【前半】未来に期待せず、自分に期待しよう
このタイトルを付けたのは佐藤航陽さんの『未来に先回りする思考法』という書籍を読んでいての率直な感想。
※ちなみにまだ全4章の2章を読み終わったところなので、【前半】と、タイトルに付けている。後半が楽しみになるような文章にしないと。
この本の前半を整理すると、下記3点に集約される。
①未来に先回りするにはテクノロジーへの理解が必要で、理解を促進するには近視眼で物事を見るのではなく、そこに隠れる原理原則のパターンを探す力が必要
②テクノロジーの進化には3つの特徴があり、その進化は「点」ではなく「線」で捉える
③インターネットを中心とするテクノロジーは、社会をどう変化させてきたのかを歴史~現代までの時間軸の変遷も考慮して捉える
これはあまり読者のことを考えられていない構成で申し訳ない気持ちですが、下記に僕がこの本を読みながらメモをしたことをコピペする。
要約ではなく、あくまで断片的なメモというか、キーワードに過ぎないので、ストーリーとして読みたい人には、ぜひ購入して読んでもらいたい!
この本の主題の1つが「物事は点ではなく、線で捉えろ」なのだが、速攻で点で書いちゃうあたりに恥ずかしさを覚えながら、備忘録として。
第1章
・ビジネスは、何が正しくて何が間違っているのかをリアルタイムにフィードバックをもらえて仮説を検証できるツールである
・プライベートエクイティのビジネスモデルは現代では既に古く、未来は予測不可能なことを前提に投資するVCが利益を上げてきている
・「地図を捨ててコンパスを持つ」というスタイルのリーンスタートアップ手法は一見、将来の予測不可能性を考慮しているように思えるが、競合も使いやすいため、必然とレッドオーシャンに陥りやすい
・テクノロジーが持つ3つの特徴
1)人間の能力を拡張させるもの
ex.蒸気や電力は人間の手足の動力を何万まで増加させ、コンピューターやインターネットは人間の知性を1個体の能力値を遥かに超えさせた
2)人間を教育しはじめる
ex.コンピューターは元々、計算機能を持つ機械という存在であったが、データを学習し、知能を発達させて、「教える」という教師的な性質を帯びてきた
3)身近な所から、宇宙まで遠いところまで波及する
ex.石器が生まれた時代から発明は近くで起こっていたが、徐々に身体の近くから室内に移り、室外外への汽車や自動車に移動し、そして宇宙という空間まで波及している
・コンピューターが生まれたのは軍事産業。敵の軍用機を砲撃する際のミサイルの角度や速度の計算に持ち寄られていた。そこからビジネスの世界に持ち込んだのがIBMであった。
・AIの再現の話は50年前から存在していたが、その時にはAIに対して2つの立場が存在していた
1)人間の精神をプログラムで再現する必要があるという立場
2)人間と同じように振る舞えれば、それは人工知能であるという立場
現在はAIというと後者を指す場合が多い。
・後者のAIが何かを実行する時は、学習→パターン認識→予測→実行のフレームを繰り返し行なっている
・AIが知性を持ち、即座に学習する能力を身につける未来はそう遠くない。その時になると、マニュアル化が可能なものは全て代替される
・ディズニーや少年漫画は人間の感動パターンを形式知化して、そのノウハウを使って作品づくりをしているので、失敗作が少ない。今後は感情という最も数値化が難しい分野も、どんどんデータ分析を取りやすい環境下に移っていく中で、解明されていく確率は高い。
・人間の「五感」がインターネットとデバイスという形で世界の隅々まで拡張していき、人間がなかなか取れなかった情報が取れるようになっていく。
・Googleは人工衛星を作っているSkyBoxという宇宙ベンチャー企業を5億ドルで買収して、安価にインターネットを提供できないか構想しているが、これはインターネットにつながる環境にいない50億人を取り込もうという目的。SpaceXも超小型衛星を700機打ち上げて、衛生インターネットを構築するという計画を進めていて、今や宇宙産業は物理的に残された唯一のフロンティアなので、世界的なITはこぞって開拓を目指している。
・衛生が捉えた情報と、地上に散りばめられたセンサーからの情報を適合すれば、これまでわからなかった、新たなパターンが解明される可能性は高い。
・「点」ではなく、「線」で考えれば未来のパターンをある程度予測できないことはないが、それ以上に「いつどのタイミングで世にリリースすべきか」の方が、世の中に受け入れられるかどうかを左右する上で、何倍も重要で、かなり難しい。iPhoneはタイミングが良かったから、ここまで受け入れられた。
第2章
・イノベーションには「必要性」がないと発展しない。日本は既に充足感が強いので、イノベーションを起こす必要性を心の底から強く感じられない。一方で、アメリカの次にナスダックに上場する企業数が多い、わずか人口800万人のイスラエルは、国外との政治的な緊張関係から、政府や民間、大学が連携して、対外的な影響力を持ち続ける必要性が高いので、イノベーションを生ざるを得ない。これは世界人口の1%に過ぎないユダヤ人がノーベル賞受賞者の20%を占めていることにも通じている。
