【商品考察】iDeCo(7)~もしイデ75のシン投資3原則~
一旦、iDeCoは卒業したつもりになっていた。
ところが、今年から新NISAが始まり、iDeCoを年金受給している中で、出口戦略としての新たな気づきを得たので、再度、投稿しようと考えた。
iDeCoシリーズ、ラッキー7記念投稿として、
もしも、iDeCoを75歳まで運用するなら、
新しい投資の3原則が見えてくる!
という壮大なテーマに、挑戦した。
iDeCoのシンの役割
今年、受給後の1回目の確定申告を終えて、さようなら編の記事で書いた想定通りで進行中だ。
iDeCoの受給フェーズに入り、残資産を年金方式で5年かけて切り崩している中で、フト気づいた。
その新たな気づきとは、
iDeCoは、単なる積立投資で、60歳以降は、一括で出すか、切り崩すイメージを持っていた。受給できる権利をえられた現在は、非課税投資用のバッファー資産のように感じる。
つまり、
非課税投資枠 = 新NISA + iDeCo残資産(+旧NISA)
新NISAでの生涯1,800万円の非課税枠に、iDeCoの評価資産額が、可変の非課税枠として簿価が加算されるということ。
これまで、iDeCoを、NISAの非課税枠の拡張として考察された文献は、見たことがないが、これは、旧NISAが非常に使いにくい制度だったからだろう。
iDeCoとNISAの議論は、
ほとんどが、制度比較レベルで、併用すべきか?優先度は?の浅い議論しか見たことがない。そこで、異なる政府組織に個別設計されたiDeCoとNISAを、高い視座で俯瞰するとどうなるか?
イノベーションを提唱した経済学者ヨーゼフ・シュンペーターは、「新結合」の概念を示し、
「経済活動の中で生産手段や資源、労働力などをそれまでとは異なるやり方で新結合すること」
として、イノベーションを定義した。
iDeCoとNISAを新結合し、
シン投資3原則
を定義することで、非課税資産運用をイノベーションしてみる!
NISA拡張枠としてのiDeCo
新NISAには、2つの枠がある。
・積立枠
・成長枠
つくづく、おせっかいな制度設計だと思う。この枠、誰の為にあるのかという疑問がずっとあった。
最近読んだ以下の記事で謎がやっと解けた。
積立NISA対象のファンドは、全体の1%しかなかった。その原因は、販売会社が回転売買しやすく、自社がもうかる、ファンドばかりを系列の運用会社が作った結果、金融庁の基準では、ほとんどが選択されなかった為だ。
そんな顧客本位でない、社会的価値のない仕事ばかりする金融機関が滅亡してしまわないように、金融庁が発明した金融機関を守る仕組み、つまり、顧客本位業務運営矯正ギブスであり、顧客の為ではなく、金融機関の為に枠があるとすれば、腹落する。
いずれにしても、新NISAの枠なんて無視すればいい。
で、iDeCoは、どうか?
