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現代において「図書館」が持つ力

こんにちは。 建築学科で日々建築やデザインについて学び、他にもブランディングやビジネスについて日々勉強している大学三年生です。

現在、学校の課題で「図書館」の設計が課せられました。
そこで学生は、それぞれ自分が最適だと思う図書館の形を考え、二か月程度で設計図とともにその案を提出するのですが…

私も含め多くの人は、近年図書館へ行く機会が激減しているのではないか、と思います。
そんななか、今回の設計をするうえでは、改めて

「情報のデジタル化が進む中で物質としての本を貯蔵する図書館を持つ意義は何なのか」
「現代の人は図書館に何を求めるのか」
「これまでの図書館とは一線を画す、新たな可能性のうまれる斬新なプログラムはないか」

などといったことから考え直さなければならなそうです。

まず本の持つ意味についてですが、やはり僕は、情報が本という「モノ」になって、現実世界に実在してる、という事に信頼感を覚えます。
特に勉強をしに図書館へ行く、という中高生はおおく、かつて僕もその一人だったわけですが、本が大量に並び、本に囲まれた静かな空間は、一人で作業をするには適した空間であり、あのような場所は図書館にしか演出することのできない空間ではないでしょうか。

その落ち着いた「勉強場所」としての居場所は、図書館の持つおおきな特徴の一つであり、近年建築家によって設計される図書館は「森」と形容されることもしばしばあるようです。



 次に、現代の人々が図書館に求める要素としては、「サードプレイス」としての「居場所」であることが僕の学校の講義では触れられていました。
サードプレイス とは、

サードプレイス(third place)とは、自宅や学校、職場でもない、居心地の良いカフェ等の「第3の場所」のことです。 アメリカの社会学者レイ・オルデンバーグが提唱しました。 ストレス社会において、ゆったりとリラックスできる場所を持つことで、責任感などから開放され、人生の様々な面でメリットがあるとされています。  

カオナビ

そのため、図書館には「本を並べるスペース、本棚」「読書スペース」以上に、人々が自分の「居場所」を見つけるための空間を求められているように感じます。図書館として、もともとあった機能異常に、社会の中での立ち位置、というものを考えなければならず、それに応じて機能を拡張することも必要なようです。

そうした中、海外の図書館設計の事例に目を向けると、「森」ではなく「渓谷」のような図書館として設計された建築も二つほど見つかりました。これらでは、従来のような整然とした大空間ではなく、より立体的に複雑な、ある種自然環境に近い形態の構造物の中で、多様な空間が生まれ、その結果訪問者が各々の居場所を見つけられることを狙っているようです。


森、渓谷へと、図書館に投影されるイメージは、より原始的なものに回帰していっているように思われますが、そこにはやはり、「本」という存在自体が、ある意味での「原始性」を持ち始めていることに加え、建築そのものが、単純な箱型から、より有機的で多様な空間が生まれるようにシフトしてることなどが考えられます。さらに大自然を思わせる形状は、ある種もたれかかるような壮大な印象も与えます。

このように考えると、現代の図書館を設計する上では
「現代において「本」をどのように捉えるか」
「図書館の建築そのものを社会の中でどのようなものとして捉えるか(社会とのつながり)」
という2軸で考えていく必要がありそうです。

例えば、図書館の建築を外から見ると、周辺環境と一体化したデザインで人を引き込むような形をしているが、中に入ると周りとは隔絶されたある種プライベート的で静寂な空間がひろがっている
という二面性を有した図書館は、現代にあってもいいのではないかと考えます。
前述の本の持つ「信頼感」や「権威性」を軸にしたある種フォーマルな内部空間は、図書館或いは心を静めるためのサードプレイスとして必要ですが、それが外から訪れる人々に対して威圧的である必要はないからです。本の「権威性」と建物の「民主性」を融合させた図書館。

少し考えてみようと思います。


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