【商品考察】ファンドラップ(19)~ラップ口座を活用する投資スタイル~
ダイワファンドラップを保有しながら、ファンドラップのコア資産化を研究テーマにしているので、シリーズで書いている。
3年間考察して、最近やっと、ラップ口座を活用する投資家像というか、投資スタイルが明確になってきた。
「あの人を知っている」と
「あの人のことを分かっている」は、
当たり前だが異なる。
目にする多くの広告付きファンドラップの情報は、前者。
ファンドラップのコスト構造や、金融庁の過去のレポート、元証券マンの(数年前の古い)商品性の裏話への理解があったとしても、実際に、自らの課題を、ファンドラップで対策した経験がない(⁉)ので、分かっていないように見える。
見えてきたラップ口座を活用する投資スタイルについて整理してみる。
ファンドラップとは?
ファンドラップとは?との問いに、ヒトコトで答えるなら、
大坂城
と定義している。
徳川大阪城じゃあないよ!現在は地中に埋まっている豊臣大坂城だよ!!
大坂城は、難攻不落。5層のお堀があった。
中心の天守がファンドラップで、
内堀が、自分。外堀が、アドバイザー(証券リテール営業)だ。
さらにポートフォリオマネージャー、各資産クラスのファンドマネージャー、組込みファンドの大勢(50名以上??)のファンドマネージャー、計5層でリスクヘッジする。
その5層の堀の先には、ファンドに組み込まれた企業やその所属社員、関係企業。最外部はその企業のお客様も含まれる。また多くの運用会社が協業する。そんな多くのステークホルダーにより成り立っている。
ユーザーひとりではサービスが成り立たないので、共同で出資しているダイワファンドラップ投資クラブ員のようでもあり、ヒト中心の投資と言えるかもしれない。
いわば大坂城の城下町を形成する投資スタイルだ。
よりよい城下町を共創することが目的だ。
ファンドラップは、よく商品ではなくサービスだと説明されるが、それは販売側の視点であって、利用者側から見ると、サービスというより、ファンドラップをコア資産にした投資スタイルだと思う。
ファンドラップに関する情報が極端に不足しているので、一社だけの情報では、全体を理解できない。各社のいいとこどりで、複数の情報ソースから補完して、考察するしかない状況だ。
野村證券さんのファンドラップの商品説明ページを、たまたま再確認したら、わかりやすく更新されていた。
特に、上記ページ中央の2024年3月に更新された『重要情報シート(回答例)』の中に想定問答集があり、たいへん参考になる。どこが今回更新されたかまでは不明だけれど、ほぼ全体の説明をカバーできている。
どこかの証券会社のキャッチコピーじゃあないけれど、
『やっぱり、野村證券!』
という内容だ。特に、⑩の利益相反の記述がすばらしい。これほどの資料は、これまで見たことがなかった。おそらく大和証券には、この資料を作成できる人材がいないのだろう。
ポイントを要約すると、主に3点ある。
検討スコープは、ファンドラップの対象範囲だけではない。ファンドラップですべての金融分野の課題を解決できないからだ。課題は、複雑なスパゲッティ構造をしていることが多い。顧客側は、真の課題が見えていないこともあるだろう。当然、対面コンサルが前提になる。
ココが大きなポイントだ。
金融分野の課題がない場合はどうか?
これは、課題がないこと(問題が見えない)が課題なのだと思う。本当に課題がない場合は、投資一任フィーによる簿価劣後が課題になるかも。。。
また中長期契約が前提であるので、サービス自体も変化する。利用者もフィードバックすることで、ともに作り上げていく。海外でファンドラップは、既にごく普通のサービスになっているという情報もある。
このサービス改善の継続は、私が経験のあるIT運用一任サービスでも重要視されていた。確かに投資一任フィーは重い。でも各社とも改善は継続している。付帯サービスも追加されていくだろう。
ダイワファンドラップも、24年3月1日に資産保全重視と、より積極スタイルで、最大0.22%のフィーの引き下げがあった。(一般には公開されていない)
更に野村アセットマネジメントのファンドレビュー資料がすばらしい。パフォーマンス、商品性、情報提供の3つの軸で評価し公表している。競合比較、経費率もレビューされている。このような取り組みが、きっとファンドラップにも波及するハズだ。
野村さんの『重要情報シート(回答例)』は、ほぼ完璧だと思うが、2点配慮が欠けている。コストの明瞭性と、解約・換金のパートで、ファンドラップ全体で多少のプラスでも、個々のファンドで利益があれば、税金が徴収され、マイナスになる可能性は、明確に書いてほしい。契約金額が大きければ、解約時の税負担も大きいはずだ。
この野村證券さんの商品説明は、ほぼ完璧なので、無駄な補足はせず、ココを土台にして、考察を先に進める。
ファンドラップを活用する投資家イメージ