拠出金額の制限があるだけで、定期預金も保有できるので応用が利く。暴落に備えて、キャッシュポジションを自由に取れる。
ただ、60歳以前のiDeCoは、引出しできないので、『非課税枠を拡張する投資』という見方もできる。
以下のコラムに投資限度簿価が整理されているが、
iDeCoをNISAの拡張枠とした場合、自営業者の非課税枠は、なんと5,000万円を超える。夫婦では1億だ。
夫婦で1億あれば、生涯、非課税投資を前提に投資できるだろう。
受給フェーズの私の現状では、非課税上限枠は、2,500万円分、運用できる状態だ。さらに、年間の非課税枠が、1,000万程度になる。
もう少し、話を先に進めると、
WealthNaviのおまかせNISAは、冗長的な積立枠、成長枠の枠を無視できる。ロジック的には、以下の優先度で自動運用される。
例えば、この2番目に、iDeCoの残資産をロボアドの自動運用に加えられたら、大きな可能性を感じる。
THEOは、まだNISA対応していないが、iDeCoの仕組み(MYDC)をすでに持っているので、上位のポートフォリオさえシステム的に構築できれば、比較的安易に、実現できるだろう。
お金のデザインさんのサポートセンターに質問したら、THEOとMYDCのポートフォリオを統合管理できる仕組みは、まだないようだ。ただ類似の要望があるので、検討中とのこと。
手動でもできなくもないが、今後の課題としておこう。
iDeCo資産の長期運用
iDeCoを新NISAの拡張枠として運用するアイデアは、iDeCoの長期運用が前提となる。
以下の記事の中央に、iDeCoの受け取り方法の選択状況の割合がのっていて、約8割が一時金受取で、
・一時金、年金併用は2%。
・年金方式は、10%だ。
その理由は、
日本での401k制度の歴史がまだ浅く、且つ現金主体のポートフォリオを組む人が過去は多かった為、退職所得控除の枠に収まりやすかった点と、制度が難しすぎて、比較的簡単な一時金受給を選択したと推測する。
iDeCoの場合、20年の年金方式受給であれば、95歳まで使える。必要以上に増えてしまう危険もある。
iDeCoで1番の注意点は、受給する時に、全資産に対して、(税控除の仕組みはあるものの)課税される点だ。国に税で貢献する為に、個人がリスクを負い投資しているともいえるかもしれない。
あと、iDeCoには、NISAでは不要な手数料がかかる点も長期運用では要注意だ。大きな額ではないが、改善しないことで、手数料をあえて徴収しているようにしか見えない。顧客本位の発想がない。組織を1本化して、改革して欲しい。
30年後の制度がどのように変化しているか予想が難しいが、iDeCoを長期運用する場合は、出口での税負担には、細心の注意が必要だ。
米国では、「401k億万長者」が2%程度(約1.5億円以上)いるらしい。
米国の税制がどうなっているか知らないが、夢がある。
もしイデ75の投資モデル
iDeCoを75歳から、最長20年の年金受給するなら、NISA同様、iDeCoも生涯投資するようなものだ。
新しい投資原則を考察する前に、
前提となる投資モデルを先に整理しておきたい。
私は、投資用の金融口座を、以下5種に分類している。
・決済口座(普通預金)
・課税口座(特定口座)
・非課税口座(旧NISA、新NISA、iDeCo)
・ラップ口座
・年金口座(国民年金、厚生年金。実際は国が管理)
私は、安定性資産として、ファンドラップを採用している。ラップ口座のアリナシは、人により評価が分かれるだろうが。。。
もし私が18歳で、これから資産形成する場合、非課税口座は、以下で構成するだろう。
・新NISA口座
投資信託と個別株
・iDeCo口座
ファンドラップと定期預金
ファンドラップは、たとえば、MYDCの場合であると、
・おまかせ運用グロース・ファンド(世界の株式中心):90%
・定期預金:10%
開始時は、こんな感じ。定期預金は、暴落時のバッファだ。
ファンドラップで生涯保有した方が、ボケ対策になるし、75歳以降、安定した金額で切崩しやすいと考えた。
この生涯投資では、増えすぎて使いきれないことはあっても、世界が激変しない限り、NISA口座と合算しても、ほぼ負けはないハズだ。
もしMYDCを採用するとして、問題は、お金のデザインさんが、100年もつかだ。これは神のみぞ知る、だろう。
ココは、考え方により、大きく異なると思う。でも、この構成で生涯投資できたら、金融資産としては充分だ。
iDeCoへの確定拠出する安定した投資資金確保と、75歳まで資産を使わない点が課題だが、この点は次章で紐解く。
