リンボー
なかなか見れていないが、パリオリンピックが盛り上がっている。オリンピックは実は頻繁に競技種目が追加されたりなくなったりしているのをご存知だろうか?正式競技として採用される前に試され、しかしそのまま不採用になったものも多い。リンボーダンスはそのひとつだ。
リンボーダンス、水平に渡された低いバーを仰向けの姿勢で、倒れないように、リズムに合わせてくぐるという競技……というかダンスだ。元々は西インド諸島のトリニダード島に起源があるらしい。オリンピック競技として競われたのは1924年のパリ大会の1度のみ。体操競技の1種目として採用され、どうやらダンス要素は省いて、陸上の高跳び種目を真逆にしたように、段々と低くなっていくバーを落とさずにくぐるという形式で争われたようだ(そのため種目名も『リンボーダンス』ではなく『リンボー』となっている)。しかし映像も残っておらず、どうしてリンボーダンスが採用されたのかの経緯も怪しい。ただ、中国のチャンという選手が18センチという驚異的な成績で金メダルに輝いたということだけが記録に残っている。これは2位以下に20センチ以上の差をつけての圧倒的な優勝であった。
現在、ギネスに登録されているリンボーダンスの世界記録は、リンボーの女王と言われるシェミカ・チャールズさんが2010年に達成した、高さ22センチという大記録である。しかしオリンピック記録はそれよりも4センチも低いということになる。一体どうやってそんなことを成し得たのか。シェミカさんはオリンピック記録について、おそらく計測ミス、或いは何らかの八百長が行われたのではないかと言及している。チャン選手についても詳細な記録は残っておらず、彼女がどういう経歴で、その後どうなったかについてもよく分かっていない。これは100年を超える近代オリンピックの歴史の中でも最大の謎だと言われている。
よろしければサポートいただけると、とてもとても励みになります。よろしくお願いします。