同じ人間はいないのだから、平均データや一般論で資産運用を語っても、目安にはなっても、ほとんど意味がない。参考になるのは、概要を知りたい投資初心者層だけだ。
ネットには、読むのに値しない広告付きの記事が散乱している。
回転売買、仕組債の代替云々を例に出し、同じ釜の飯を食う金融村の人が、別の自分たちの商材を売る為のプレゼン。見るに堪えないというより、ぼぼ漫才に近い。
意図的にリスクを下げ、安定的なポートフォリオを顧客が選択した結果を、リターンが低いといった意味不明なことしかいえない。
もうすでに、AIに聞くほうが正解だ。最近は、Gemini くんとも会話するようになった。まだ相談者が少ないのか、コパイロットさんより処理が早い気がする。でも、コパイロットさんの回答の方が、洗練されている気がする。
流石、副操縦士だ。すらすら答える。
ファンドラップに投資する望ましい投資家像について、お答えします。ファンドラップに投資するには、以下のような条件が必要です。
・最低投資金額に対応できること
・中長期的な資産形成を目指すこと
・リスクとリターンの関係を理解すること
・金融機関や運用会社の信頼性を確認すること
・投資先の資産クラスや銘柄の特徴を把握すること
・投資顧問料や手数料などのコストを比較すること
・定期的なレポートやアドバイスを受けること
ファンドラップに投資する投資家像としては、以下のようなタイプが考えられます。
・投資経験があるが、自分で運用するのが面倒な人
・投資経験がないが、専門家に任せることに抵抗がない人
・複数の資産クラスに分散投資したい人
・グローバルな視点で投資したい人
・自分の投資スタイルや目標に合わせたポートフォリオを作りたい人
ファンドラップは、投資家のニーズや状況に応じて、様々なサービスが提供されています。 自分に最適なファンドラップを選ぶためには、事前に十分な情報収集や比較検討が必要です。 投資は自己責任ですので、慎重に判断してください。
以上、Copilotからの回答でした。😊
コパイロットさんの回答に異論はない。自称金融のプロより、数倍納得できる回答だ。
現在の大手証券会社の提案は、大きな欠点がある。ラップ口座では、投資判断を一任できるが、投資行為すべてを依頼できるわけではない。ロボアドの『全自動の資産運用』の広告は無責任すぎる。
大きな2つの欠点、以下の重要プロセスが欠如している。
・どのラップ口座が自分に適しているか?
・運用中のラップ口座が、現時点でも自分に適しているか?
野村さんのサービスの流れでも、閉じた世界でPDCAを回すだけだ。アクションで、ダイワファンドラップへ変更しましょうと提案されることはないだろう。
だから、コパイロットさんの回答にあるように、前提条件として、
・金融機関や運用会社の信頼性確認
・投資先の資産クラスや銘柄の特徴把握
・投資顧問料や手数料などのコスト比較
等をすること、できることは、あたりまえとして、定期的なレポートやアドバイスの有効性も自ら評価できることが重要だ。
本来、投資初心者向けではない。初心者では、ファンドラップへの投資判断ができない。
以上が、ファンドラップを活用する投資家イメージだけれど、
丸投げがだめなのか??
というと、それは、人それぞれということになる。基本、個人の自由だ。丸投げから始めて、徐々に前提をクリアしていくアプローチもアリだろう。
ここまでで、
◎ファンドラップの商品性の再確認
◎ファンドラップを活用する投資家イメージの再考
をしてきた。
最後に、具体的なファンドラップを活用する投資スタイルの考察へ進める。
ファンドラップを活用する投資スタイル
よくネットで、ファンドラップの(クリック目的の)批判記事を見かける。様々な切り口はあるだろうが、議論している投資スタイルが異なり、まったく参考にならない。
3年間、ファンドラップを保有しながら、多くの情報を参照し、考察した結果、個人的な見解だが、メインシナリオは、以下のような投資家が対象になるハズだ。
この出発点のボタンをつけ間違うと不毛な議論になる。
メインシナリオは、60歳でアーリーリタイヤし、
一旦、以下の退職金プランを利用し、3ケ月間の検討期間を経て、
その後、1:1のセットプランで、1,000万円分のダイワファンドラップを買う。こんな感じだ。これがベースモデル。
たとえファンドラップが一旦50%下落しても、他に資金があるから生活は大丈夫という投資スタイル。簿価1,800万円上限の新NISAは、元から関係なし。WalthNaviのおまかせNISAへ、5年かけて1,800万円フルインベストする層とは、元々顧客層が別だ。
かといって富裕層向けではない気はする。富裕層であれば、もっと多彩な選択肢から選べるだろうから、わざわざファンドラップを使う必要はないハズだ。生活費とは別に、ある程度まとまった余剰資金のある準富裕層がメインではないかと思う。
