感想『ライフピボット』黒田悠介
変化の激しい時代、就職したらそこで定年まで居続けることがほとんどない時代。
そんな時代で納得した生活を送るにはどうしたらいいのか。
考え方から次の行動の方向性まで教えてくれるのが、この「ライフピボット」でした。
何もせず楽な人生を送りたい人には向かないけれど、自分の人生を自分で選びたい人、充実した人生を送りたい人には一読の価値があると思います。
前提の話
著者はバブル崩壊以降、人生の流れが変わったと言っています。学校→仕事→老後というシンプルな3段構造から、多様な生き方の選択肢が増えたということです。
ライフスタイルが多様に変化するようになったため、自分の理想の人生は自分で考える他なくなりました。
なぜライフスタイルが変化するようになったかを著者は、①人生の長期化、②ライフスタイルの短期化、③世界の変化の加速 と表現しています。
終身雇用をやめる企業が増えていることなんかからも、1つの企業で勤める期間が短くなっていることは想像しやすいかと思います。
一方、個人のキャリアの8割は偶然によって決定される、計画的偶然性理論というものもあります。
こんな変化の激しい時代で偶然を味方につける方法の1つとして挙げられているのが、ライフピボットという考え方なのです。
ライフピボットという考え方
偶然に左右されるとはいえ、その偶然を計画的に味方につけることは可能です。
その考え方に則って著者が考えるのが「ライフピボット」という考え方です。
これは経験の蓄積を軸に、キャリアを転換する考え方です。この蓄積には3種類があって、①価値を提供できるスキルセット、②広く多様な人的ネットワーク、③経験によるリアルな自己理解 となっています。
これを掛け合わせることによって次のピボット先の選択肢を増やしておくことが、偶然を味方につけることになり、より納得のいくキャリアの転換に近づくことができます。
人の誘いに乗るようにしたり、趣味のコミュニティを持ったりして、他者と関わる中でスキルや自己理解を深めていくことが良さそうです。
キャリアは仕事に留まらない
キャリアという言葉を使うと、なんだか勘違いしてしまいそうになります。1つの企業の中で、どのように役割を変えていくか みたいに。
でもそんなことはなくって、趣味や特技だってキャリアの一部になることもあります。最近ならプロボノという関わり方もありますし、趣味のスキルを伸ばせるようなオンラインサロンに入ることもできます。
この本が教えてくれているのは、短期的な転職を成功させることではありません。逆に自分の人生を長い目で見た時に、どう準備を進めていくかの話であり、日々意識することが明確になった気がしました。