マガジンのカバー画像

楽曲解説集 ショパン

13
ショパンの楽曲解説をまとめたものです。
運営しているクリエイター

#ワルツ

ショパン ワルツロ短調 楽曲分析

ここではショパンのワルツロ短調(第10番)の楽曲分析をしていきます。このページの最後ではショパンの自筆譜と出版譜を見ながら比較していきます。 1 概要この曲は1829年に作曲されましたが、生前には出版されず、死後、友人であるユリアン・フォンタナによって1855年に出版されました。ショパンは生前に発表されなかった作品は破棄してほしいと言い遺していましたが、結果的にはそれは果たされず、フォンタナはショパンの遺稿を集め、遺作として出版させることにしました。作品66(幻想即興曲)以

ショパン ワルツイ短調 楽曲解説

ショパン(1810~1849)の作品が新たに発見されたので、ここでどのような曲なのかを詳しく見ていきましょう。 2024年10月に発表されたショパンの未発表作品。これはワルツ(Valse)と書かれており、1830~1835年の間に作曲されたと考えられています。わずか24小節しかなく、演奏時間は1分少々。イ短調。では楽譜を見てみましょう。 1~8小節目は前奏的な役割を持っています。この部分はワルツというよりもスケルツォにありそうな楽想です。そして全体的にペダルポイント(保続

ショパン ワルツ第7番嬰ハ短調 楽曲分析

今回はショパンのワルツ第7番Op64‐2の楽曲分析をしていこうと思います。有名な子犬のワルツと共に出版されたこの作品は、このワルツはそこまで技巧的でなく、またメロディの出来栄えもよいので彼の作曲したワルツの中では人気の高いものの一つです。ではどのような構成をしているのか、早速見ていきましょう。 1 概要作曲されたのは1846年~1847年にかけてとされており、ショパン晩年の作品です。第6番、第8番と共に一つにまとめられOp64として1847年に出版されました。この1847年

さよならを告げるワルツ ショパン ワルツ第9番

今回はショパンのワルツ第9番の楽曲分析をしたいと思います。この曲は『別れのワルツ』の通称を持ちますが、どのような経緯でこの名がついたのでしょうか。また音楽的にはどのような構成をしているのか、早速見ていきましょう。 1 曲が出来上がるまでこの曲は失われた自筆譜では1835年の9月、ドレスデンと書かれています。 これはヴィンツェンティ・ヴォジンスキ(Wincenty Wodziński)伯爵とテレサ・ヴォジンスカ(Teresa Wodzińska)伯爵夫人との娘である、マリア・

子犬のワルツ 楽曲分析

ピアノを弾く方なら一度は憧れるであろう作曲家ショパン(1810~1849)。彼の代表作といえる『子犬のワルツ』の楽曲分析をしていこうと思います。約2分の短い曲で、和声も複雑ではないので親しみやすい作品です。ではどのような構造をしているのか見ていきましょう。 1作曲年現在では1846~47年頃の作曲だと考えられており、他の2曲のワルツとまとめられて作品64として出版されました。通し番号順にワルツ第6番と呼ばれることもありますが、ショパンは生前に出版されなかったワルツを何曲か遺