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恋の終着点

人を好きになる行為は美しいと、同時に難しさを兼ね備えている。相手の姿形だけでなく、その全てを好きになってしまいたい。でも、その全部の境界線が曖昧で、骨の髄まで好きになったところで、私の知らない部分は絶対に存在する。その度に好きを更新して、余すことなくあなたを味わい尽くすの繰り返し。月並みな好きとか愛しているは必要ない。恋愛は好きになったら終わり。盲目と化して永遠を探す羽目になる。永遠は終わりを信じたくない人たちの幻影に過ぎない。恋愛の終着点はどこにあるのだろう。どれだけ探してもブラックホールに吸い込まれたような感覚に陥って答えがわからない。

正気でする恋はただのおままごと。理性を失ってからが本番。最終的に失われる自我の存在を見て見ぬ振りして恋に溺れる。いつしか恋がなければ呼吸もできなくなって、喪失という恐怖に駆られながら余生を過ごす。あなたと出会わなければ出会えなかった感覚。でも、そこに一ミリも後悔はなくて、出会えてよかったと安堵している私がいる。苦しさと喜びを行ったり来たりして、こんなはずじゃなかったばかりが心を掻き乱す。

あなたと会うたびに狂わされていく心の歯車。会っている時間は一瞬で解けて、会えない時間は永遠に感じる。キラキラした恋愛ではなかった。やめとけと何度も言われた幸せとは程遠い不幸に塗れた関係性。幸せとは花火みたいに綺麗なのは一瞬で、すぐに消えるものなのだろう。

揚げ足を取り合って、幸も不幸も2人で勝手に定義して、縋り付くことさえも忘れて、あなたが離れる様を指を咥えてただ見ていた。ズタボロにされてしまった心の戻し方がわからない。これ以上一緒にいたって、未来はなかったし、不幸に塗れていくだけだった。忘れたいと思った。忘れたくないとも思った。どちらを選べばいいのかがわからない。希望も絶望も与えてもらった。飼い慣らされたあなたを自由にすること唯一残された役目だと思った。

だけど、どれだけ離れても全てを忘れられるわけではない。心と体があなたと過ごした日々を覚えている。あなたと出会う前には戻れない。あなたなしでも生きられない。何をしても埋められない穴がと開いた。さよならというただの一言で終わらせられる関係性だった。元には戻れない。もはや戻りたいとも思えない。不器用な2人がただ愛し合っただけ。そこに意味はないし、続きはない。ただ最後に愛しているよと伝えたかった。ここに恋の終着点はない。それだけが事実だった。

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