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綺麗な花が散る頃に

綺麗な花が散った頃、君は私に別れを告げた。綺麗なものはやがて色褪せていくと知っているからこそ、美しく咲き誇るのだろう。まるで2人の関係みたいで儚かない散り際だった。恋の始まりはあんなに輝いて見えたのに、最後は輝きのかけらさえなかったのはなんでだろうか。それでも2人で撮った写真だけはいつまでも色褪せず輝いているから、なんとも言えない気持ちになった。

誰のせいでもないことを優しい君のせいにしようとして、いつも自分ばかり守っていた。醜い自分と向き合うことから逃げ続けている私は愚か者。優しさの中の下心は見え透いてて、それでも優しさばかりを求め、自分の都合の良いように全部解釈することで、優しい嘘を本気で信じてた。でも本当は優しい嘘ではなくて本当のことを言ってめいっぱい傷つけてほしかったんだよって言ったところで君には伝わらないから今のはなし。

咲いた花は散り際が1番綺麗で、散り際に値段という価値を付けられてしまう。価値を作っていた2人の関係は無価値に変わっていく。花は散り際に輝きを失う2人の関係とはまるで真逆のようだった。

2人で買ったお揃いのマグカップ。歯ブラシにペアルック。全部が淡い思い出に。捨てきれない思い出にお揃いの品。君が買ったインスタントコーヒーは賞味期限が過ぎたまま部屋に今も放置されている。

「またやり直そう」

こんな声が聞こえたところで、思わずふと目が覚めた。

全部、夢だった。

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