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干し野菜生活
序文
数年前からずっとやりたいと思いながら、ダラダラと先延ばしにしていたこれ。干し野菜。
冬になると祖母から届く、市販のものよりも大きな切り干し大根がとても好きだった。
市販のものでは感じえないボリボリ感。
しんなり、ジュワッと出汁の染み出てくる、市販の細身の切り干し大根も好きだが、祖母の作るボリボリとした食感の残る切り干し大根が他には代えようもなく大好きなのだ。
それほど大好きなのだから、今まで祖母に作り方を尋ねたことがある。そうした折に祖母から帰ってくる返答はいつも同じなのだ。
「切って干したら良いのよ」
いや、だからそれが分からないから聞いているのだ。
どのくらいの太さに切るのか、長さはどうか、葉に近い上の方で作るのか、真ん中か、それとも足先か、皮は剥くのか、剥くのなら厚みはどうか、干すのは日向か日陰か、どうやって干しているのか。
祖母から、殊に料理に関しては厚い信頼を勝ち得ている(いや、ここは勝ち得てしまっていると言ってもいい)私は、あなたなら出来るでしょう。と、この程度の言葉しか貰えないのだ。
好きな思いが溢れる反面、何故か調べて作るぞ!という所までは手が動かなかった。これは本当に作ってしまった今年の冬から考えれば、なぜ動かなかったのか疑問で仕方がないのではあるが、動かなかったのだ。
そんなこんなで積年の思いを募らせた切り干し大根。
これをついに今冬、チャレンジしたのだ。
きっかけは、“マツコの知らない世界”
干し野菜の世界だったか、野菜の世界だったか。
そこでは、大根に飽き足らず、もやし、かぼちゃ、その他諸々、様々な野菜が干し野菜として紹介されていた。
しかもその干し野菜で、簡単に味噌汁が作れるのだという。
この、簡単に。という言葉に大層弱いのだ。
当然、簡単に作るための下準備が簡単では無いのだが、そこは大した問題では無い。
空いた時間に作れば良いのだから、面倒で仕方がないその瞬間に簡単でさえあれば、万事問題ないのだ。
ということで早速チャレンジした切り干し大根。祖母のボリボリ感は出せなかったから、もっと太く切るべきなのだろうが、とりあえず、試したレシピを残しておく。
レシピ
大根は5センチ程度の長さに切り、3ミリ角くらいの細さにカットする。
皮は、剥こうが剥かまいが構わないが、農薬等が気になるのであれば剥く。品種によっては、皮の付近が繊維が強いものもあるので、そういったものは皮を厚く剥いておく。
繊維が強いかどうか分かんないぜ。って事なら、輪切りにして食べればいい。硬いなと思ったら剥けばいいし、気にならないなら剥かなくて良い。
所詮は家庭料理なのだから、責任は己で負って欲しい。
干す時は、風通しの良い日向に干し網などを利用して干す。網に覆われてないと、虫が着く可能性もあるが、気にならないなら好きなように干すと良い。
干し網には、野菜どうしがなるべく重ならないよう、くっつきすぎないように並べていく。重なるほどに乾きにくく、カビる可能性もある。
干しが完了したかどうかは、自分の触感で確かめる。冷たくはないか、音はどうか、しっとりしてないか。
すぐ使うのであれば、多少乾いてなかろうと問題は無いが、日持ちさせたいのであればカラカラに乾かしておくのが無難。
レシピ2
他の野菜。
もやしは、無心で網に並べれば後は大根と大して変わりは無い。重なるのも少しくらいは気にせずとも良い。
驚く程にかさが減るから、使う時も程々にしておかないと、もやしに苛まれることになることを忘れずに。
生で食えるものは、乾きやすいサイズにさえカットすれば、そのまま干して良い。玉ねぎなんかもそう。
かぼちゃ、ゴボウなどの根菜、かつ生食しないものは、干す前に火を通しておく。蒸しが最適かと思うが、レンチンだろうと問題は無い。茹でるのは水分過多になるから、オススメしにくい。
薄く、細く切らないと、乾かすのが大変なのは留意しておくこと。
葉物野菜は今のところ挑戦していない。
何となく向いてなさそうな気配を感じているからだが、もしかしたらそのうちチャレンジするかもしれない。
もし、経験談あれば教えて欲しい。
味噌汁
味噌汁を作るなら、30分程度でも水で戻してから加熱して欲しいところではあるが、時間がなければ水に突っ込んで、そのまま沸かすと良い。
気持ち長めに沸かしておけば、戻っていないということも無いだろう。
出汁のことは気にせずとも野菜からたっぷり旨みが出ているので、控えめに味噌を溶かすと良い。味噌だけで味を決めようとすると追加しすぎることが多いので、香りがすれば、後は塩を少しずつ入れて味見をすると良い。
末文
こんなのも干し野菜に美味いぞとか、こういう使い方も良いぞ。というものがあれば教えて欲しい。
日々の食卓が彩り豊かになることを願って。