【商品考察】ファンドラップ(12)~金融業の魔訶不思議な世界の中で~
ファンドラップのコア資産化を研究しているので、ダイワファンドラップを保有しながらシリーズで書いている。
金融庁が、来年にもコスト開示のルール化に動くようだ。
2017年から「顧客本位の業務運営」といって活動しているが、あまり進展しないので仕組債やファンドラップなどのコスト開示ルールを示し、法定化することが書かれている。
この動きは金融機関は嫌がるだろう。
私が投資一任口座に興味を持つ理由の1つは、
IT運用一任に20年間かかわっていたからだけど、
コスト構造は企業の機密情報レベルの領域だ。
IT運用一任でも『見える化』が常に指摘されていた。
コスト構造はノウハウの塊であり、協業他社との値引きネタに使用されることもよくある。
見える化への対応は、ITベンダーにとって腕の見せ所でもあった。
今後、「手数料等開示ガイドライン」や「利回り等開示ガイドライン」を策定するようだが、金融庁は、余計なことだけはやめて欲しいと切に思う。
金融庁の答弁やレポートには、ガックりすることが多い。
国会答弁の以下の動画の5分ぐらいからの質問(多少簡略化しています)で、
「日本企業成長の原資にするということだが、今回のNISAの拡充で何割が日本企業への投資に回る想定か?」
に対して、金融庁は、
「NISA制度の中での国内外の投資内訳は、金融庁では把握していない」
と小さな声で答弁された。国外への投資比率が高いことは知っているが、岸田資産所得倍増プランのロジックが崩れるので言えないと顔に出ていると思う。ほんとうに把握していないとしたら、職務怠慢というか職務遂行能力の欠如としか思えない。
最近、対話型AIと筆談することが増えた。
何でも聞いてくださいと問いかけられ、
回答後に、「興味深い話題ですね」と持ち上げてくれる。
そして、次の質問案も提案してくれる。
自分で書いた文章の校正を依頼すると、
痛いところを突かれて、凹むこともよくある。
本件を対話型AIと会話した。
なるほど、さすが正論ですね。
もう少し、具体的に質問した。
Bingさんに、大和証券の社長になって欲しい。
大和さんは、特に投資家からのフィードバックを受けようとする姿勢がまったくない。マネックス証券の姿勢を見習って欲しい。
そんな流れがある中で、
週刊ダイヤモンド最新号で、
おもしろすぎる特集記事を見つけた。
金融庁も問題視するファンドラップ
もういい加減、金融庁も問題視する。。。のワンパターンのセールストークはやめて欲しい。
金融庁自身が、よくわからんと言っているだけ。
金融庁が理解できていないファンドラップ
が正しい表現だろう。
週刊ダイヤモンドって、もう少しまともな印象があったが、これは笑える。笑いを意図して書いたとしか思えない。
上記は『週刊ダイヤモンド』3月25日号、第一特集「お金の終活」の1部の抜粋なのだが、本誌では最後にIFAへ誘導するような流れになっていた。金融庁は、こんな雑誌こそ問題視して欲しい。
こんな記事に付き合わないで、自分の頭で考えたい。
この記事のザクっとした前半のシナリオは、
退職されたHさんが、近所にあるM銀行の声のきれいな女性行員から、「資産を形成したいなら、お勧めしたい金融商品がある」と、何度も勧誘の電話をもらったので、のこのこと出かけて行ったら、「悪名高いファンドラップ」を勧められたが、なんとか踏みとどまったという物語。
いまどきそんな営業がいるのか??