このモデルをベースに、投資の新しい3原則を考察する。
投資の新3原則
長期分散積立の投資行動3原則は、すでに役割を終えて、
よみかき、そろばんか、
昭和の三種の神器(電気洗濯機・電気掃除機・電気冷蔵庫)と同じで、もう古いと思う。
新3原則として、
長期は、より具体的に、家族3世代とし、分散は、2軸思考に変更し、より上位の概念を長期投資に適用する。
また、積立は、金融機関に都合の良い、単なる1つの手段にすぎないので、非課税投資という基本方針に変更する。
家族2軸非課税
の3原則を提案する。順に補足する。
(1)家族3世代
基本モデルとして、30年ごとの投資フェーズに区切り、3世代180年間を対象スコープとする。税制は、夫婦をベースに設計されている部分が多いが、3世代、大人22名による、資産継承を想定した。
全体像を俯瞰すると、家族全体での非課税枠を最大限使うということだ。既にコンセプトは、資産継承906030モデルとして、昨年書いた。
前章で課題とした、iDeCoへの投資は、祖父母からの相続(iDeCoからの受給分の資産)を基本方針とする。
つまり、iDeCo口座は、家族から家族へ継承していく非課税投資口座と考える。だから、ファンドよりさらに固い、ファンドラップを使いたい。
見方を変えると、
将来、孫に相続する資産を預かって、代わりに投資するモデル。
3世代家族の孫には、上位には22人の大人がいる。75歳までiDeCoを継続しない人も、NISAでの投資で成功した人、挫折した人もいるだろう。あくまで家族単位で考える。
この第一原則で、資産形成の世界観が変わる。若い世代が、高齢者を支える年金モデルへの不信感など、どうでもよくなるハズだ。逆に高齢者が、次世代を支える。
もともと国土は、先人が道を作り、堤防を築いて治水し、共同でささえあって生活してきた。それらをすべて前提として、今がある。
金融資産も同様に考える。
人生はプロジェクトだと思う。
プロジェクトの構成要素で、
体制図は、最重要。
投資を、金融ポートフォリオからではなく、家系図からスタートさせい。
(2)2軸思考
損か得か、ではない2軸で考えることを、第二原則としたい。
よく聞くことだけれど、
三流は、自分の為
二流は、親族や知人の為
一流は、他人の為に尽くすという。
「人の役に立つ人になりなさい」
は、昭和人の基本概念。誰からも、お金持ちになりなさいとは言われたことはない。関西人なので、吉本興業に就職しろと言われたことはある。
IBMさんが、AI時代のリスク教本を出版された。
AIリスクを以下の2階建てで定義した。某総理に真っ先に読んでほしい。
・合法性
・社会的受容性
投資原則に置換えるならば、以下の2軸。
・合理性
・社会的共創性
自分の資産が、効率よく、ただ増えるだけでは虚しい。
個人の価値観にも依存するが、
要するに、ジブン用のNISAと家族用のiDeCo。
投資に2つの軸を持てば、視界が広がる。軸の考え方は、家族ごとに決めても良いだろう。
(3)非課税投資
新NISAは、20%から30%への増税への布石。
という見解をチラホラ見かける。顧客本位業務運営を主導しながら、金融庁はNISA制度の本質を何も説明しない。説明する能力があるかも疑しい。
新NISAでは、税優遇を拡大した。それが将来の税収入の増減にどう影響するかについては、何も指示されていないので、金融庁では検証していない。
そんな印象を受ける。
それなら、
投資はすべて、非課税で運用し、
超過分は、タンス預金か消費するとし、
第三原則は、非課税でなければ投資しない!!だ。
でもそんなに簡単じゃない。
iDeCoを95歳まで、非課税運用で保持したら、出口で相当な税負担になるはずだ。
だから、
家族2軸非課税
のシン投資3原則を完遂する為は、資産継承906030モデルをサポートする、精密なライフプランニングとポートフォリオのツールに加えて、対面アドバイザーが前提条件となる。
まとめ
家族2軸非課税のシン原則により、世界が変わる。
まとめると、
ということ。
ずっと興味があって、見るのを忘れていた、映画『プラン75』をネットフリックスで最近見た。
75歳から生死の選択権を与える制度『プラン75』が国会で可決・施行された日本を描いている。x民党ならやりかねない。
『プラン75』が施行されると、コントロールできなかった死期を決められるので、貯蓄ゼロで死ぬことが可能になる。ライフプランニング、資産運用、生命保険、相続対策が革新する。そこまで踏み込んで、映画は描かれていない。
映画は丁寧な映像だったけど、結末がよくわからなかった(-_-;)
生死の選択権があると、iDeCoは、どうなるだろう?