投資経験については、個別株への投資経験がなくても、iDeCo(企業型401K)や持株会の経験は活かせるだろう。
投資家像で前提を置いたように、
余剰金融資産以外と年金で生涯生活できる目途はついている
ので、極端な話、余剰分は、国債でも充分。でも投資経験が、10年程度あれば、国債よりファンドラップを生涯保有した方が益がでそうなことが判断できる。そんな流れだ。
これまでに提示した投資スタイルは、新NISAと、改善されていくiDeCoによって変化するかもしれない。退職時、非課税口座に充分なリスク資産を積立できていれば、退職金等は、ファンドラップを利用せず、定期預金や国債でもよいだろう。
インデックスファンドと比較して、コストが高いとか、益が少ないとかは関係ない。5年程度持って、自分が欲しいリターン、例えば5~7%あれば、それでいい。
そういう投資スタイルだ。
これらの前提を置くことなく、
300万円おためしで3年間保有したが、ファンドラップの成績は、為替差益を享受したインデックスファンドのほったらかし投資やロボアドにボロ負けで、益の大半をフィーでとられて少しだけプラス。ばかばかしいから売る。
というのは、メインシナリオではない。
もしマイナスになったら、原因に対策する。たとえば株価の暴落が原因なら、リスクレベルを1つ上げて、さらに数100万円増額するのがメインシナリオになる。あくまで、目標リターンを最終的に得ることが目的。
目指すゴールは、5~10年後に、目標リターンが得られているかどうかだ。
オルカン一択、ほったらかし投資は、魅力的ではあるが、利確の誘惑、損切の愚策に翻弄され無事ゴールできるかは、未知数だ。ファンドラップは、金融資産が単に増えればいいという投資ではない。期待するリターン達成の確率を高める投資だ。
この大前提となる投資スタイルが議論された文献は見たことがない。
先日、『ファンドラップは、やっぱり大和証券。~インフレから資産を守る「国際分散投資」~』
という長いタイトルの大和証券のウェビナーがあった。このセミナーの中のQ&Aコーナーで、商品性を改めて再確認できた。
「投資初心者で、資金を一度に入れるのが不安です」
という入金に関する質問への大和証券さんの回答は、ごく普通に、
ファンドラップと定期預金のセットプランで半々で入金してみては?
という回答だった。投資資金の半分を投資するというのは、そうかな?とも思うだろうが、このセットプランは、1,000万円以上の購入が条件だ。最低金額300万円を入金後、数カ月ごと100万円追加してはどうか?ではない。もし、投資資金が2,000万円以下であれば、NISA対応のロボアド等を選択すべきなのだろう。
最後にまとめると、
ファンドラップを活用する投資スタイルとは?
余剰資金をファンドラップで生涯運用するとともに、投資一任により資産運用から解放されることで、他の相続対策などの難易度の高い課題に、自ら取り組む。
そんなプロアクティブな投資スタイルだ。
前提としている投資モデルは、以下のとおり。この投資モデルに関しては別途整理することにする。
まとめ
新幹線のグリーン車は、JRが儲かるだけなので、乗車するのはバカだ!!
というレベルのファンドラップ批判的記事が溢れている。
投資一任フィーのコスト負担を、さも得意げに誇張して見せる情報ばかりなので、ファンドラップの商品性を再整理してみた。
じゃあ、なぜオルカンではないのか?については、
個人的な主な理由は2つある
・推奨者との相性が非常に悪い。
・x国へ無条件に投資したくない。
からだ。
ただ、ベンチマークとして、オルカンを新NISA口座で積立ててはいる。
結果は、想定より良いが、同時期に同じ条件で積立を開始した、アクティブファンドのAB米国成長株投信に、約3ケ月間、円建ての終値で1度も勝てていない。
改めて「全面改訂第3版 ほったらかし投資術(朝日新書)」を読んでみても、
ほったらかし投資は、プロが考える最善の運用に大きく劣らず、なるべく簡単に実行できる、個人にとっての資産運用の具体的方法、その公式本を作りたい。
という出版の主旨だけしか共感できなかった。
著者の人生観、価値観に共鳴できなけば、1mmも心に響かない。書籍の中で、オルカンや日本国債に投資する意義や意味は、ひとことも語られていない。単なる金融語による商品説明しかなかった。
単に効率的、合理的にお金が増えさえすればそれでいい。
には共感できない。
私のファンドラップへの探求は、つづく。。。
【今日のひとこと】
露(つゆ)と落ち、露と消えにし我が身かな
浪速のことは、夢のまた夢
(豊臣秀吉 辞世の句)
株式市場最高値も、
投資一任フィーに消えにしファンドラップ
億り人へは、夢のまた夢
とならないように、精進していきたい。
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