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読書感想文的な31 『家族じまい』桜木 紫乃
『家族じまい』 桜木 紫乃
「ママがね、ボケちゃったみたいなんだよ」。
突然かかってきた、妹からの電話。
両親の老いに直面して戸惑う姉妹と、それぞれの家族。
認知症の母と、かつて横暴だった父……。
別れの手前にある、かすかな光を描く長編小説。
桜木紫乃がおもしろくなってきたので、いよいよわたしも大人だわ、と思うなどした。
家族の始まりっていつだろう。
これは、たぶん生まれたときだと思う。
お父さんとお母さんとわたしっていう構成が、わたしにとっての家族の始まりだった。そしてそこに弟が加わった。弟の家族の始まりは、お父さんとお母さんとわたしだ。
結婚したから、夫も家族になった。
でもそれは、お父さんとお母さんとはちがう気がする。
家族という関係を維持するのに、多少なりともパワーがいる。労力とは呼びたくないけど、維持しようという意志が必要だ。
だってこの前まで他人だったもん。
まぁもし夫が読んだら一体どこにパワーを使っているのか驚かれそうだ。わたしは自由気ままにさせてもらっている。
じゃあ、家族の終わりっていつだろう。
会議みたいに、時間になったのではい終了!とすることはできない。
たとえ自分が死んだとしても、わたし以外の家族は終わらない。
でも、終わりに向かってうまくまとめていくことは、もしかしたら必要なのかもしれない。
あ、これが終活というやつか。なるほど。
家族っていつ、どのタイミングで終わらせたらいいの?
これって共通の正解がないね。
わたしは、終わらせたくない。終わらなきゃいけないときまで家族じまいしたくない。
でも、家族のほかの誰かが、終わらせたいと思っていたとしたら、終わらせないのはわたしのエゴなのかな。
エゴって言葉初めて使ったわ。あってる?
『家族じまい』、たぶんあと何年か若かったらつまらんなぁと思った気がする。
最初に書いた、いよいよわたしも大人だわと思ったのは、家族だからっていうだけでは解決できない問題とか、処理できない感情とか、少しわかった気がするから。
家族だからこそ相手の気持ちが見えないこともあるよなぁ、と。
そういうことの大半って、大好きだから解決できない気がして苦しいな。
心の底から嫌いになったり、無関心になったりしたら割り切れるのかも。
嫌いになりたくないから、家族じまいしたくなるのかな。
好きなまま終わりたい的なあれ。
尽くしたかったら尽くせばいいけど、それって勝手にやったことだから、尽くした側が返してくれるかは分からない。
でも、家族になるなら、家族であるなら、尽くした分を全部とは言わないけど、返そうとしてくれる人がいい。
でも結局それって他人でも同じじゃん。
家族も他人も、搾取する側と尽くす側がずっと同じだったらダメになるんだな。
でもわたし、家族からの無償の愛を受け取っていると信じてるよ。
幸せに見えるか、バカに見えるか紙一重だと思う。
いつかまた、無償の愛で返すよ。
もしその愛が重すぎたときとか、愛が尽きたときは、家族じまいしよう。