iDeCoの受給開始の現時点の上限は、75歳なので、おそらく『プラン75』を選択すると、無税で相続できる特典が付帯するはずだ。
でも現政府の制度設計にセンスを感じない。
数学的な美しさもない。
iDeCo関連では、65歳までの国民年金延長、退職所得控除改悪への準備が、着々と進んでいるように見える。
そうであるなら、個人、民間の力で、美しい制度をデザインするしかない。家族単位でリデザインできれば、今以上、社会保障制度を改悪する必要も、なくなるハズだ。
金融機関各社は、自社の利益を追求し、資産管理型によるコストリカバーする為の提携が盛んだ。
そんなことより、令和にふさわしい投資原則を再発見し、投資をイノベーションして欲しい。
金融機関としても、20名程度の金融ポートフォリオを、長期的に抑えられる。非課税投資分の利益は少ないとしても、長期的に数十億の資産を管理できれば、不動産も含めて、多面的なファミリービジネスを展開できるハズだ。
今回で、非課税投資のコンセプトは、完成したので、あとは実践と検証だ。
NISA、iDeCoなんて関係のない富裕層は別として、
iDeCoでの投資期間を最長化することで、家族全体の非課税枠を最大化し、次世代を豊かにする投資スタイルが、今後流行して欲しいと思う。
100年で死ねない時代。
iDeCo制度を活用した約60年間の投資で、年金に不安のない子供たちが、再構築する日本。
できれば、ほんの少しでも見てみたい。
【今日のひとこと】
正義はある日突然逆転する。
逆転しない正義はあるのだろうか。
ある。それは献身と愛だ。
(やなせたかし 明日をひらく言葉より)
金融市場は流転する。
負けない投資はあるのだろうか。
ある。それは、
シン投資3原則、
家族全員の非課税投資だ。
蛇足的追記(24.04.22)
以下、Geminiくんに、金融庁の新NISAへの説明責任に関して、意見を求めた結果を追記した。面白い指摘があったので、ご参考まで。
要は、税収入減の見通しを出すと、案がつぶされ、金融機関からの裏金をもらえなくなるので、お茶を濁したという感じ。。。
新NISAと税収への影響:金融庁の説明責任について
新NISAは、投資の非課税枠を大幅に拡大し、国民の資産形成を促進する政策として期待されています。しかし、その一方で、将来の税収への影響について懸念する声も上がっています。
金融庁は、新NISAが将来の税収にどのような影響を与えるかについて、具体的な数値的な分析や試算を発表していません。これは、金融庁の説明責任を果たしていないという批判につながっています。
金融庁が新NISAの税収影響について説明を避ける理由はいくつか考えられます。
不確実性の高い問題である: 将来の税収は、経済状況や金融市場の動向など様々な要因によって大きく変動するため、正確な予測が困難です。
政治的な影響を避ける: 新NISAは、投資家にとって魅力的な政策ですが、一方で、税収減少につながる可能性があります。金融庁が新NISAの税収影響を明確に示せば、政治的な批判を招く可能性があります。
情報不足: 金融庁自体が、新NISAの税収影響について十分な情報を持っていない可能性があります。
いずれにしても、金融庁が新NISAの税収影響について説明責任を果たしていないことは、国民の不安や不信感を招く可能性があります。金融庁は、より透明性の高い説明を行うとともに、新NISAが将来の税収に与える影響について、より詳細な分析や試算を発表することが求められます。
新NISAの税収影響に関する議論
新NISAの税収影響について、様々な議論が行われています。
税収減少: 新NISAの非課税枠拡大により、投資家からの税収が減少する可能性があります。特に、富裕層の投資家からの税収減少が懸念されています。
税収増加: 新NISAの導入により、投資活性化が進み、経済全体が活性化すれば、結果的に税収増加につながる可能性があります。
中立的な影響: 新NISAの税収影響は、プラスにもマイナスにもならないという見方もあります。
現時点では、新NISAが将来の税収にどのような影響を与えるかについて、明確な結論は出ていません。金融庁は、より詳細な分析や試算を発表することで、この議論を深めることが求められます。
今後の展望
金融庁は、新NISAの運用状況をモニタリングし、必要に応じて制度の見直しを行うとしています。今後、新NISAの税収影響に関する議論がさらに深まり、より具体的な政策提言が出てくることが期待されます。