とか、
いくらなんでも、『話し相手は老妻のみ』は、おもしろすぎる。いや老妻は、ひどすぎる。
ここまでいくと、意図的な悪意も感じる。
おそらく書き手は、アラカン男子の生態を具体的にイメージできないのだろう。アラカン世代は、タクシーを万札で呼び寄せるバブルを経験している世代だ。株で痛い目にあっている人も多い。
PCは、黎明期から使用している人が多い。100万円以上するノートPCに憧れもした。
話の途中、「ドルMMF」の話題を唐突に挿入している。最後に「外貨建て債券」へ誘導する伏線だろう。そんなミステリーやホラーに近いストーリー展開も面白い。
見せ球をインコースに投げ込んだ後、外角に大きく落ちるフォークを投げ込むようなストーリー展開。
よくある芸能界のゴシップ記事レベルだけれど、タレント名じゃなくて、金融庁とか、投資信託とかのキーワードに変換されると、惑わされるのが不思議だ。
こんな面白い物語を無性に書きたくなった。
ファンドラップ研究者として挑戦する価値はあるハズだ。
金融庁も嫉妬するファンドラップ
金融物語:
『金融庁も嫉妬する「ファンドラップ」、意外と提案されない退職金のラストリゾート』
(1)ファーストコンタクト
退職した僕は、勤めていた会社の持株会の株式を特定口座へ出庫するために、持株会を管理しているA証券にネット来店予約をした。
来店予約するとA証券からすぐに電話があった。
持株会の株を出庫したいだけなのに、元気でハリのある声の女性から、根ほり葉ほり質問を受ける。相手は面識がないが、さすが一流企業の社員さんらしく礼儀正しく質問してくるので、丁寧に応対した。
「ああ、これが噂の退職金キラー営業か。。。めんどくさい」
と思った。
退職金優遇プランなどを説明したいので、2時間ぐらい時間が欲しいと熱心にいう。まあ時間はあるし、少し会話した感じでは問題なさそうな人だったので、他社と比較する上でも聞いておこうと思った。
(2)異世界のビジネストーク
訪問すると、見晴らしの良い応接室へ、電話で会話した女性証券営業に案内された。ネットの噂通り上司も出てきて、「この度は、お疲れさまでした」とあいさつされた。来てよかった。何事も経験が大切。
上司は、バリバリの営業タイプだ。面と向かうだけで圧を感じる。幸い飛沫防止のアクリル板が前あったので営業圧が多少緩和された。
上司をまじえて、ビジネストークを展開する。上司のオーバーな笑いが気になったが、会話の中で笑いを取れてうれしかった。
上司がまた後でと言って退席すると場の雰囲気がガラッと変わった。体育会系ぽいの女性証券営業の表情が急に和らいで、上司が嫌いことがよく分かる。やっぱり、厳しい世界なんだなと同情する。バカな上司ほど扱いに困るのは業界共通のようだ。
世間話をはさみながら、探りを入れてくる。
「最近、暗号資産の動きが激しくてドキドキしています」とか適当に答えても、証券営業はピクリとも反応しない。暗号資産は対象外だからだ。
持ち株会の出庫手続を終えた後、退職金優遇定期預金や販売手数料の高いファンドとの抱き合わせ円定期プランなどの説明を受ける。こんなキャンペーンで買う人がいるのだろうか?
優遇された金利分より、販売手数料の方が高いのはすぐわかる。でもそんなことを提案されるなんてふつうの感覚では想像できないと思う。疑問に思い質問してみた。
「ネットで買えば、販売手数料がかからないファンドなのに、どうしてこんなキャンペーンがあるのですか?」
「そういう方は、ネットで買うことをお勧めします」
と、あっさり返答された。
ほんとうに意図がわからないので、別の金融会社でも正面から質問してみたが、理解できる回答は得られなかった。せめてホテルの冷蔵庫の中のビールぐらいに例えて欲しかった。
まわりの環境が変わっただけの話で、対面金融機関は、過去の習慣を継続しているのかもしれない。そうであっても、変化に対応しない姿勢は理解しがたい。
そうですか。。。という感じでキャンペーンの会話は終わった。
キャンペーンがお得なのは、嘘ではない。この証券会社の通常よりお得だというのは事実だ。
主に製造業のお客様と仕事をしていたので、こんなキャンペーンを企画し販売する金融業界がまったくの異世界で理解できない。
A証券は、一定の残高がないと口座管理料がかかるので、他社で保有している外貨を移管し、口座管理料がかからないようにしたいとだけ話して、1回目の面談は無事終了した。
(3)まったく営業されなかったファンドラップ
持株会から出庫した株と、他の銀行から外貨を移し、口座管理料がかからない残高にして、A証券の証券口座は、放置するつもりだった。
