20代の内にやっておいた方がいいことって何?ー『人生は20代で決まる』と『ライフピボット』
はじめに
「20代の内にやっておいた方がいいことってなんだろ?まだやってない坊主にしてみるとか?」20代の終わりが近くなってきてそんなことを友人に尋ねていた。大したことも思いつかないし。
「20代でやっておきたいこと」と検索すると、たくさんの情報がヒットする。本もいくつか出ているのは知っていて、YouTubeで本の解説動画も見た。それでも共感する答えは特に見つけられないなと思っていたところ。「運動しろ!」は見飽きたし、「本を読め!」はもっと前から実践している。そんな説明ばかり。なんかこうモヤモヤが晴れないなと思っていた。そんな時に知人が紹介していた本があった。
「20代は自由を謳歌する時間じゃない!有効に過ごせないと後悔する!」ということをデータや事例ともにアドバイスしてくれているのが本書だ。仕事、恋愛、脳と肉体の3つの話に分けてアドバイスしてくれている。20代なら誰もが不安に思い、どうしたらよいかわからず迷子になっていることについて、進むべき道を輝らしてくれる内容だ。
どう自分のキャリアを築いていくか。その不安の真っ只中にあって、未だに答えを模索している私には、仕事の話がとても印象的に目に飛び込んできた。中でも印象的だった一文がある。
「でも、何かいいものって、ただ待っていれば来るわけじゃないわ。一つの立派なスキルこそ、あなたがもっといいものを得る手段なのよ」
(メグ・ジェイ 『人生は20代で決まる 』p62、 ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
ああ、なんか似たような話を最近読んだなと、黒田悠介さんの「ライフピボット」を思い出した。
10年後すらわからない
連想したのはこちら。
何かにつながると信じていまの仕事に真剣に取り組もう
(黒田悠介 『ライフピボット 』p37、 株式会社インプレス)
ライフピボットとは、キャリアが見通しを持って計画できないという前提に立ち、目の前の仕事に真剣に取り組むことで新しいキャリアへ転換すること。経験を蓄積しておくことが、より望ましいキャリアへの転換を手助けしてくれる。
VUCAで変化が激しいと言われても正直ピンとこないものの、自分が一つの仕事を定年まで勤め上げるイメージができないことは確かだ。定年になった時どころか10年後、20年後にどんな仕事をしているのかすら想像できない。
子供の頃は就職したらなんとなく昇進してなんとなく定年を迎えるものだと思っていた。現実はそんなことはないし、なんとなくで定年まで同じ会社に勤め続けられないことを今は知っている。なんとなくの勤務のために我慢することが毒であることも。
我慢して仕事だけに没頭することは、褒められた生活モデルではなくなっていると思う。ましてや自分はただ我慢することに耐えて生きられるタイプではなかった。
安定して給料をもらえるとか、高い給料がもらえることは、万人のベストアンサーではない。そもそも、変化のスピードが早いから「安定」の定義も変化し続けていると思ったほうがよさそうだ。「1つの会社に入社したらもう安心して定年を迎えられる」という考え方は、40年後も同じとは限らない。安定がわからないなら、自分で決めて進み続けることこそが納得して生きられる道になる。
『人生は20代で決まる』でも言われている。
自分探しをし、同時にその途上で社会に関わっていこうとする勇気を持つ二十代は、より強いアイデンティティを得ることでしょう。より高い自尊心を手にし、より辛抱強く、現実的になれるでしょう。アイデンティティ獲得の道は前向きな結果に結びつきます。自分というものをより明確に意識し、人生の満足度が高くなり、ストレス・コントロールがうまくなり、想像力が強まり、そして周囲に容易に流されることなく自分をしっかり保てるようになります。
(メグ・ジェイ 『人生は20代で決まる 』p53、 ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
最初から最善の答えを見つけることは難しいけれど、興味や関心をもって一つのことを追求した先にまた別の選択肢が見出だせると思う。それが結果として、偶然によるキャリアの転換を呼び込むだろう。
また、その試行錯誤の中で自分の得意なことや苦に感じないこと、自分の使命だと思える仕事に近づけると、より納得感をもって仕事に向き合えるし、幸福感も高くなるのだと思う。不安だからといって安定に飛びつくことは思考停止なのかもしれない。
おわりに
「20代の内にやっておいた方がいいことってなんだろ?まだやってない坊主にしてみるとか?」
などと取るにならないことを言っている場合ではなかったのだ。ボーッと生きてしまってた。
「仕事では●●について詳しいです!」「一番の趣味は●●!」が、即答できるようになる。20代のうちできるようになりたいことって、そういうことなのかも。