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自由律俳句 #172

【眩しくて手をかざしている人】


交差点に差し掛かる。
赤信号になりそうで、私は歩みを止めた。

正面からの太陽が眩しい。
手をかざして、目元に日陰を作った。

私が渡ろうとしている横断歩道の先に、
同じように手をかざしている人がいる。

一瞬、
手を振られているのかと思ったけれど、違った。

その人も眩しいだけのようで、こちらの方は見ていない。

その人は、私が待っている位置から、
対角線上の方に歩いていく。

その人も手をかざしながら横断歩道を渡っていた。
その様子を勝手に見守りながらも、やはり眩しい。

目の前の信号が青になったのかも見えにくくて、
隣で、一緒に止まっていた車が進み出したのを確認しつつ、
私もゆっくり歩き出した。


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小島涼太郎
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