仕事なんてつまらない
学生時代のぼくは、「仕事は楽しいもの」と思っていた。
でもその期待はすぐに絶望に変わっていくことになる。
就活を終えて無事内定をいただく。そして大学を卒業し、晴れて新社会人の仲間入り。
「どんな仕事を任せてもらえるんだろう?」
わくわくと少しの不安が、ぼくの胸を締め付けていた。
BtoB向けに、新規営業をしている部署に配属になったぼくは、毎日リストに載ってある電話番号に電話をして、アポイントメントを取る仕事をしていた。
BtoB向けの仕事に憧れていた僕は、どうやって結果を残そうかと考えていた。
でも蓋を開けてみると全然うまくいかない。まったくうまくいかない毎日に、嫌気が差していた僕は仕事を「つまらない」と思うようになっていった。
社会に出て間もない新卒社員が、最初から即戦力になれるわけなんてないのだ。
初めからうまくいくドラマみたいな話は滅多にはない。知識を付け、経験を積んで少しずつ業務に慣れていく。ドラマや映画を見すぎていた僕は「自分もすぐに活躍できるに違いない」と勘違いをしていた。
社会を完全に舐めきっていたのだ。なんの経験もない自分が結果を残すなんておこがましいにも程があると気づいたのは社会人になり、実際に仕事をしてからだった。
悔しい。悔しい。悔しい。
「ここで終わるのは死んでも嫌だ。」
負けず嫌いが発揮した瞬間だった。
悔しさをバネに先輩社員から仕事のいろはを学び、少しずつ仕事ができるようになっていった。やがてアポ取りだけでなく、現場にも足を運ばせてもらえるようにもなった。
自分ができないのが原因で、「つまらない」と決めつけていた仕事が少しずつ楽しくなっていく。
仕事に限らずどんなこともできるようにならないと楽しくならない。
そして、どんなことも最初からうまくいく筋書きは滅多にない。
失敗を積み重ね、改善を重ね、一つずつできるようになる。その積み重ねが「楽しい」につながるのだ。
どんなこともうまくいかないと嘆くのではなく、どうやったらできるかを考える。そして、実践を重ね、少しずつ楽しさを見出せるようになる。
仕事がつまらないと判断するのは、目の前の仕事に全力で打ち込んでからでいい。
うまくいかないから、うまくいったときの喜びが倍増する。その喜びを少しでも多くの人に知ってほしいと心から思う。
最初からうまくいくはずがない。経験を積んで、徐々に幅が増えるようになって、少しずつ仕事が楽しくなる。
「仕事は楽しいものである」
仕事の幅が増えた今なら胸を張って「仕事が楽しい」と言える。