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本当にすべての人間に「イマジナリー」っていたんですかね?~映画『イマジナリー』~

パンフレットがなかったってだけで、個人的にはちょっと評価を下げざるをえないんですが……。
そのあたりは仕方がないとして。

どうも「ホラー映画」としても、中途半端な感がする作品との印象が残りました。
大事な「怖さ」の点が、ほとんどないんですよね。
クマのぬいぐるみ「チョンシー」、これが幼い少女であるアリスの「イマジナリー」としての役割を果たしているわけですが、怖いかと言われると……。
やったことと言えば、アリスの姉と仲良くなった近所のチャラい男に襲い掛かるのと、アリスに「ゲーム」としていろいろなアイテムを集めさせただけ。
チャラ男に関しては、襲い掛かっただけで別に実害を加えたわけでもないですしね。

アリスへの「ゲーム」、たしかに「痛いもの」として自傷行為をさせようとしたあたりはちょっと怖さも感じましたが、ほかのアイテムがたいしたものではなくて拍子抜け。
このへんは「ブルー・ホエール・ゲーム」とか「モモチャレンジ」といったものをヒントにしたんでしょうが、やらせることが微妙すぎて怖くないのが……。
(ゲームに挑戦するのが幼少のアリスのため、あまりハードルの高すぎるチャレンジは設定できない、て事情はあるかもしれませんが)

結局死んだのは、終盤「想像の世界」に一緒に入ったお婆さん(グロリアさん……でしたっけ?)だけですしね。
「人がどんどん死ねば、傷つけば怖い」ってわけではないんですが。
そもそも、チョンシーの目的がアリスの義母であり、もともとチョンシーをイマジナリーフレンドとしていた、ジェシカを「想像の世界」に引き留め、永遠に共に過ごすことにあるわけです。
チョンシーがイマジナリーフレンドの宿命である「人から忘れ去られること」を恐れているのであれば、自分の存在を知る人間をなるべく傷付けない、というのはわからない話でもないのですが……それにしては、凶暴性も剥き出しにしていますし、どっちつかずな感じがどうにもモヤモヤしてしまう点かと。

さらに「そもそも論」を語ってしまえば、個人的な考えとして「誰もが子どもの頃はイマジナリーフレンドがいた」という話自体が「どうなんだろう」と思っていまして。
この映画を構成している「前提条件」の部分を疑っているわけですから、観ていてなんだかモヤモヤ感を抱いてしまうのは当然かもしれません。
このへんは、同じイマジナリーフレンドをテーマとしていた『ブルー きみは大丈夫』『屋根裏のラジャー』を観ていたときも、同じだったんですが。

人形相手にままごとをするのは、イマジナリーフレンドとはちょっと違う気もしますし。
どちらかと言えば、ときどき心霊話として語られる「子どもが何もない空間に話しかけていた」みたいなのが、イマジナリーフレンドに近いものなのかな、と。
こうやってなんか心理的に引っかかっちゃうものがあるから、個人的にイマジナリーフレンドを題材とした映画自体、楽しむのが難しいのかもしれませんね。

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