事前の想像とはちょっと……いや、だいぶ違ったかな~映画『ルート29』~
この作品を観る前はですね、車での旅を通じて綾瀬はるかさん演じる、のり子(トンボ)と大沢一菜さん演じる、ハルが絆を深めていく……的な作品だと想像していたんですよ。
でも実際に観てみたところ、「だいぶ想像とは違ったな」というのが素直な感想です。
なんかずっと、変な夢を見ているような気持ちになるんですよね。
現実と幻想の境目が曖昧な世界を描くのが狙いなのでしょうか。
悪い言い方をしてしますと「意味不明」「雰囲気だけ」の物語に感じてしまいました。
いや、世界観としてはけっして嫌いではないんですよ。
むしろこういう、不思議な空気を感じさせてくれる映画は、好物のほうです。
トンネルの向こうから声が聞こえてくる一瞬のシーンや、トンボがなにかの声に応えながら山中をさまようシーン、じいじがカヌーに乗って去っていくシーンなんかは良かったんです。
でもそういうシーンを描くのであれば、もっと幻想的方面に振り切ってほしかったな、と感じてしまいました。
具体的に言えば、ラストがあまり気に入らなかったんです。
あれだけ不思議な、現実感のない世界を描いておいて、ラストは警察沙汰というあまりにもリアルに引き戻される展開ってどうなんだろう、と。
非現実なのは「ルート29」を走っている間だけで、旅が終わった=現実に戻った、という考え方もできるかな、とも思いましたが……。
それにしては、序盤のトンボが清掃の仕事をしているシーンなんかも、雰囲気としては非現実的な世界観でしたしね。
こんな感じで、この作品で描かれている世界を「幻想的な世界」なのか「現実的な世界」なのか、その折り合いがうまく自分のなかでつけられず、なんだか居心地が悪い感じになってしまったのかもしれません。
印象に残る作品であるのは確かです。
面白いか、と言われると……人によるとしか言えないでしょうね。
ところで映画を観たあと、実際に地図で国道29号線を見てみました。
本当に姫路市から鳥取市まで、まっすぐに結ぶ道路なんですね。
山の中を突っ切っていくようですし、いろいろと不思議なことが起こってもおかしくはなさそうな道だと思わされました。
「こんな国道があるんだな」と知れたのが、一番の収穫だったのかもしれません。