8/19テーマ 『今こそ武力でなく外交による真の平和を』ゲスト: 奈良勝行さん 野口美代子さん報告レポ-ト『Let UsThink about Kyujo! (憲法九条を考えよう)』漫画『マルクス&エンゲルス』
隆祥館書店では、広島市教育委員会が平和教育の教材から「漫画 はだしのゲン」を外したことに、強く抗議するために、4月1日に神田香織さんによる講談とアフタートークを企画しました。そのときに活発な発言をなさり、イベント修了後に、「ぜひ、隆祥館書店で、私たちの本のトークイベントをさせて下さい。」と当店に来られた方がおられました。それが奈良勝行先生と、野口美代子先生でした。
提案を頂いた二冊の本、奈良先生の『Let UsThink about Kyujo! (憲法九条を考えよう)』、野口先生の漫画『マルクス&エンゲルス』は、共に多くの方に伝えたいと思うことが書かれた本で、大変光栄に感じましたが、実は、スタッフからは、集客ができないのではと危惧されて一抹の不安がありました。それでも先生方の情熱と推しに押されて日にちまで、早々と決まったのでした。
奈良先生は、戦争体験者でもあり、憲法九条の成り立ち、大切さを訴えてこられた方です。また、野口先生は、マルクスとエンゲルスの生き様を、 猛勉強してシナリオに書き、少女漫画家と漫画『マルクス&エンゲルス』を出版された方でした。
第一部の奈良先生のお話して下さったことの中で、印象に残った問いと答えは、
Q.憲法と法律の違いは何か?
A法律は、国民の自由を制限して、社会の秩序を維持するための法
A憲法は、国家権力を制限して、国民の人権を保障する法
Q.核兵器が世界には14,000 発もあります。2017年7月国連で「核兵器禁止条約」が締結されましたが、なぜ核保有国はそれに参加しないのでしょうか?
A.核を持っているから。
日本は、唯一、原爆を落とされた国、核抑止ではダメなんだ。核禁止条約に批准すべきと話されました。
【二村からの質問】
殺傷能力のある武器を輸出するということを日本政府が言っているニュースを見たが、これは憲法9条に違反しないのか?
A.日本は、憲法九条があり、他国に武器を輸出しないという「武器輸出三原則」をもっている。
殺傷能力のある武器を輸出するということは、これは明確に違反していると仰いました。
憲法9条の、紛争を平和的に解決するという考えのおかげで、他国に軍事介入しない、紛争の原因をつくらないということが、しいては、他の国々による日本侵略の要因をつくらせないで、平和を守ることにつながってきました。
【会場からの質問】
Q.本当の憲法の素晴らしさを教授できていれば良いが、憲法で、国家権力の暴走を縛ることができるということが、指導から抜け落ちているのではないか?
A. 奈良先生: 今の学校では、憲法の条文だけで、そこまで教えていない。学校教育でも「国家権力の暴走を縛ることができるということ」を、きちんと教えていかなければならないと思います。
B. 野口先生: 新潟の先生が、「憲法9条を守ろう」という授業をしたら、維新が、国会で、「偏向教育だ!」と言って吊るしあげた。平和教育ができなくなっているとのことでした。
奈良先生は、ライフワークとして、憲法を伝えていくと仰ってました。
8月7日~10日も長崎に、中学生、高校生を連れて原水爆禁止世界大会に行かれたそうです。彼らは、まだ15歳なのに壇上で、それぞれの思いを述べたそうです。子どもたちは、敏感に感じている。大人たちも一人一人が、平和について真剣に考えなければいけないと話されました。
それに引き換え、麻生太郎元首相の台湾での発言は、何だったのか?
