投資と破産 ~たくさんのひとりでは、世界を変えられない~
今年もツバメが南方から帰ってきて、何やらぴーちくぱーちく、家の周りで騒がしくしていた午後、東京地方裁判所から封書が来た。
裁判所からの郵便物は、まったくの初体験だ。
裁判員制度で選定された?
何か訴えられた??
封を切るのが怖かったが、
中から「破産手続開始通知書」の紙が出てきた。
「えー破産!自分が??」
と動揺したけれど、
よく見ると、
Sony Bank GATEで投資したチェンジ・ザ・ワールドの破産手続開始の通知だった。
今年分配金が入ることは把握していて、何回かメールが来ていたが、無視していた。
つい最近でも、「Social Impact 部門 特別賞」など受賞しながら、積極的に事業展開していたはずが、なんと無責任な。。。
投資型クラウドファンディング
・1口5万円
・募集金額 30,000,000円
・目標リターン 1.07倍
・年利 5.013 %(税引後 3.990 %)
・会計計期間 2021年12月01日~2023年05月31日
・預金保険の対象外
で、
・負債総額:約38億4084万9996円
・負債者:約1万2194名
ちょっとヤバイ。
法改正の影響で、現状のビジネスモデルでは事業継続不可と判断し、破産プロセスに突入している。他者への事業継承もされない。ジエンドだ。
経験のための投資だったが、なんと破産まで経験できるとは!
そうきたのなら元はとってやる!
ということで破産を骨の髄まで味わうことにした。
破産手続とは?
すでにホームページは閉鎖され、破産管財人の管理下に入っている。
現在は、問合せフォームと、その回答のみになっている。
よくあるお問合せを読むと、いろいろ勉強になる。
当事者でないと読む気には、ならないのだろう。
破産手続とは、
裁判所から選任される破産管財人が、公正中立の立場で、破産会社の財産を管理し換価することによって債権者に配当を行う手続。
よくニュースとかで見る債権者集会は、債権者が日本全国各地に分散しているので、開催しないとのこと。且つ、破産法では、オンライン会議システムを利用した債権者集会を行うことは定められておらず、開催できないらしい。なんだか古臭くて、国会みたいで残念だ。誰も債権者のことを考えないようだ。
プロジェクトのクロ―ジングは、専門用語ではサンセットという。
数回経験があるが、
サンセットは結構面倒で、
少しづつ縮小していく様は、寂しい。
チームメンバーの次の仕事も気になる。
今後の破産事件の手続の流れは、
現在、破産管財人が資産換価中で、破産債権保有者は、破産手続に参加するために、債権届出が必要らしい。
この先、長くなりそうだ。
預託商法とは?
スマフォで小口資金を集め、太陽光発電所の売電から配当を支払う。
そもそも、どこがダメ?
預託商法とは、
購入者が購入したものを販売者に預け、販売者は、そのものを貸し出して、利益を得て、購入者に配当を渡すというもの。
これが、法改正で原則禁止になったようだ。
ただ、預託等取引を行う場合には、金融庁長官の登録や預託者保護のための措置などをすれば認められるなどの情報もあった。
チェンジ・ザ・ワールドのモデルは、
太陽光発電設備は、2つのタイプ。
野立て:土地に直接設置
ソーラーシェアリング:農地の上に設置
耕作放棄地の増加、太陽光発電用地の不足といった社会的課題に取り組んでいる。預託商法なのかもしれないが、社会的に悪くはないと思う。
銀行も、預金者から「お金」を調達後、融資や運用の利ザヤで稼ぐモデルなので、何が論点なのか理解できない。
それにしても少し動き変だ。
「預託等取引に関する法律」が改訂されたのは2022年6月1日だ。
今になって破産するのは、理解できない。
主要因は法改正じゃないと思う。
ネット情報には、この法改正は画期的だとの指摘もある。
https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202112_02.pdf
法改正のトリガーとなった、「特定商取引法及および預託法の制度の在あり方に関する検討委員会」を設置したのは、2020年1月。クラウドファンディング期間と重なる。
消費者庁がやりすぎたのか、チェンジ・ザ・ワールドが悪徳政治家への賄賂を拒んだので切られたのかどちらかだろう??
