国境を超えたユーザーリサーチから得た発見を”文化の違い”だけで片付けない
こんにちは、WHITEのフルカワリョウタロウです。
普段はWHITEでサービスデザイナーとしてやっていて、ユーザーリサーチやらコンセプトデザインやらを考えたり、やったりしています。
EPIC2018というカンファレンスに行ってきました🙌
10月9日から12日の間、ハワイのホノルルで開催されていたEPIC2018というカンファレンスに参加してきました。
EPICは「文化人類学等で使われてきたリサーチ手法であるエスノグラフィをどのようにしてビジネスに活用するのか」ということをテーマにしたカンファレンスです。
エスノグラフィはもともと、文化人類学で使われていた調査手法の1つです。
対象となる民族や集団の行動を観察して、対象となる人々の価値観を見出していく手法として使われています。
近年は、学術研究の分野以外に企業の商品/サービス開発やマーケティングリサーチでも活用されるようになりました。
EPICは学術的な分野から生まれたエスノグラフィがビジネスの場でどのように活用するのかがわかる場となっています。
今年のEPICにはairbnbやuber、amazonといった名だたる企業のメンバーが参加し、スピーカーとして登壇していました💪
国が違うことによって生まれる違いの理解
今回は、EPICのカンファレンスの中でも「Goals and Methods in International Business Ethnography」というテーマで日立の方が話されていた国を超えたエスノグラフィをする際についての発表に焦点を当てた内容にします。
国を越えた対象者に対してエスノグラフィをする際に、よく出て来るのが”文化の違い”だそうです。「文化の違い」ってすごい便利な言葉ですけど、果たしてそれが全てなのでしょうか、というテーマの発表でした🤔
当たり前ですけど国が違うと、背景にある社会や経済、法律の仕組みが異なります。
”文化の違い”を生んでいるのは、この根本にある背景にある仕組みの違いです。
そこの部分まで理解した上で、リサーチを行わなければ、間違った結果になってしまうのではないのかという議論を投げかける発表を実際に彼らが行なった事例を合わせて話していました。
実際の事例はヨーロッパと日本の電車のメンテナンス職員の事例です。
日本の終身雇用に対して、ヨーロッパの流動性の高い雇用といった労働市場の違いから、同じ仕事でもスキルセットが異なること、政府による支援があるのか、自由化をしているのかといった根本の仕組みの違いをリサーチャーが理解をした上でエスノグライフィを行なったと話していました。
ぼくがこの話を聞いていて、パッと思い浮かんだのは、日本に旅行で来ている外国人観光客がよく酒飲みながら街を歩いていることです🍺
日本以外の国では、法律で路上へ屋外の公共の場ではお酒が飲むことができません。
それを踏まえて考えると、彼らがお酒を飲んでいるのは単純にお酒が好きすぎるというよりも、自分の国では出来ないことをしてより”旅行をしている感”を楽しむためにやっているんだと、考えました。
まとめ
このように、仕組みの違いによって生まれる行動の違いは、遠い異国に行かなければ見つからないことではなく、身近でもみつけることが出来ます。
近年のインバウンド需要の高まりや2020年のオリンピックに向けて、直近、日本には多くの海外の人が来ることが予想されます。
彼らの存在は無視することは出来ませんし、彼らに対してサービスを提供する時には忘れてはいけないインプットなのではないのでしょうか。
今回はEPICの1つの公演に焦点を当ててレポートしました。
その他、今年のEPICではこれまで分断されていた観察による定性的な調査とデータを用いた定量的な調査をいかにして組み合わせ、サービスデザインやUXデザインに活かしていくのかが議論の中心となりました。
その話についてはまた別の機会に書きたいと思います。