自分と自分

16歳、高校生の頃の自分に会いに行ったとしたら一体何の話をするだろうか。何を伝えられるだろうか。高校の演劇部で青春していた頃の自分。アニメを見漁り、ゲームに明け暮れていたオタクな自分。演劇のアドバイスをしたり、もっと現実を見ろもう少し服に気を使えと尻を叩いたり、彼女を作れ女はいいぞと力説したりするだろう。

20歳、大学生の頃の自分に会いに行ったとしたらどうだろうか。いや、20歳の頃はもう大学を辞めることを決断した頃か。もう少し前に会いに行って、せっかくだから大学は卒業しておいた方がいいぞと言った方がいいかもしれない。今のうちにネットの勉強をしてビットコインってやつを買うんだとか、youtubeって動画サイトが出来るから動画配信者になるんだとか、お前はいずれお笑いを志すから今のうちにNSCに行けとか、そんなことを言ったかもしれない。

20代の半ばの自分は役者として活動を始めている頃だ。今の自分から何か言ってやれることはあるだろうか。芝居で身を立てるならちゃんと事務所に入れとか、ダンスや殺陣を習った方がいいとか、逆に芝居なんてやめてちゃんと働けとか、言ってやりたいことはあれこれ思いつくけれど、20代の自分はそんなアドバイスには耳を貸さなそうな気がする。

逆に10年後20年後の自分と会うことが出来たら、自分は何を聞くだろうか。まだ芝居は続けていますか、あなたは今幸せですか、後悔していることはありますか……初老になった自分は自分の質問にどう答えるだろうか。未来の自分、過去の自分に恥じぬ自分であり続けたいものだが、なかなかそうもいかないものだ。過去の自分に言ってやりたいことも未来の自分に聞きたいことも山ほどあるが、それでも自分の今を決められるのは今の自分しかいない。未来の自分にも過去の自分にも申し訳ないけれど、それなりの今を選んで生きていくしかないっすね。

……高校生の自分以外に言い忘れちゃったけど、恋愛関連のあれやこれやだけは各年代の自分に色々言いそうだなと思いました。