフランチャイズを隠して個人店経営っぽくする理由は、こういったところに背景があるそうですよ。
おいしいラーメン屋辿ったら全部一緒やった!
は、よくある話なのです。


案内してくださった方は、このテラス商店街の発起人でもある方で、ご姉弟でリノベ改革を成し遂げました。元々お二人はこの商店街の向かいにある料亭のご子息。

帰郷された際に店を継ぎましたが、人がいなけりゃ勝負も出来ないという状況だったそうです。
現状を打開する使命を負い、全うしたわけです。


確かに。いくら暖かみや優れたこだわりがあっても、伝わらなければビジネスとして成り立ちませんね。
土壌から作らなければならない。途方もなかったことでしょう。
難易度の高い承継問題の一つだと思います。



私も田舎暮らしに憧れがあります。
以前に古民家再生事業に興味を持ったこともありました。
ですが、田舎独自のコミュニケーションは私にとってハードルがあまりにも高いと考え諦めました。

いわゆる田舎は、独自の社会性をもって成り立っています。その根底は助け合いの精神です。
物資の少ない田舎では助け合いながらお互いの生命を維持する必要があったからです。
だからお互いにお互いのことを敏感に観察します。
これの見方が変わるとおせっかいに変わり、時に有難迷惑に変貌します。


例えば、
田舎で家を売りに出すと、「あの家はお金に困っているのではないか?」と周りが心配します。単なる心配が、受け取り手にとっては負担になってしまう。
だから田舎では、中々持ち主が空き家を売りに出せないといった問題もあるそうです。


このような問題が山積しており、ましてや外部の者がコミュニケーションをとり、コンセンサスを得ることは非常に難しいのが現状です。

今回の沼垂テラス商店街も、発起人が元々地域住人であり当事者であったこと、そして皆とたゆまぬコミュニケーションを行ったからこそ実現できたことだと思います。
改めて、この旅で多くのことが学べました。やはり実際に肌で感じることが重要です。


新潟。こだわりと想いの溢れる場所。

情報が溢れまくって大洪水の現代。
今、私たちの知的欲求を満たすのはこういった源流に横たわる生の声です。

それは現地でしか味わえない、こだわりぬかれた極上の贅沢なのです。

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