猛暑に外出する危険と、外出しない危険、どちらを選ぶ?
「屋外での運動は控えましょう」
「命に関わる危険な暑さです」
連日の猛暑によって、テレビではこのようなことを訴えかけています。
確かに間違っていません。ただ、この言葉を鵜呑みにして、「外出を一切しないという選択をする高齢者」が多数います。
そんなに白黒ハッキリさせることないのに、「危険だ」と言われると、一切外出しなくなるのはいかがなものかと思います。
基礎体力は年々低下している
「基礎体力」は年と共に落ちていきます。誰しも自分の体で経験済みのことでしょう。高齢になれば急激に落ちることもあります。
では、下の二つを比較してみましょう。
・外は暑くて死に至る危険がある可能性
・基礎体力の急激な低下で寝たきりになる可能性
両者どちらも危険です。外出することを控えると、命の危険性は回避できます。その代わり、寝たきりになる可能性が出てきます。しかし残念なことに、高齢者にはその実感がありません。
今日すぐに立てなくなるわけではありませんから、一日や二日、家に居てもあまり問題にはなりません。それが一週間、二週間となれば、体力は低下するはずです。ところがそのことに本人は気づかないことが心配です。
命の危険を取るか、フレイルを取るか?
フレイル=健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態のこと
高齢者は両極端な選択になってしまいがちです。疑問に思ったので尋ねてみました。
「なぜ外出しないんですか?」
「だって、暑いでしょ?」
「陽が落ちてからは?」
「それでも暑いわよ」
「じゃあ、早朝は?」
「そんな時間、行けないわ」
「じゃあ、夜は?」
「夜は足元が見えないから危険で行けないわ」
結局、「命に関わる危険な猛暑」と言われている期間は、一切外出しないことなります。それでは、フレイル一直線になっても仕方がありません。何か方法はないものかと思い、尋ねてみますが、とても頑固です。私が何を言っても無駄です。それで足腰立たなくなっても、自業自得ですから私には関係ありません。と、解釈しなければしょうがないです。
暑さから逃げて、暑さに慣れることをおろそかにしている
マラソン大会は冬の競技です。しかし夏をおろそかにして練習を怠ると失敗します。だから猛暑の中、ランナーは走ります。炎天下に走っておかなければ、基礎体力が低下するのです。「暑さに慣れる」ということです。運動しない人にはピンとこない例かもしれませんね。
5月くらいに暑くなり始めた頃、「暑さにまだ慣れていませんから・・・」と前置きしながら、ニュースでは呼びかけされているのを覚えていますか? ある意味、その言葉は合っているのですが、本当はもっと適切に呼びかけてほしいと思います。
「夏の暑さに対応するため、今のうちから暑さに慣れるよう心がけましょう。」
「暑さから逃げるのではなく、少しずつ暑さに対応できる体を作っていきましょう。」
こんな言葉の方が良いと思います。思い返せば、5月辺りから暑さを避けるような生活をしている人がとても多く見受けられます。だから夏の暑さに負けてしまうわけです。今からでも遅くありません。暑さから逃げるのではなく、少しずつ、暑さを受け入れて、基礎体力の低下を防ぎましょう。