2022年の振り返り/理念を実現するために「やめた」こと
株式会社イデアルを経営しています、和田 亮(わだ りょう)です。
今年2022年の3月から始めたnoteも、早いもので9回目。
たくさんの方に読んでいただきました。ありがとうございました!
今回のnoteは年末らしく、2022年の振り返りと2023年の抱負を書いていこうと思います。
2022年は「やめた」ことが「新たな一歩」
2022年を振り返ってひと言で表してみると、「新たな一歩」という言葉が浮かびました。
考えてみると、この「新たな一歩」はコロナが始まってからずっと続いているような気がします。
コロナでの外出自粛は飲食業界に大きなダメージをもたらしました。「外出NG」「集会NG」と言われ、2021年からは外出はOKになったものの、いろいろな制限がつく。
居酒屋にみんなで集まって大声で騒ぐ、なんてことは難しい状態です。
イデアルのお店も例外ではありません。お客様の目の前で料理を振る舞えない。そんな日々が続きます。
「それなら」と、2021年から料理のデリバリーや通販に手を広げました。これも今思うと「新たな一歩」だったと思います。
でも、イデアルのお店の従業員はデリバリーや通販に向かない人間ばかり。お店でお客様に直接料理を作ったり出したりするのが心底好きな人間が多く、みるみる従業員のモチベーションが下がっていきます。
私にとって従業員が輝くことが一番うれしいことなのに、そういう環境にはなれませんでした。誰も幸せではない状況です。
イデアルの理念は「Make People Happy」。従業員だけでなく私もお客様もみんなを幸せにする、という理念です。例え世の中がどんな状況になっても、この理念だけは変えたくない。
2022年は、思い切って新しく始めたデリバリー・和食の通販をやめました。
もちろん、以前から行っている佐渡牛通販『金山』は、お弁当事業の部門で生産していて需要もあるので続けていますが。
また、イデアルには税理士や弁護士・社労士などがいて、従業員をバックアップする環境が整っています。
調理師が苦手とするお店の補助金などの申請や各種届出は、会社が全て引き受けました。
そして、従業員には自分たちが好きな「お客様に直接料理を作ったり出したりする」ことに専念してもらいました。
2022年における一番の新しい一歩はこれです。店舗で働く従業員に、違うジャンルであるデリバリーや通販を辞めて、従業員に本来の好きな仕事をさせるようにした。
これが、イデアルの新しい一歩でした。
イデアルでは前々から、できるかぎり労働時間を少なくしたり、給料や福利厚生を高くしたりするような努力を続けています。もちろん、今後もそういう幸せは残していくでしょう。
ただ、イデアルのみんなには今後「独立」など、より高い目標に向かって進んでもらいたいと思っています。従業員が自分の好きなことを思いっきりやって、働くことにもっとやりがいを持ってもらいたいからです。
独立することは確かに大変。でも、独立した人に話を聞くと「大変だけど楽しい!」と100%答えます。
独立には経営者なりの楽しさがあります。責任を負わなくてはいけないことは増えますが、全部の責任が自分にあるところも楽しい。
人に指示されることなく、自分の意志で自分の好きにできるところがいい。「自分の人生を生きている」感じがする。
そんな風に、今後は自分の意思で自分の人生を創るおもしろさを少しでも多くの従業員に味わってもらいたい。そのための支援を強化していきたい。
そんな、新しい理想にシフトしたのが2022年でした。
退職を決めた従業員が、もう一度イデアルに戻ってきた理由
2022年にはまだまだ思い出深い出来事があります。嬉しかったこともたくさんありました。
中でも印象的だったのが、退職を決めた従業員が戻ってきてくれたことでしょうか。
「やっぱり、イデアルがよかった」と戻ってきてくれたんです。しかも3人も!
もちろん、前々からイデアルに再就職してくれた従業員はいます。でも、このコロナ禍に入った頃から増え始めました。
5年くらいイデアルを離れてから、また戻ってきてくれた人も。コロナ禍で辞めてしまったけど、「イデアルがいかに恵まれているかわかった」と戻ってきてくれた人もいました。
印象的だったのが「カフェを開店させたい」という夢を叶えるために転職活動をしていた人です。
転職活動中にいろいろな飲食店の社長と会ったり話したりしたそうです。どの社長も「とりあえず働いてくれればOK」というスタンスだったとか。従業員や飲食業界の未来を考えていないのかな?と感じる場面が多かったと言います。
そして、「やっぱり、イデアルで働きたい」と思いとどまったそうです。
「和田社長より一緒に働きたいという人がいなかった。自分の夢を変えてでも、また、和田社長と一緒に働いてもいいですか?」と、イデアルに残る決断をしてくれました。
その言葉を聞いた時は、本当にうれしかったです。
私は「今の飲食業界を変えたい!」といろいろ頑張ってきました。従業員が長時間働かなくても良くなるようにしたり、待遇も良くしたりするように努力してきました。
ただ残念ながら、まだまだ自分が思い描いているような「ホワイト企業」にはなっていません。
それでも試行錯誤し、他の飲食店に比べればまだ良いレベルの水準まで行くことができました。結果、従業員がまたイデアルに戻ってきた。そう思うと頑張ってよかったな、と本当に感じました。
また2022年から始めた「Twitter」も現従業員だけでなく、以前在籍していた従業員含めて外部に私の日常の考えを伝えられる一部になってきてます。
以前は毎月全体会議や店舗会議などの公の場でしか私の発言を聞かなかったメンバーも、たまにお店に顔出すと「Twitter見ています!」や「〇〇大変でしたね!」など呟いたことで会話が生まれたりします。
2022年はTwitterを始めましたし、今これを書いているnoteを始めました。Twitterやnoteも2022年の「新たな一歩」ですね!
