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研究プロジェクト Day2「ニーズはありそうだが…」
解決を目指す社会的課題
これは前回の記事で書いたとおり、介護人材の不足=介護難民の増大という問題。
この問題に関しては、2025年に55万人の介護人材が不足という数字をよく目にするが、この数字の出元は、各都道府県が出した第7期介護保険事業計画の介護サービス見込み量から推計されたもので、2016年に190万人いた介護人材を2025年には245万人にまで増やす必要があるという推計結果が根拠になっている。
実際に介護人材がどのくらい必要になるのかは分からないが、数十万単位で足りないというのは間違いなさそうだ。
仮に50万人の介護人材が足りないとすると、職員1名で3名の利用者をみるという前提だと、150万人の介護難民が出る、とも言える(少々乱暴ではあるが)
要介護状態となっても介護サービスを利用できないとなると、現実的には放置するか家族が介護するという選択肢しかない。介護保険を使わずに生活全体を支えるほどのサービスを受けようと思えば、月に数十万のお金がかかるだろう。家族の介護のために離職する介護離職問題も深刻になるし、介護を受けられずに著しく生活の質が下がってしまう人もたくさん出てくるだろう。
介護人材の確保問題はもう随分前から騒がれているが、2025年どころか2020年現在でも不足している。理由は色々あるが、個人的には需要を満たすほど介護人材が充足することはないと思っている。
介護事業所だけで介護の需要を満たすことは難しくなってきたので、地域全体で支え合おうというのが地域包括ケアだが、これも自治体によってはまったく進んでいない。
特に訪問介護のヘルパー不足は深刻で、希望した日時にサービスを受けられない、そもそもサービスを受けられない、という地域も増えている。
これをなんとかできないか、というのが研プロでのビジネスプランの出発点となっている。
ビジネスプラン
現時点で考えているビジネスプランは、介護ニーズとそれを満たしてくれる人のマッチングサービスだ。
食事をつくる、(大)掃除・庭掃除、洗濯、買物、通院など、様々な介護ニーズを、スポットで働きたい人とマッチングしてサービス提供しようというものだ。
キッズラインの介護版のようなもので、家事代行の領域でもこういうサービスはあるし、介護分野でも介護事業所とスポット人材のマッチングサービスがある。千葉県には僕らの考えたビジネスプランとほぼ同じものをすでに形にしている企業もある。
アイデアとしては全く新しいものはなく、特に介護業界の人なら誰でも思いつくレベルのものだ。
しかし、なぜこういったビジネスがなかなか出てこないのだろう?
まずは通院支援サービスから
まずはひとつのサービスに的を絞って、自分達に見えていないニーズや問題を探ったり、オペレーションの構築をしようと思い、通院支援のマッチングから始めようと思った。
ここまでにも様々な介護業界の人にインタビューさせてもらったが、通院介助に苦労しているという話をよく聞いた。実際自分も介護業界にいるが、通院介助はなかなかきつい。
最初に通院サービスを選んだ理由としては、
①ニーズがかなりありそう
②家に上がらなくてよい(知らない人を家に上げるのは不安)
③連れていくだけなら専門性はいらない
④数時間一緒にいるので色々話を聞かせてもらえそう
などがあるが、ただ連れていくだけでは差別化要素がないので、その辺も知恵をしぼったりした。
チラシを作り、まずは1件でもいいからサービス提供して、現場を知り実感を掴みたい。ということで、グロービス関連のコミュニティのみでモニター募集をした。
また、福岡市早良区のある地域の公民館で、高齢者を対象としたイベントに参加させてもらい、通院支援サービスの説明をして高齢者に意見を聞いた。
公民館では様々な意見をいただいた。チラシが分かりにくい、ニーズはあると思うけど自分は対象ではない、モニターという言葉が分かりにくい、モニターであっても無料は気が引ける、病院側があなたたちを通してくれるのか、などなど。
それ以外にもグロービス仲間の医師や福岡市役所の方からも色んな意見をいただいた。
もっと課題の解像度をあげるため、ペルソナとカスタマージャーニーマップもメンバーで作成してみた。これをやると色んな気づきはあったが、分かったのは、顧客にリーチできていないことと、実際にサービス提供するには色んなハードルを超えなければならないということ。
各所から得た意見などを踏まえて、チラシを作り替え、今度はポスティングしてみることにした。ここは福岡市在住のメンバーが休日を使って800部ポスティングしてくれた。
ここまでが、Day2までの動き。
粘るかピボットか
Day2では、レイさん(山中講師)の研プロに参加する3チームが進捗を報告し、意見交換をした。他の2チームも進んでいて、どんどん解像度が上がっていてすごいなと思った。
研プロのクラスでは、進捗の共有と意見交換が終われば、自チームのみでのディスカッションをし、最後に講師がまとめをして終わる。
通院支援サービスについてはまだモニター応募がなく、その理由はいくつか自分達でも分かっているので、しばらく頑張って箸にも棒にもかからないようなら、ピボットを考えなければならない。
通院付き添いにかかる負担・負荷・不満はかなりあるので、絶対ニーズはある。しかし、信頼できる人ではないと頼めないし、価格の問題や、不満はありつつも代替サービス等で何とかなっているなど、クリアしなければならないハードルが多い。最初のサービスとしては少し大きいのかもしれず、ここの踏み込むのは順番的にもうちょっと後なのかもと思い始めている。
こうやって実際に行動することで、計画段階では見えていなかった難所が出てきては知恵を絞るというのは、まさに現場でしか味わえないこと。いけるとこまでいってみたい。
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