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ぼくの死語

『脳死で○○する』という言い回しがある。何も考えずに反射的に、或いは作業的に何かをやるというネットスラング的な言葉だが、今やすっかり定着して通じるようになったように思う。が、個人的には好きではないので基本的には使わないようにしている。理由はお察しの通り、『脳死』なんて言葉が入った言葉を軽々しく使うべきではないと思うからだ。そういう言い回しがいくつかある。

似たような言い回しで僕が使わないのは、『ガイジ』だ。あまりにも常識外れな様子を言う時に使われる言葉だが、使わない理由はまあ同じだ。少し古い言い回しにはなるが、『めくら』とか『つんぼ』とか『びっこ』みたいな言葉も基本的には使わない。そこから転じた言い回しで、『盲滅法(めくらめっぽう)』なんて言葉もあるが、これもあまり使った記憶がない。『盲滅法』に関しては語源が『めくら』にあるとは言え常用語の範疇だとは思うが、僕が使わないのはじいちゃんが実際に目が見えない人だったせいもある。目が見えない人を揶揄する『めくら』は『目がくらむ』から来ているらしく(諸説ある)、『めくるめく』なんかも同じ語源から派生した言葉であるらしい。『目がくらむ』や『めくるめく』は普通に使っている。

『死ね』とか『殺すぞ』みたいな言葉も、かつては気心の知れた相手に対してのツッコミとして普通に使っていたが、そういえば最近はほとんど使わなくなったなぁと思う。『死ね』『殺すぞ』をちょっとだけマイルドにした(?)オリジナルの言い回しとして、『生き埋めにするぞ』をよく使っていた時期があったが、生き埋めにするのも殺すぐらい酷くね?と気づいてからはそれも使わなくなった。女性に対して、「セクシーでとても良いね」の意味での『エロい』も使わなくなったなと思う。これもね、いくらこっちが褒め言葉のつもりで使っててもセクハラになってしまうもんね。替わりに『えちえちだね』なんて言ったりしつつ、これもセクハラになりはしないだろうかとピリリと配慮していたりする。実際セクハラになっていることもあるだろう。気をつけなきゃなと思う。

正しい言葉を使おう、みたいなことをよく言われる。本当の言い方はこうだ、この言葉の本来の意味はこうだ。正しい言葉が使われなくなるのは良くない……よく言われることではあるか、僕は反対だ。言葉は時代に合わせて移りゆくもの。流行り廃りがあって、どんどん新しい言葉が生まれ、使われなくなる古い言葉もある。そういうものなのだ。時流に合わせて、相手に合わせて、折々の言葉を使っていけるといいなと思う。

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うえぽん
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