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職場は外資系日本企業である。世の中がこうなる前からリモート会議や在宅勤務を取り入れている。
すこぶる居心地がいい。

雇用形態は、最近日本の企業でも導入され始めた「ジョブ型雇用」。
決められた仕事を時間内、許容範囲内で遂行する。
それさえしていれば、少々付き合いが悪くても、コミュ障で愛想笑い一つできなくても、人間性を叩かれて村八分になることはない。
根掘り葉掘りプライベートを探られるようなお昼休みを過ごす事も、ない。
こちらの感情へずかずかと介入されることがなく、個として尊重されていると感じる。

かといって、お互いがコミュニケーションを取らないわけではない。
むしろ、仲がとても良い。適度な距離間があり、配慮を感じるので快適。
そして何よりも「ありがとうの文化」が根付いている。
お互いのやり取りの後で必ず「ありがとうございます」「ありがとう」がある。肯定的なやり取りの時は勿論のこと、否定的なやり取りをしなければならない時もである。

マネージャーからミスの指摘を受ける時は、まずマネージャーが、
「時間を割いて聞いてくれてありがとう」

指摘を受けたほうは
「ミスをみつけてくださってありがとうございます」

(ジョブ型雇用なだけに、時間の配慮は大切なこと。たった30分の残業でさえ、事前に申請、許可が必要だ)
指摘をする方だってネガティブなことは伝えにくい。
でも、管理する側は仕事なのでしなければならない。だから、事実とそれによって被った影響を、正確に、感情を含まず伝える技術がいる。
指摘を受けるほうだって、故意にミスをしているわけではない。
指摘の内容も「ありがとう」に包まれると、素直に受け入れることが出来る。マネージャーの人間性の高さもあるのだろうが、だからこそ、マネージャーという立場なのだろうと合点がいく。
入社当初は少し面食らったが、今ではなんとも心地良い空気のなかにいる。

「空気の教育」 外山滋比古著

 「教育のことを薫陶という。これはまさに空気による育成を意味する」、家庭には家風、学校には校風があることを考えてみよう。人間が生活しているところにはやがて、一定の空気、雰囲気が生じる。本当の教育は押し付けや口先だけの注意ではない、子どもを包む家庭や学校の空気こそ、最も深いところに作用する。

風は絶えず吹いている。海辺の風は松の形さえ変えてしまうほど影響は大きい。
家では家風、会社では社風、学校では校風など。そこにいるからこそ、意識しなくても自然と知らず知らずに影響を受け、その雰囲気を身に纏っていく…。
私より少し後に入社した、あまり融通の聞かない頑固だった同僚も、今ではチャーミングな笑顔で「ありがとうございます」を連発する。環境からの影響はすごいと感じる。

バリバリの日本文化の中では、少し異質に感じる社風かもしれないけれど、「ありがとうの文化」に染まったわたしは、今の居場所が大好きだ。

「ありがとう」のシャワーを浴び、「ありがとうの文化」がもっと広がれば、優しい世の中になるのではないかなと思っている。



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ゆう@居場所づくりの大切さを考える~コミュニケーションスキルインストラクター
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