恋と愛の違いについて|白瀬歯科医院〜悩める僕と大好きな歯医者さん〜|連載小説?
僕はまだ恋をしたことがない。
女の子に愛されるなんて想像もつかない。
そもそも、恋と愛は何が違うのだろう。
町の歯医者さん、白瀬先生に相談することにした。
「先生、恋と愛は別のものなの?」
先生は診察室のカーテンを開け、青空を眺めた。
「ああ、違うよ」
やっぱり先生は大人だ。
何を聞いてもこたえてくれる。
「恋は入り口で、出口でも気持ちが続くのが愛なんだ」
抽象的で僕にはよくわからない。
先生の言葉を待とう。
「僕だって恋はするさ。だけどいつだって恋で終わる。清算をする時にさえ、もうすっかり冷めているんだ。まだまだ愛を知らないということだね」
清算、というのが引っかかるけれど、先生にも知らないことはあるようだ。
「君も恋をしたほうがいいね」
先生が僕の頭を撫でる。
汚くて仕方ない。
〜愛さえも本能がみせる幻覚ではないだろうか〜