この謎は今後腹落ちさせたい。
まとめ
気軽に、チェンジ・ザ・ワールドの投資型クラウドファンディングに参加した。これまでクラウドファンディングは、数回参加した経験はあったが、破産ははじめてだ。
太陽光発電、共に取り組む脱炭素、今どきのビジネスモデルに惹かれ、少額とはいえ、太陽光発電事業に関して詳しく調べなかったことを、大いに反省する。
この悲惨な状態で、Sony Bank GATEには責任はないのか?
Webサイトには、審査とモニタリングをすると記載がある。
いろいろ謎だらけだが、
当事者としての経験は貴重だ。
自ら望んでできるものではない。
でも高い授業料になりそうだ。
【今日のひとこと】
はした金など求めず、星を求める生活をしなさい。
(作曲家:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン)
金銭に惑わされず、高い理想や目標を持って生きるのだ。星は遠いが、追い求めることで人生に光を与えることができる。
そのとおりだけど、元本は戻してほしい。。。
《破産手続の記録》
23.04.15
破産管財人への破産債権申請書と証拠資料の送付
23.06.27 破産管財人の破産法第157条の報告書公開。 ザクっと、現時点の破産財団の資産残高3億に対して、破産債権35憶。破産管財人は少しでも配当できると判断し、経費を節約しつつ、各発電所の今後の売却も進める予定。終結時期等は未定。
10%程度は戻るかな?
24.06.27
破産管財人報告書(3)が公表された。合計91件 の太陽光発電所に係る事業の譲渡を実行済み。残、営農型発電所31件。営農型発電所の譲渡実行を実現するには、承継先が農業委員会から農地法上の許認可が必要で、時間がかかっている。
破産者の計算書類や各種資料を調査し、役員による違法行為及び違法行為と相当因果関係のある破産者に生じた損害の有無等の根本的な調査も並行して行われている。
現段階においても、一般破産債権に配当できる可能性が高いと書かれている。すばらしい。
果報は寝て待つ。
24.10.25
破産管財人報告書(4)が公表された。
現時点、
・破産財団の現在残高 11億6099万9634円
・確定一般破産債権額 33億5160万0289円
で積みあがってきた。残、営農型発電所31件に関する農地法上の許認可の取得等に 向けた作業が継続されている。
破産者が破産手続開始前に株式会社 makethe paradise との間で行った発電設備等の売買に関連し、同社を被告として、合計1101万7689円の損害賠償請求訴訟を提起されている。また、違法行為及び違法行為と相当因果関係のある破産者に生じた損害の有無等も調査が継続されている。
未確定金額もあり、まだ時間を要するようだが、30%ぐらいは返金される可能性も出てきた。換価完了時期、 配当時期及び破産手続の終結時期は未定とのことで、感覚的に2~3年はかかるだろう。
さて、27年中のクローズを期待したい。
24.12.25
破産管財人から中間配当が公表された。
全体の80%の財産換価が終了し、残りはさらに時間を要する為、中間配当を実施するとのこと。まだ、原告を破産管財人とする金銭請求訴訟が係属しており、終結時期は見えない。
中間配当を行う総額は、8億9033万9698円、配当率は、優先的破産債権が100%、一般破産債権が25%。配当予定日は、令和7年2月4日。
負債総額が約38億であったことから、配当は期待できない。
東京の法律事務所から、郵便で本件の案内が来た。貴殿への配当0円とのこと。これで本件は一旦締めだな。
教訓:
よくわからない物には、手を出すな。
でも失敗は成功の元。
虎穴に入らずんば虎子を得ず。