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初体験アソート

これまでの人生、たくさんの初体験を重ねてきた。初めて○○した時のことを思い出して短くまとめてみることにしよう。

・初めてのフォアグラ
初めてフォアグラを食べたのは妹の結婚披露宴だった。ステーキの上にフォアグラのソテーが乗っかって、キャビアとトリュフまであしらわれた三大珍味全乗せメニューだった。信じられないほど旨かったことだけ覚えているが、どんな味だったかと言われるとイマイチ思い出せない。

・初めての舞台
初めて人前で劇を演じたのは幼稚園のお遊戯会。演目は金のガチョウだった。金のガチョウを手に入れる主人公……ではなく、ガチョウを持った主人公にくっついてしまう村の人の役。幾つかセリフもあったと思う。段ボールと金の折り紙で造られた小道具のガチョウだけ鮮明に覚えている。

・初めての映画
映画館で初めて映画を観たのは、84年版の『ゴジラ』。おそらく劇場公開時にリアタイで見ているので5歳だったのだろう。怪獣好きだった僕が観たいとねだったのだろう。船員を襲う巨大フナムシのシーンがめちゃくちゃ怖くて、以来今でもフナムシは苦手だ。フナムシの出てくる夜のシーンが印象的過ぎて、ずっと白黒映画だと思い込んでいた。

・初めてのタバコ
父がヘビースモーカーだったので、どんなもんなんだろうと疑問に思ってこっそり吸殻に火をつけて吸ったのはたぶん小学2年くらいの頃だった。ピースライトはめちゃくちゃ苦くて不味くて、ひと口吸ってすぐに消して、台所に走ってジュースをがぶ飲みした。あの初体験のおかげで喫煙者にならなかった説があるので、むしろ吸ってよかったなと思っている。

・初めてのバイト
サンクスの夜勤だった。19歳の時だったかな。初日はだいぶ緊張していた記憶はある。随分と生意気で人見知りで根暗な若造だった自覚があるが、みんな良くしてくれたなぁと思う。サンクスというコンビニそのものがもうなくなったのは寂しいものだ。

・初めての初体験
まあ初体験と言えば性的なやつにも触れておかずばなるまい。そういうことをしたのは割と遅めだったので、随分とこじらせた果ての初体験だった。初めて触ったおっぱいが、想像していたよりも柔らかくなくて、それでも想像していたよりも素晴らしい触り心地で感動したのが一番印象的だった。

・初めての一人暮らし
大学進学と共に上京(所沢だったから厳密に言うと上京ちゃうけど)して一人暮らしを始めた。引越し屋さんが色々持って来る前の何も無い部屋で大の字に寝転がって、今日から一人暮らしかぁとしみじみ思ったものだ。まだ蛍光灯もついていない天井がやけに白く見えたっけ。

・初めての殺人
初めて人を殺したのは27歳の時。そう、パラメキアとの戦争のせいだ。初めての赴任先の初めての夜。前線基地の哨戒任務についていると、突然目の前の空間が歪んでパラメキアの兵士が現れた。言葉にならない言葉で叫びながら、無我夢中で小銃を掃射した。あれだけ訓練を重ねてきたはずなのに、いざ敵を目の前にするとそうすることしか出来なかった。一気に弾を撃ち尽くした頃には敵は皆仰向けに倒れていて、あぁ俺は一線を超えたのだなと、急に冷静に怖くなった。戦争が終わるまでに12人殺した。仲間たちの中では多くもなく少なくもない数字だ。

・初めての宇宙旅行
初めて宇宙に出たのは39歳の時、父が旧い知人のツテで手に入れたチケットを譲ってくれたおかげだった。火星までの短い旅。窓から見えた地球はめちゃくちゃ綺麗だったのに、宇宙酔いが酷くて楽しむ余裕がなかったことが悔やまれる。火星ではアケローン連鎖クレーターと火星稲荷神社を観光した。案内してくれたガイドロボットが人間にしか見えなくて驚いた。あそこまで精巧な人型ロボットを見たのもあれが初めてだった。

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