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「さつき寮④」(忍び寄る…笑い声)

皆さん、おはようございます。
ryukoです。

さつき寮であった不思議話ですが
いよいよ私も経験者の仲間入りをします。

高校生だった頃の強烈な記憶です。
気になる方は読んでみてください。
登場する人の名前は仮名を使用しています。


※過去の実話なので
 霊的に敏感な方はご注意ください。

   
      …私にも迫る笑い声…

   同室の三人に起こっている怪奇な現象。
     みんなを守りたかった私は
      閉じていた霊道を開き
     いるだろう…「幽霊」との
     接触を試みることにした。

      教わった術を解き…
    布団に入ってその時を待つ。
  枕元の時計がカチカチと時を刻む静けさ。

    にわかに緊張して眠れなかった。
      来る? 幽霊…来る?
    いや、来たら逆にどうするの?
      手立ては知らない…。

     さすがにしばらく経つと…
     眠たい…今日は寝よう…。
       それでいいや。

    ウトウトと寝始めた時だった。

      グウィン!!

      来た、金縛りだ…。
    眠気も醒め鼓動も早くなる。

     開けられるはずの目も…
       開けたくない。
     次の行動をどうするか
   瞬時に決められず動揺が支配する。

   すると耳元より少し離れた位置から…

      ふふふふふ…


        笑ってる…。
    ぼや~っと聞こえる笑い声…

     気のせいじゃないよね…。
         思わず…
         「誰?」
    心の中で問うてみるものの
        返事はない。

      すると足元の布団が…
   サワサワと撫でられている感触。

        …いる。
       何かいる。
       人の手だ。

        やめて!

       気持ち悪い…。
     すると手の感触は消え
      金縛りも解けた。
      なんだ?今のは。
 
  布団をかぶり丸くなって寝ることにした。
    (たぶん、育江と同じ姿勢…)

   しばらく、眠れたのだろうか…。
        すると…

       ……ガチャ…
    部屋のドアが深夜に開いた。
     その音で目が覚めた私…。

   時々寮母が寮内を巡回するのだが
 変わりがなければ部屋まで入ることはない。
     それも…こんな時間に?
      瞬時に緊張が走った。

      スト…スト…スト…

    誰かが部屋の中に入ってくる。
     布団をかぶっている私は
      耳に神経を集中させ
   微動だにせず…様子を気配で伺った。

    そしてその足音は私の隣に来て
        …止まった…

      背中に感じる気配。
 まるで、じーっとこちらを眺めているような
       視線すら感じて
      金縛りじゃなくても
     動くことが出来なかった。       

      ふふふふふ…

      またか…聞こえてくる
         笑い声
        「女だ!」
       そう思った私は…
     「誰?名前を教えて…」
     「ここで何をしてるの?」
       心の中で呟いた…。

       精一杯だった。
     何か一つでも聞かなきゃ…
    変な使命感で問いかけ続けた。

     しかし、この時も無言…。

     気まずい無言の時間は
     ドキンドキンと胸を突く。

     しばらくするとなぜか
     背中に感じる気配は
     すくっと立ち上がり…

      ギー…カシャン
    どうやら、出て行ったようだ。

      背中の解放感が
    深呼吸をしろと私を促した。

  時計を見るとAM2:30頃だっただろうか。
   当時、寮の厨房を預かっている私は
   AM5:00には起床しなければならず
  残り時間に残念な気持ちを持ったまま
    再び眠りについたのだった。

        ジリリリリ…
     目覚ましの音で起きて…
    昨夜の出来事を振り返りながら
    他の当番の生徒が来るよりも早く
       厨房に入るのだが…

      …? どういうこと?

     昨晩、片付けチェックをして
       出たはずの厨房…。

        目の前には
       調理台の上に…    

     …包丁一本…


    ゾクッとする全身に言い聞かす。
       …考えすぎだ。
     昨日、片づけ忘れただけだ。
       昨夜の記憶が
     想像を膨らませているだけ…。

       その包丁を握り…
    しまって別の包丁を出した。
    …なんとなく…気持ち悪かった。

   それから、学校へ行く準備をして
      寮を後にするとき…

   「寮母さん、昨夜…
     部屋に入ってきました?」
     「…行きませんよ?」

      …そうですよね…
       いってきます。

    寝不足のまま…学校へ向かった。

     そりゃあ、一日中授業に
      身が入るわけもなく
   記憶を反芻しても恐怖感だけが募り
     何もわからないままだった。

    昼休憩、2年生のよー子と良美を
    呼び出し、育江も含めて4人で
      昼食を取りながら
   ヒソヒソと昨夜の出来事を報告した。

    3人とも昨夜はよく眠れたらしく
    物音には気が付かなかったようだ。

     眠れたなら…良かったよ…。

    「ryuko姉さん、大丈夫ですか?」

    …うん、ちょっと怖かったけど…
        大丈夫!
     よー子に聞かれたが
    みんな同じ顔で私を見ている。

      半分強がったが…
  3人が眠れて安堵している様子を見たら
    「怖い」なんて言えなかった。

       でも…たぶん…
       今晩も来る!

   もし、来たら…何か掴まなきゃ…。
    それにもう少し3人には
   眠れる日を増やしてほしかった。

   3人が「眠れた」ということは
   私にしか集中していない「幽霊」
   私だけがターゲットになっている。
     それだけは…わかった…。


 私は、一人で恐怖を抱えずに
 4人で話をすることが出来るだけでも
 ありがたいことでした。

 この時はまだ
 正体を掴みたい一心で
 突っ走った時代の頃の体験です。

 …しかし、ホラーテイストは
 やっぱり難しいですね。
 私には文字を書く仕事は
 出来そうにありません。(笑)


  P.S
   恐怖の夜は
   それから数日続くものだった。
 
   恐怖と寝不足の積み重ねは
   思ったよりも…
   私を疲れさせていったのだった。

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