セカンダリードミナント
今回はセカンダリードミナントというコードの技をご紹介します。
これを使うことにより一時的な転調効果を表すことができます。
こちらの記事と合わせてご覧ください。
ではどのようなものなのか、さっそく見ていきましょう。
ダイアトニックコードの5番目がカギ?
セカンダリードミナントとは
「ダイアトニックコードの5番目のコード、つまりドミナントコードをトニックとする調(キー)から、そのドミナントコードを一時的に借用する」
というものです。
文章で表すとかなり「?」が頭の中に浮かびそうなので、譜面を使って説明します。
キーはCメジャーです。
このダイアトニックコードの5番目のコード、すなわちドミナントコードをトニックとするキーをまず探します。その際はセブンスコードでは考えずにトライアドで考えます。
Gメジャーコードがトニック、すなわちダイアトニックコードの1番目になるキーといえば、Gメジャーしかありません。
このGメジャーのドミナントコードを一時的に借りてくるのがセカンダリードミナントです。
コード進行としてはこのようなものでしょう。
といったようになります。
「D→G」の部分でGメジャーにおけるドミナントモーションを行って、本来のトニックコードに向かいます。
カデンツの形で言えば
T→S→D→Tの形ですね。
基本的にはこの形で使うのが普通ですが、このカデンツに反する進行も今ではたくさんあります。
まずはこの基本形をしっかり覚えましょう。
ではもう一つ例を。
次のキーはAマイナーです。
このキーのドミナントコードはEマイナー、もしくはEメジャーです。
どちらでも構いませんが、今回はEマイナーで話を進めていきましょう。
EマイナーのドミナントコードはBメジャーコードです。
このBメジャーコードを一時的に使うと、
といった進行になります。
気づいた方もいらっしゃるかもしれませんが、セカンダリードミナントを使う際は「属調」のドミナントコードを使うことになります。
属調とは主調の完全5度上の調のことでしたね。
Cメジャーにおける属調はGメジャー
Aマイナーにおける属調はEマイナー
といった感じです。
今まで紹介したセカンダリードミナントの例を見ると両者ともに属調のドミナントコードを使っています。
覚え方はそれぞれでしょうが、覚えやすいやり方をチョイスしてください。
セカンダリードミナントの応用
今まではドミナントコードを主調とするキーからそのドミナントコードを借りてきましたが、サブドミナントコードや代理コードを主調とするキーからそのドミナントコードを借りてくることも可能です。厳密に言えばセカンダリードミナントの理論からは逸れてはいますが、応用編ということでご紹介します。
キーはCメジャーです。
例えばダイアトニックコードの2番目のコードをトニックにもつ調からドミナントコードを借りるとすると、何のコードを使うことになるでしょうか?
2番目のコードはDマイナーコード。
これをトニックとするキーを考えてください。
キーはDマイナーですね。
DマイナーにおけるドミナントコードはAにあたります。
よってこのように使うことができます。
同じく3番目のコードをトニックにもつ調からドミナントコードを借りるとすると、
キーはEマイナーになりますので借りてくるコードはBメジャーコードです。
こちらはこのように使います。
サブドミナントコードをトニックにもつ調からドミナントコードを借りる際はCメジャーコードを使うことになりますが、トライアドの形では転調した感じが薄いので、この時はセブンスコードを使うのがベストでしょう。
6番目のコードをトニックにもつ調からドミナントコードを借りるとすると、借りるのはEメジャーコードになりますので、以下の進行のようになります。
7番目のコードはトニックとしては扱えないので、この理論にあてはめることができません。
マイナーキーもこの理論は同様に使えます。
マイナーキーにおいてはダイアトニックコードの2番目以外はこのやり方を使うことができます。
このようにセカンダリードミナントの技を応用して一時的な転調を可能にする技をお伝えしました。
転調技法における初歩中の初歩なので、ぜひマスターしてみてください。
次回はサブドミナントマイナーをご紹介していきます。
次回↓