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結局、好きの熱量が高い人には敵わない
ライターさんの文章を編集していると、書いた対象物に対しての熱量の高さがすぐにわかるものだ。熱量が高い文章は、そんなところまで盛り込んでくるのかと、こちらが予想だにしない内容を盛り込んでくれる。逆に熱量を感じない文章は、うまく情報をまとめただけの文章が多い。
文章を読んでいて楽しいと思う文章は、好きの熱量が高いものだ。そういった文章を読むたびに、書くのが楽しかったんだろうなと原稿と嬉しそうに向き合うライターさんの顔が浮かんでくる。
文章にかかわらず、どの分野でも好きの熱量が高い人がいいキャリアを築いているような気がする。嫌いなものは調べる気にはならない。どうしてもやらされ感が抜けず、それが仕事に全面的に現れるものだ。逆に好きなものは好きだからもっと知りたいとなって、時間を忘れて調べたり、実際に体験したりする。好きを追求し続けた結果、専門家になって、〇〇と言えば、〇〇さんとなっていく。
編集者として好きの熱量が高い文章を編集させてもらうたびに、どうやって届けるべき人に届けようかと悩む。
編集とは、偏ってなんぼだと考えている。好きの熱量が高い文章は、どこか偏りがあ流からこそ、届けたい人の胸に強く突き刺さるのかもしれない。そして、偏ったものを綺麗に集約して、届けるべき人に届ける力を身につけることが編集者の役目だ。
文章を書いたライターさんの視点をより広げ、偏った文章を届けるべき人に届ける。これが本当に難しいんだけれど、読者の方の胸に突き刺さる場合もちゃんとある。
届けるべきところにちゃんと文章が届くことが、自分ごとのように思えて嬉しい。もちろんライターさんの努力の結果だと理解しているし、成功体験を積むたびに、もっと編集力を身につけたいと思える。最近ライターさんに読者の嬉しい反応があるたびに、連絡するようにしているんだけれど、基本的にライターさんの喜んでくれるから嬉しい。
文章は好きの熱量が高ければ、高いほど情報がグッと濃くなる。結局、好きの熱量が高い文章には敵わない。偏ったものをうまく集約して、届けるべきところにきちんと届ける。それが編集者の役目であり、永遠の課題である。
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