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【マンガ】陽キャにはわからない美しさがあるから 『春あかね高校定時制夜間部 』


プライムデーで買ったこの漫画、めちゃくちゃ良かった。


個性強めでフツーが苦手、基本誰も傷つけたくなくて

でも周りとうまくやれずに苦悩してる。

そんなタイプの人にはバイブルになるかもしれない。


高校の定時制夜間部のおはなし。

登場人物が元ホスト、元不登校、

精神科通いの40代の女性などなど

みな何かを抱えていて繊細で個性がつよい。


短編コメディの形式でふだんの学校生活や各登場人物の過去についてのエピソードが多い。

父親がギャンブル依存症だったとか。

祖父が事業に失敗して大変だったとか。

そのどれもが実体験なのかってくらいリアル。

しかも10代の目線と、40代の目線と

それぞれを描写していてその違いが詳細すぎて

著者何歳だ?って、なる。

著者の観察眼の鋭さよ。


現実の痛々しい側面にはあまり触れてないんだけど

作品から生きづらさ、大変さっていうものがにじみ出てるし、

高校という場所ならではの将来や金銭面の不安や劣等感、過去のトラウマなど

それぞれ登場人物の両肩にずしんとのっかってる感がある。


でもそれぞれが自分を守りつつも相手を尊重して

なんとか集団生活をサバイブしようと試み、また今いる場所から這い上がろうとしている。


高校生のときの自分がモヤモヤっと感じていたことが

この作品のなかで形になっていて、読んでてしみじみしました。


高校生の時の自分がこの作品に出会えていたら

きっと心強かっただろうな。







著者のheisoku氏、もう一冊本を出していて

キンドルで1話分読みました。


春あかね高校のその先みたいな内容。

29歳、中卒、恋人いない歴イコール年齢。バイト以外の職歴もなく、短期バイトを転々とする日々。ぐるぐると思索に耽るけど、ご飯を食べると幸せになれる。奇才の新鋭・heisokuが贈るリアル労働グルメ物語!

作品説明より

 
先がみえない不安から逃れるように、仕事から帰宅後にちょっと美味しいご飯をお腹いっぱい食べてコテンと寝たらまた同じ明日がやってくる。


『ご飯は私を〜』のレビューに誰か書いてましたけど

『苦役列車』の作者、西村賢太氏の作品から暴力や性的描写をとったような、そんな世界が描かれてます。

漫画なんだけど、めちゃくちゃ文学してる。

レビュー数も約750あって

響く人には相当影響力ある作品なんだなと。


続編、もっと出ないですかね。





西村賢太氏の作品といえば、僕の中ではこちら。
作品を読み終えると各短編のタイトルを読むだけで胸がズキンとする。
世の中に通用する手持ちのカードがなさすぎて、もがいてもがいてもがきまくる主人公がようやく出会えた女性とひとときの幸福。
それを一時的な感情で見事粉々にしてしまう暴力的な作風。
主人公のやるせなさに共感し、下衆な行為にモヤモヤし、読み終えると無性に喉がかわく。








うちの子ノエルにちゅ〜るをあげます。