直前でメニュー変更も。「クールジャパンEXPO in NIIGATA」秘話
2022年には忘れられないイベントがありました。それが11月に朱鷺メッセで開催された「クールジャパンEXPO in NIIGATA」です。
私はこの「クールジャパンEXPO in NIIGATA」で実行委員会を務めさせていただきました。
イベントが開催されたのは11月。でも、準備はなんと4月から始まりました。補助金を国に申請するところから始まり、私自ら、「新潟といえばここ」というお店に「出店しませんか?」と声をかけました。
結果、ミシュランを獲得しているような有名店が出店してくれることに。
とても嬉しかったのですが、同時に心配になりました。
「誘った自分がお店の評判を下げたらどうしよう」「SNSなどで酷評されたらどうしよう」と。
せっかく出店を快諾してくれたのだから、お店の人には「出てよかった」と感じてほしい。そう思った私は、出店するお店に自らアドバイスをしました。
もともと高級なお料理を出しているお店。値段もかなり高め設定です。ただ、朱鷺メッセのイベントでその値段は少し高いような気もしました。
もう少し価格を抑えた方がお客様が手に取りやすく、何よりも喜ばれるのではないだろうか。メニューも普段お店で出しているお料理より、もっとイベント向けのメニューがいい。お店の人と一緒に試行錯誤しながら考えていきました。
今回参加したのは、「クールジャパンEXPO in NIIGATA」のようなイベントに出店したことがないお店ばかり。
お店同士のコラボレーションの経験はあっても、厨房設備もない場所での保健所の申請から様々な手続きをどのようにやればいいのかみんな手探り状態。
しかも、お店の人は普段の店舗での運営が忙しく、ミーティングも簡単に開けません。
いろいろと難航しましたが、何とか価格やメニューも決まりました。
「後はイベントの開催を待つのみ」という直前まで来て、突然メニューを変更しなくてはいけなくなるというトラブルが…。急遽、メニューを変えてイベントに臨みます。
結果、イベントは大成功。来てくれたお客様もとても喜んでくれました。
お客様だけでなく、出店したお店の人からもお礼をいただきました。「今後イベントがあった時にどう出店すればよいか勉強になりました、ありがとうございました」と言われた時は大変だったけど頑張ってよかった、と思いました。
振り返ってみると「クールジャパンEXPO in NIIGATA」の実行委員会の仕事は、2022年で一番大変な出来事でした。
でも出店したお店の人やお客様に喜ばれ、思い出深いうれしい出来事の一つにもなりました。
2023年のイデアルは「働きながら学び、独立できる場所」になる
2023年からのイデアルは「大人の学び場」的な要素を増やしていきたいです。
「大人の学び場とは?」と思った人も多いでしょう。
イデアルは以前から、会社のバックオフィス業務(経理や財務など、お店で直接働くホール・キッチン以外の業務)に重点を置く経営をしてきました。これは飲食業界ではあまり聞いたことがないのではないでしょうか?
なぜバックオフィス業務に重点を置いているかというと、これは私が独立した頃までさかのぼります。
独立した時、私は「お店に関わることは全部自分でやりたい!」と思いました。料理だけではなく、原価管理や採用といった「経営」に関わる部分も自分の手でやってみたい、と思ったのです。
「税理士さんが細かく数値をチェックしてくれていたのは、税金をきちんと納めるためだったんだ!」「でも、経営者はいかに売上を上げるという目線から数値を見たいな」
と、立場によって数値に関する見方が違うことも身を持って体験しました。
経理もゼロから勉強。結果、バックオフィス業務を充実させるのが得意になりました。
来年は長年培ってきたこのバックオフィス業務のスキルを、もっと活かしていきたいと思います。
それが「大人の学び場」としての環境を整える、ということです。
以前から行っていた調理師学校とのバックアップは継続。「新人を受け入れる」基礎固めはもちろん続けて行きます。並行して、「独立を支援する」ための基礎固めにも重点を置いていきたいです。
今まで私やイデアルが培ってきたバックオフィス業務のスキルを、独立したい人たちへと継承したいと思っています。
バックオフィス業務だけではありません。もちろん、料理人としてのスキルを学べるような研修も充実させていきます。
コロナでできなかった海外での経験も豊かなトップシェフを招いての研修も、来年は再開させる予定です。
どのスキルを学んでいくかはその人次第。独立に必要な経理などのスキルを学びたいなら学ぶ、料理人としてのスキルを極めたいなら料理を学ぶ。
実は、2024年以降に新しいお店を作る計画があります。2023年は新しいお店の出店の準備も兼ねて「大人の学び場」を充実させ、2024年からの独立をサポートしていきたいですね。
2023年のイデアルは「働きながら学び、独立できる場所」になります。
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。
引き続きお店や会社のことをnoteに書きたいと思っています。ぜひチェックしていただければと思います。よろしくお願いします。
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