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ラヴェル自身による自作曲のオーケストラ編曲

ラヴェル(1875~1937)といえば自身のピアノ曲をオーケストラ編曲することがありました。彼の手にかかればどの作品も華やかに仕上げられています。ここでは編曲された作品を紹介していきます。

モーリス・ラヴェル(Maurice Ravel)

1 古風なメヌエット

20歳の時の作品でデビュー作となるものです。それから30年以上を経てオーケストラ編曲を施しました。この編曲がラヴェルの最後の管弦楽単独作品となりました。3管編成で書かれています。ピアノ版とでは中間部の繰り返しの部分が変更されています。

2 亡き王女のためのパヴァーヌ

ラヴェルのピアノ作品の中では特に人気のある作品です。1899年に作曲され、1910年にオーケストラ編曲されました。こちらは小規模な編成で書かれています。2管編成ではありますが、オーボエが1本しか使われず金管楽器もホルン2本だけとかなりシンプルです。冒頭ではホルンソロでメロディが奏でられ、ホルン奏者の見せ場となっています。

3 組曲『鏡』より 海原の小舟

1905年書かれた組曲『』から第3曲目の海原の小舟です。翌年に編曲されましたが、出版は死後の1950年となりました。3管編成で書かれており(ただしファゴットは2本)、弦楽器が細かくパート分けされているのも特徴です。

4 組曲『鏡』より 道化師の朝の歌

同じく『』から第4曲目の道化師の朝の歌です。こちらは1918年に編曲され3管編成で書かれています。多彩な打楽器が使用されているのも特徴です。曲中では管楽器による高速タンギングが要求される部分があり、特にフルートでこの奏法が求められるため奏者にとってはかなり高度な技術が求められます。

5 マ・メール・ロワ

マザー・グース』を題材にして作られた作品です。最初は連弾曲として書かれ1910年に完成されました。翌年に編曲され、2管編成で金管楽器はホルン2本だけと小規模ではありますが、多彩な打楽器、チェレスタ、ハープを巧みに扱いまるで大きなオーケストラが鳴っているような感じがするのが特徴です。少ない楽器で最大限の響きを生み出せているといってもよいでしょう。

6 高雅で感傷的なワルツ

1911年に作曲され、翌年に編曲されました。8つのワルツで構成されています。ラヴェルはシューベルトのワルツをモチーフに作ったと述べています。彼の作品の中では調性が曖昧な部分が多く作品で、たくさんの不協和音が使われています。こちらは2管編成ではありますが、打楽器が多いので大きなオーケストラが鳴っているかのように聞こえます。

7 クープランの墓

1917年に作曲されたこの作品は第1次世界大戦で散ったラヴェルの友人たちの追悼曲として作られました。この作品がラヴェル最後のピアノ曲となりました。1919年に第2曲(フーガ)と第6曲(トッカータ)を除いた4曲が編曲され、順番も変更されています。2管編成で金管楽器はホルン2本とトランペット1本だけと小規模です。全体的に木管楽器の活躍が多く、奏者の技量が試されるものになっています。


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Ryo Sasaki
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