ところが、20年近く利用していた対面証券の支店が支店統廃合され、急になくなってしまった。その時の対応が雑だったので、いやになった。
その対面証券会社で運用する資金の置き場が宙に浮いたので、外債とドル建てファンドの話を聞きたくて、A証券を再度訪問した。
加えてファンドラップに興味を持っていた。ネットには中途半端な広告に近い批判記事しかなかったが、サービスとして悪くはないと考え、試しに買おうと決めていた。ただ、外債の話を聞いた後、さりげなくファンドラップの話題へ自ら振ったが、証券営業は、なぜかまったくファンドラップを売る気がなかった。
そんな時、また上司がやってきて、営業トークがさく裂した。販売手数料が高い、テーマ型ファンドなどを次々に営業されたがまったく心にささらない。
最後にファンドラップの話になった。
「ホームページからリンクされたところに、パフォーマンス実績を公表していて、結果も出ていますよ。お客様のリスクに合った安定運用をするので、お仕事で得たお金を休ませてあげるような、退職金のラストリゾートとして、いいですよ!」と上司は述べられた。
「なぜ、こんなわかりにくいところに、実績を公表するのですか?」
と質問したら、
実は、ここだけの話、金融庁主導の「お客様第一の業務運営」検討は、暇な金融庁に付き合っているだけで、内容がなく各社うんざりしている。だから、どの会社もわざと見つかりにくいところに、嫌々公開しているとのこと。たまたま、ファンドラップもその検討に含まれているので、こんなわかりにくいところに公開しているとのこと。
さらに、ここだけの話がつづく。。。
金融庁の面々は、プライドが高く、贅沢な生活や子供の養育費等で手元の資金が乏しい。だから、多額の資金をポイっと預ける富裕層への嫉妬心から、ファンドラップを問題視しているのだそうだ。
なるほど。わかる気がする。
ここだけの話が聞けることが、対面証券の最大のメリットだ。
上司が退室しても、担当営業が、まったくファンドラップを営業する気がないので、拍子抜けした。回転売買規制の代替品としてのファンドラップでのコストリカバリー説は、都市伝説なのか?
ファンドラップの真の姿は、顧客へ利益が出せるギリギリのコストで運用していて、利益率の低いトヨタの昔のプリウスのように、わざとヘンテコリンなデザインにして、売れないようにコントロールする戦略(噂です)を模倣しているのか??
あくまで真正面から顧客視点でサービス設計し、利益を得ることは考えていない奉仕商品のか???
僕は、ファンドラップを契約して帰りたいとお願いするしかなかった。
形式的なインタビューを受け、リスクレベルを決め、分厚いファンドラップの提案書が印刷された。担当営業が、その提案書を、目の前で小型のホッチキスで留めようとするのだが、下手すぎてうまく刺さらない。
主任営業なのに、ホッチキスが下手すぎる。
頭の中が、また???だらけになった。
もっとホッチキスの先を持ってグイっと一気に押しこまないと、この厚さでは針が刺さらない。下手すぎて見ていられない。
客が持ち帰る資料に、針の穴をあけまくる。
再度印刷してコストを無駄にして欲しくない。
3回失敗したところで、代わりにやりましょうか?
と言いかけたが、大手一流企業の社員さんに、
そんなこと言うのは非礼かなと思い、
「後でクリップで留めるので、それでいいです」
といい、4回目の穴が空くのをなんとか防いだ。
僕は動揺していた。
この主任営業は、いったい何者だ!?
1番近いのは、考察2か或いは、すべてだと妄想した。
いずれにしても、ありえない下手さだ。
後日、この時の違和感を恐る恐る聞いた。
なぞは、ほんの少しだけ解けた。
当時は、長い産休明けの勤務で、商品やサービスも変わっており、毎日バタバタしていたらしい。また縁故採用でもないようだ。
僕の予想は外れた。
まだまだ人を見る能力が低いようだ。
それにしても、産休でホッチキスのスキルが低下するなんて話は聞いたことがない。理解できず腹に落ちない。
ところが、
このギャップに、なぜか💛をつかまれてしまった。
一流企業の主任営業なのにホッチキスが下手すぎる!
この魔訶不思議な異世界を理解する為にも、
ファンドラップを保有しながら日々学んでいる。
以上、
面白さは、週刊ダイヤモンドに負けたかな?。。。
【今日のひとこと】
時流に乗るな、多数派になるな。多数派に巻き込まれたら脱皮して必ず少数派になれ!少数派とは孤独に耐えて自分を守る努力がなければ、純潔は保てぬだろうし、そのようにしなければ芸と名のつく仕事はできないのではないか?
(建築家 村野藤吾、『建築雑誌』(1972年8月号)より)