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だから、自分を肯定することにした
朝、体が重い。昼、記憶がない。夜、目が覚める。まるで全身に鉛がのしかかっているような感覚だ。朝起きたはずだったのに、いつのまにか夜になっていた。食事はおろか水分すらも1度も取っていない。死んだように眠るとはこのことを言うのかと言わんばかりに、ずっとベッドと同化していた。
前日は深夜まで記事の編集をしていたのだけれど、正直いつ寝たのかすらも覚えていない。お風呂に入った記憶はあるし、歯を磨いた記憶もある。猫と少しだけ遊んだ。それ以降の記憶がない。いつの間にかベッドの中にいて、気がついたときには、すでに日が沈んで夜になっているではないか。
蝉の鳴き声を一度も聞かずに、1日は終わったのは実に久しぶりである。お昼に猫が僕のところに来て、にゃーと鳴いていたそうなのだけれど、まったく気づかなかった。何かを伝えようと、にゃーと懸命に鳴く猫を無視したわけではない。猫の鳴き声すらも気づかないほどに、この体は疲弊していた。それに気づかずに無理をしてしまった代償を昨日払ったまでだ。
昨日は何もできずに終わった。もちろん仕事はたくさん溜まっている。書かなければいけない原稿があれば、編集しなければならない原稿もあるし、溜まったメールを返信しなければならない。今日は昨日のツケを払うために、忙殺していた。
意図しない休みを作ってしまった。おかげさまで休日をひとつ潰す必要がある。強制的に休んでしまったことは仕方ないのだけれど、体調管理をうまくできなかった自分を心の底から恨んだ。
夢を見た。お前の書いた原稿はクソすぎる。マジで面白くない。才能がないからさっさとやめろ。見知らぬ人から罵倒され続ける夢だ。文章を書くのなんてもうやめてしまおうと思った途端に、目が覚めた。ただの夢だ。現実ではなかったと心の底から安堵した。
晩御飯を食べる。頭痛薬を飲んで、またベッドに入った。人間はこんなにも練れるのかと思うほどに寝た。知らぬ間に夜は明け、隣にはすやすやと眠る猫がいた。朝には体調がすっかりマシになっている。
人生には前を向こうと思っても、どちらが前なのかわからなくなるときがある。そんなときは前を向こうとした事実を褒めればいい。世の中なんてしょせん自己満足の連続である。自分が納得さえすれば、どれだけ自分を褒めたっていいし、罵っても問題ない。
前向きにならなくていい日もあるし、後ろ向きのほうがかえって救われる日だってある。昨日は体力回復の日だと思えるか。それとも1日を無駄にしたと思ってしまうかは当人の自由。都合のいいように生きればいい。だから、僕は昨日を意味のある1日だったと肯定することにした。
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