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序章・防衛大学校とは

昨日から「少尉が少尉になる前の頭の中」というタイトルで、防衛大学校時代を中心に自衛隊で学んできたことを書いていく企画を始めました。

しかし、多くの人にとっては未知の世界なので、「自衛隊の学校っていうイメージはあるけど、実際防衛大学校ってどんなところ?」という疑問があると思います。

そこで第1回目の今日は、防衛大学校の説明を簡単にしていきます。

防衛省設置法によると、防衛大学校は幹部自衛官となるべき者を教育訓練する機関とされています。文部科学省ではなく防衛省の管轄なので、「大学」ではなく「大学校」という名称なのです。

とは言っても、一般の大学と同じように学部が設置されており、卒業時には学士の学位が与えられます。自衛隊の学校というイメージから、訓練ばっかりしているように思われがちですが、基本的には普通の大学生と同じように勉強しています。それに加えて防衛学と訓練がカリキュラムにあるのが特徴です。

1学年時は共通要員として自衛隊の基本的な訓練を受け、文系理系で分かれて一般教養を広く学びます。2学年に進級する際、陸・海・空の各要員に分けられ、専攻する学科も決定するのです。

防衛大学校の学生は、学生でありながらも国家公務員で、かつ自衛隊員でもあります。したがって、学生手当(要するに給料)をもらいながら学生生活を送っています。

もう一つ一般の大学と大きく違うのは、約2000人の学生が寮で共同生活を送っているところ。「女子もいるの?」ってよく聞かれるのですが、1割くらいいます。

4つの大隊で隊舎が分かれており、大隊の中でも4つの中隊に分かれています。競技会は大隊対抗で行われるので、ハリーポッターのホグワーツをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。

中隊の中で各部屋が振り分けられ、1部屋10人程度で1~4学年が同じ部屋で生活しています。基本的な生活面の教育指導は学生間で行っており、上級生が下級生の面倒を見るという形です。

この学生間指導が防衛大学校の大きな特徴であるとともに、重要な役割を果たしています。将来幹部となったときに行う部下への指導やリーダーシップ、そのために必要な知識や人間性をここで身につけていくのです。まさに幹部になるための実践の場となっています。

私自身はその中で、4学年時には学生の模範となる立場の役職にも就き、学生間指導のあり方や、良き幹部自衛官としての在り方を考え続けてきました。それが今回の企画に繋がっています。

ということで、明日からの本編では、リーダーに必要な能力や資質とは?教育や指導を行う上で大切なこととは?このあたりの話をしていきたいと思います。


余談ですが、学生の日常について知りたい方は以下のマンガがおすすめ。多少は誇張表現などもありますが、概ねこんな感じです。


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