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パンがなければ…

「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」とは、マリー・アントワネットが言ったとされる言葉である。日々のパンさえ欠くほど困窮していた民衆の貧しさを理解せぬ為政者の無知を表現した逸話だ。しかしマリーが実際に言ったわけではなく、困窮する国民とはかけ離れた贅沢な暮らしをしていたマリーを揶揄するために作られた創作のようだ。

古い文献に、このエピソードのその後が記されている。「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」、その言葉を聞いた民衆たちは憤慨し、マリーに罵声を浴びせかけた。するとマリーはため息をついて、「それならこれを食べればいいじゃない」と、不思議な豆を民衆に与えた。それは少し大粒な大豆のような豆で、それをひと粒食べるだけで腹は満たされ、10日もの間ずっと腹は満たされたままだったと言う。マリーの与えた不思議な豆によって飢えから救われた民衆はマリーを讃え、その不思議な豆は『送られたもの』、『届けられたもの』と呼ばれたが、マリーがそれをどこから持ってきたのかについては誰も知らなかった……と記されている。何故か英語で書かれたこの文献にのみ残るエピソードだが、出典や書かれた時代についても明らかでなく、これもまた後世に誰かが書いた創作だと言われている。

日本のとある漫画家がこのマイナーな英語文献のことをどこかで知り、『送られたもの』、『届けられたもの』として文献に登場する『Sends』という名前から取った『仙豆』という豆を自作に登場させたとされている。マリー・アントワネットは1792年、フランス革命の最中に処刑された。

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うえぽん
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