子ども向けかと思ったらかなり大人向けだった~映画『レッド・ワン』~
11月のこの時期に、クリスマス映画の公開。
せめて12月……と思ったのですが、いろいろと事情もあるのでしょう。
12月だと、強力なライバル映画も増えそうですし(某ディズニー作品とか)。
ちなみに「去年もなんか、サンタの映画観たな」と思って調べてみたら、『バイオレント・ナイト』でした。
サンタが強盗団とガチで戦う、なかなかとんでもない作品でした。
ちなみに日本公開日は、2023年2月3日だったようです。
映画の内容と公開する季節って、あんまり関係ないんですね。
それはともかく。
「サンタが誘拐される」という内容も興味をそそった点ですが、決め手となったのはやっぱり主演のドウェイン・ジョンソンの存在です。
アメリカの国民的スター俳優でありながら、妙な映画にも多数出演しているドウェイン・ジョンソン。
国民的スター=子どもたちにも人気がある、てわけで、この映画にも出演が決まったのでしょうか。
……と、考えていたのですが。
実際に鑑賞してみたところ、内容的にはとくに「子ども向け」というわけではなかったようです。
むしろ、完全に大人がターゲットの作品だった、と言えるでしょう。
やっていることは、一見子ども向けっぽくも見えるんですよね。
「悪い子リスト」の存在だとか、ニンジンの鼻を抜かれて滅びるスノーマンだとか、親子の絆で閉じ込められたスノードームから脱出できるとか。
空想上の生物が実在している……そもそもサンタクロースが一晩で世界中の子どもたちにプレゼントを配ってる時点で(めちゃくちゃ身体を鍛えてるとか、なんとなく説得力は出していますが)。
テーマとしても「人は何歳になっても変われる」「努力と継続が大事」「自分がやるべきことをやる」的な、少々説教くさいものが感じられるのも、なんとなく子ども向けっぽい感じがしてしまう要因なのかもしれません。
ただこれらのテーマは、単純に「大人向け」と考えても、じゅうぶんに通用するものではあるんですよね。
とくにドウェイン・ジョンソン演じるカラムの「長く仕事を続けてきているうちにイヤな部分が見えてきてしまって、情熱を失ってしまう」点は、仕事をしている人間であれば多かれ少なかれ感じた経験があるのではないでしょうか。
現実へ映画のように、解決に向かうとは限りません。
しかし一見子ども向けっぽい装いをしながら、実際には大人に向けても大切なことを伝えてくれる、現代の寓話的な物語であったな、と感じさせられました。
まあ、ご都合主義っぽい展開もあるにはありますが……そのへんは「クリスマスの奇跡」ってことで。