「強い抑止力が求められている、戦う覚悟です。」
奈良先生は仰いました。結局、麻生さんは私のように、戦争のむごたらしさを体験していないのです。
また、通訳もされている奈良先生に、ドイツの方が言っていたそうです。メルケル以降、ドイツも右傾化していると。
最後に、東京新聞に寄稿された記事「9条英訳 観光客に紹介」のことを話されました。
3歳の時に、東京大空襲を体験され、自分の遊び友だちを含む多数の住民が犠牲になった。
英語通訳案内士としてガイドを、し終えて必ず訴えることがあるそうです。それは、憲法9条の条文を英語で紹介することだそうです。
「戦争放棄」「戦力不保持」「交戦権否認」を明示した日本の憲法は、「世界の宝」であると。
戦争を本当に体験された当事者の言葉には、重みがありました。
奈良先生ありがとうございました。
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第二部の野口先生のお話で印象に残ったこと
アメリカの若者達は、今、こんなに格差と貧困が拡大し、異常な温暖化で地球環境が破壊されてきているのは、何よりも利益最優先のルールなき資本主義のせいだと、社会主義を展望して立ち上がってるそうです。
そんな時に、日本ではマルクスも知らない人が圧倒的に多い事に危機感を持たれたそうです。それで、マルクスとエンゲルスをもっと日本の人達に知ってもらうためにはどうすればいいのか考え、漫画にしようと、「途方もない大それたこと」を思いつかれたそうです。
その過程で、石川康宏先生や、不破哲三さん等、沢山の著名な方々を巻き込んでいくその情熱には、正直びっくりしました。
野口先生は、続けられます。
「二人が亡くなってから150年後の今、彼らが目指した社会に向かって、歴史は、様々な逆流を押し返しながらも着実に前進してきました。労働時間は18時間から、8時間に短縮され、議会制民主主義が確立し、社会保障制度もできました。
でも、今の日本の労働者の現状はどうでしょうか?5割近くの派遣・非正規労働者は無権利状態、労働時間は守られず、様々なハラスメントが横行し、過労死、自殺、精神疾患が後を絶ちません。今や若い女性の自殺やホームレスが急増しています。『大洪水よ、我が亡き後に来たれ』(4巻:これが資本家及び資本主義国家のスローガンである)。『だからこそ、資本家を縛るルール『法律』をつくる必要がある』と、マルクス達は訴えている。
ヨーロッパでは、その法律がある程度定着しているんです。でも、日本では、先の国会で決まった法律は、軍拡、原発回帰、入管法、マイナンバー法など、資本家や政府を縛るのではなく、財界べったり、アメリカ言いなりで、国民を苦しめるものばかり。憲法9条のある国で、戦争の準備が堂々と進められています。
学校では労働者の権利など教えず、就職しても労働組合の弱体化でほとんど何も知らされないまま、何事も「自己責任」と諦めて、闘うことすら知らない。こんな社会でいいはずがない!」
ここで、野口先生は、突然大きな声で、叫ばれました。マルクスとエンゲルスが天から呼びかけていますよ。
「一番苦しんでいる君たち自らが、団結して立ち上がれば、社会は変えられるんだよ!諦めちゃダメだ!」と、
野口先生は、「今は、議会制民主主義も確立しており、選挙で多数をとることで社会を変えることができます。武器を持って命がけで闘わなくてもいいんです。そのためには、正しい情報を国民に知らせることが何より大事だ」と話されました。また「けれども、マスコミは、政権に忖度して報道しません。24歳でライン新聞の編集長になったマルクスが(1巻:「新聞として大事なことは、良い記事を書き続けて、民衆が自ら立ち上がるきっかけを作ることだ」「民衆が立ち上がるきっかけを作らない新聞に、何の意味がある!?」)と、訴えています。
全てのジャーナリストは、若きマルクスに学んで欲しい。」と話されました。
私も野口先生の仰る通りだと感じています。
私は、このフレーズが好きです。
「新聞として大事なことは、良い記事を書き続けて、民衆が自ら立ち上がるきっかけを作ることだ」「民衆が立ち上がるきっかけを作らない新聞に、何の意味がある!?」)
私の知っているジャーナリストには、体制側ではなく、真実を報道してる記者もおられます。そちらを支持したいです」
野口先生、ありがとうございました。
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