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終わりがあるから美しい
どんなことも終わりがあるから美しい。終わりを意識した瞬間、美しさが露呈する。
僕が生きている内はきっと世界は終わらないのであろう。
隕石が衝突したりして、終わるかもしれないだろって。そんなの知るかよ。その時はその時だよね。でも僕が死んでしまったら僕の世界は終わる。それだけは間違いない。
僕のこの命も世界もいつか枯れ葉のように朽ちていく。なくなった瞬間、全てがなかったことになるのかもしれない。誰かの記憶に少しだけ残っていてくれたら嬉しいね。
人生が終わると春も夏も秋も冬も全部終わってしまう。朝も昼も夜ももうやってこず、ただの無と化してしまう。
もしも僕らが不老不死だとして、生きることが終わらないのであれば、人生の美しさに気づけないのかもしれない。
夏の朝焼けの美しさに、冬の夕日の美しさにも気づけないのかもしれないと考えるとやっぱり少し寂しいね。終わるから生きたいと思えるし、終わらないのであれば、僕は生きたいとは思えない。
人生も恋愛もどんなものにも終わりは必ずやってくる。
終わりがなければ、きっとみんな絶望して、誰かを愛そうなんて思わないし、やりたいことに挑戦もしないのであろう。死ぬことを希望し、死なない事実に絶望しながら、ただ時間がすぎるのを待つ。
生きることに価値を見出せるのはきっとね。終わることが決まっているからなんだよ。
終わりがあるから終わりに向かって、生きようと思える。
良いことしか起こらない人生なら、きっと誰も苦しまない。憂いや葛藤、悩みにもがき苦しみ、一喜一憂を経て、また前を向くことできる。
時計の針が同じところをぐるぐる回る。回っているだけなのに、時間は戻らないし、戻せない。なんだかよくわかんないね。
花は散り際が一番美しいし、蝉は7日間で死んでしまう。美しい紅葉は儚く散るし、雪もすぐに溶けてしまう。
終わるから一連の過程に惹かれるし、そこに美しさを見出せるんだろう。終わりがこなければいいのになんて考えても、どうせいつかは終わる。
終わりを受け入れたくないと駄々をこねても、勝手に終わるから受け入れるしか方法はない。どんなこともいつかはやがて全部終わってしまう。例外はなに1つとしてないのだ。
これは伊坂幸太郎さんの「終末のフール」という作品で綴られている一文。
明日死ぬとしたら、
生き方が変わるんですか?
あなたの今の生き方は、
どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?
ハッとさせられた1文。この言葉は自分の生き方について考えるきっかけになった言葉。
明日死ぬとしてもきっと生き方は変わらない。
あなたの生き方はいつまで生きる生き方なんだろうか?
明日死んでも満足と言えるような人生を送れているだろうか?
はっきり言うけど、僕はまだまだ死にたくない。やりたいことがたくさんあるから死んだとしても死に切れなくなる。
絶対なんて絶対ないって言うけど、僕らの人生は絶対に終わるから絶対はある。いつか終わりが絶対にやってくるということを、頭に入れておかなくちゃいけない。
いつ終わるかなんて神様以外わからない。明日終わるかもしれないし、60年後に終わるかもしれないしね。
友人とのくそみたいにくだらない会話も、好きな人とのありふれた日常も、仕事が上手くいかなくて悔しい思いをした夜も全部大切にしたい。
忘れたい過去はもちろんある。でも起きてしまったことをなかったことにはできないから、そいつを胸に生きるのが宿命だ。
人生は確実に終わってしまうからこそ君と2人だけの時間を大切にしたいと思うんだよ。
めいっぱい愛を確かめ合いたいし、2人が共に過ごしたという事実を、この世界にこれでもかと言わんばかりに残したい。
君との他愛ない会話も、くそみたいな喧嘩もいつかは終わってしまう。たまに喧嘩するけど、喧嘩も愛が深まるための方法の1つなんだと思えばたまには悪くない。
2人の思い出がいつまでも色褪せぬよう写真に残そう。
写真に残る君。写真を写す僕。2人並んで撮った君と僕。
ピンボケした写真も全部残そう。君が生きた証を僕が全部残すから、何百枚、何千枚とデータがいっぱいになるまで、君の写真を飽きるまで何回だって撮り続けよう。
いつか君もおばあちゃんになる。僕もおんなじようにいつかおじいちゃんになる。いつかの思い出を、しわくちゃになった笑顔を並べながら、思い出話に花を咲かそう。
「いろんなこともあったね」って、過去の後悔も失敗も、いつか笑いあえたらそれはもう結果オーライということにしよう。
君と僕が出会い、恋に落ち、愛し合ったという事実を写真にいつまでも残そう。
死んでしまったら全部終わりだ。だからせめて死ぬまでは生きていたい。
終わりがあるから美しい。そんなこと信じたくない。
でも必ず終わる。それだけは変わることない事実。
さて、あなたの生き方はいつまで生きる生き方なんですか?
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