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午前12時、満点の空、君だけがいない街

午前12時。君がいなくなる前のあの頃にふと戻りたくなった。

2020年3月、私は最愛の君を失った。きっかけは些細なこと。

きっとこれまでの積み重ねが一気に爆発してしまったんだろう。言葉で発することをせず、言わなくてもわかるだろうという思い込みから起こった別れ。

きっと2人が話し合いを重ねていれば、この別れは起きなかったんだろうね。

「あの時ああしてれば」なんてことを考えても、実際には出来なかったから今更意味もないし、後悔なんてしたところで君は帰ってこないことはもうずいぶん前に理解したつもりだ。

いつも大切なものの大切さを失ってから知る私は愚か者なんだろうか。

ふと空を見上げる。君も同じ空を見ているのだろうか。

満点の空に輝きを放つ星。そして、ただ1人立ち尽くす私。月と星だけが燦々と輝く午前12時。

きらきら輝いていたあの頃と今の私は何が違うんだろう?幾ら考えても君が戻らないなら意味がないよね。どうにもならないことで悩む私が嫌いだ。君はこんな私だったから離れてしまったんだろうね。

ぬるくなった缶コーヒーを開けて一気に飲み干す。今の自分のこの気持ちごと飲み干せたらどれだけ楽になれるだろうか。

君がよく飲んでいた味の缶コーヒーは全然甘くないや。今のほろ苦い気持ちにはぴったりだけど、あなたにはいつまでも甘い蜜を吸わせてほしかったというのが本音。

どうしていなくなってしまったんだろう。ほら、また私の悪い癖が出た。

手元から飲み干した空き缶がひゅるりと緩やかに落ちる。まるで君に恋に落ちた時と同じような感覚。君に恋に落ちたこと今も後悔していないよ。

でも今は君がいないというシチュエーションだけがただ残る。

君だけがいない街。かつては君が住んでいたこの街は、空に綺麗な月と星が燦々と輝きを放っている。

「さようなら、またいつか」

もう君には届かない言葉をそっと呟く午前12時。

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サトウリョウタ@毎日更新の人
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