・アメリカは移民受入という、人種や言語、価値観において意図的にカオスを作り上げることで、危機感を煽って、イノベーションの必要性を生み出している。
・社会の成り立ちを近代以前、現代、未来で分けて考えてみる。
-近代以前:血縁関係が強く意思決定に反映される社会であったため、完全にピラミッド型で個人に選択の自由はなく、生まれが生き方を決定する要因である封建型社会
-現代:中心にヒト、モノ、カネ、情報を集めるを集めて、代理人がそれらをまとめて扱うことが全体的に効率がいいとされるハブ型社会
-未来:各自がインターネットと接続でき、ヒト、モノ、カネ、情報の流動性も高く、情報の非対称性がほとんどない分散型社会
つまり個々のノード(結合点)が繋がる社会で、どこかに情報を集約させる必要性がなくなる。具体例で言うと、仲介業者を挟まなくても、簡単にメーカーと小売業者は繋がるし、メーカーが自分たちで販売することも可能となっている。
・近代のテクノロジーは境界線を溶かす性質も帯びている。例えば、国家と企業という境界線をgoogleは壊した。どういうことかと言うと、国民からの税収を元に営まれる公共事業、つまり社会インフラの整備は今や民間事業によって営まれていることも多い。図書館の大体やGoogle検索であり、宇宙開発もNASAなどの政府機関の投資領域であったが、SpaceXが既に介入して、一緒に事業を進めている。また、企業における。ノマドやクラウドワーカーの増加も会社という境界線を溶かしているし、SNSは自分と他人という境界線を溶かしている。
・まとめると、近代の環境下にない条件で作られた国家や法律といった仕組みは、現代に合致しない不合理な状況になっているので、適切に現代に合わせた形でアップデートする必要がある。国家は"国"という領域内で物事を考えるが、企業には"国"という制約条件が極めて弱い。さらにいうと、この状況は資本主義の原則が起因していて、資本主義は右肩上がりの成長を前提としているので、右肩上がりの成長を求めると、国が現在行なっている領域をいかにテクノロジーを使って効率化できるかという点で、民間のIT企業が介入してくるのは、もはや、必然である。
・現にAppleの2014年の売上は約22兆円で、売上を歳入と解釈すると、これは200ほどある国の中でも、20位ぐらいの位置に当たる。
・そもそも国家とは、領土と国民と権力を兼ね備える力を有しているのだが、人類が生存確率を高めることを理由に、その力を備えていると言える。資本主義は、人間の際限ない欲望を元に、右肩上がりの成長、資本を高速で生み出す必要があるために、国家という存在を築き上げた。ちなみに、元々は「価値」の交換を上手く運用するための必要性として、資本という概念は生まれた。
・テクノロジーの発展は、まさに、資本主義が原因で、資本を高速で生み出すためには、"効率化"が重要で、効率化の観点では農業や工業では、資本→物質→資本というフローをたどらないいけず非効率なため、金融や情報通信の分野がより求められ、発達した。
・アメリカはこの傾向にいち早く気づき、天井がある領土の拡大ではなく、インターネットの世界でどれだけ領土を取れるかに、国としての投資をシフトしていた。
・根底では国家も企業も必要性を満たす行いをしている。国家が法律を制定し、公共サービスを行いのも必要だからやっているし、企業がサービスやプロダクトを開発するのも、必要だから行うのである。
・中国は上海などを除いて、Facebookは使用できない。理由はSNSや検索は国家の検閲対象であり、政治的な問題発言がないかチェックされているので、外資系企業が入ることは許されないとのこと。GoogleもBaiduからシェアを奪えず、中国からは撤退している。なぜこれだけセンシティブになっている理由の1つに、コミュニケーションを扱う領域が世論に与える影響が大きいため。
・アメリカにとっては人の行動情報を扱うデータを多く有するIT企業が海外進出をすることで得られる情報を元に、諜報活動の優位性を取ることができることも視野に入れている。つまり、政府としても応援をする姿勢をとっている。
・誰がどういった取引をしたかが追えなくなると、徴税権が失われる。つまり、通貨発行権を失う=徴税権を失う、と言える。
・貨幣の電子化が進み、もはや価値を交換する時の1つの手段でしかなくなった。SNSのフォロワーなど、価値尺度は貨幣以外にも備わるように。
・Facebookは年商20億円のWhatsAppを2兆円で買収したが、資本の観点で評価したのではなく、世界4億人のコミュニケーションを支えるインフラとしての価値を評価した。そして、それは財務諸表には決して現れない価値。
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