基礎から鍛える量子力学
8/25 8/27に『基礎から鍛える量子力学』という本が発売されます。
実はある事情で、一足先に現物を手に入れることができました。
筆者は慶應義塾大学の松浦壮教授です。
量子力学や相対論が普通の世界になるよう、一般の方に向けてもわかりやすい本を出版したり、市民講座を開いたりされています。
先生の書かれた『量子とはなんだろう』という本のプレゼント企画があり、それに当選したことがきっかけで、Twitter(X)を通して交流するようになりました。
大学時代は遠くになりにけり。
という私ですが、この本がきっかけで「もう一度物理を勉強しよう」と一大決心をし、その過程はnoteにもアップしてきました。
そんなとき。
松浦先生から、この『基礎から鍛える量子力学』の初期の原稿を読んで、理解できるか見てほしい、というお声がけをいただきました。
そのときはちょうど『量子力学10講』(通称『谷村10講』)という谷村省吾先生の書かれた本を読み始めたころでした。
線形代数の知識をもとに量子力学を学ぶので、それ以外のベースになる物理はあまり必要がありません。
そして松浦先生が世に出そうとしているこの本も、線形代数から量子力学にアプローチしていこうというものでした。
当時の私の学力レベルが、ちょうど読者として想定される人と近かったというので、お声がかかったようです。
初期の原稿を読んで、解らないところを遠慮なく指摘してほしい。
そういう依頼でしたので、参考書として勉強するつもりで、ノートに記録しながらコツコツと学びました。
途中、わかりにくい点やわかりやすかった点をいろいろと挙げて先生に送ったところ、初心者が躓きやすいところが見えてきたと、喜んでいただき、えらく恐縮したものです。
その後しばらく本の話は出てこなかったのですが、今年の春あたりに、夏に出版が決まったという連絡が入りました。
校正前の原稿を少し読んだところ、以前はなかった演習問題が随所に挿入されていて、自分の理解度がその都度チェックできるように工夫がされていました。
そして何よりありがたいのは、高校生で微分積分やベクトルを始めたばかりの子でも読めるように、丁寧に書かれているところでした。
それともう一つ画期的な点は、量子力学に入る前に通る、古典力学や解析力学、電磁気学といった前知識がいらないところです。
前出の『谷村10講』も、線形代数を学びながら量子力学を学ぶという内容でした。
『基礎から鍛える量子力学』も同じコンセプトで、かつもっと初心者でも読める内容となっています。
実は、『谷村10講』を読むタイミングで下読みしたことで、両方で知識が補完され、本当に助けられました。
早く本になって、多くの人に届くといいな、と思っていた本が、やっと出来上がったと聞き、自分のことのように嬉しく思いました。
高校数学はわりとイメージしやすいものですが、大学で必要な数学は抽象的なものが多く、両者の溝は案外大きいものです。
理系の人でも、みんながみんな、簡単に飛び越えられるものではありません。
ましてや量子力学を学ぼうとすると、それに必要な数学や物理が多すぎて、独学するのはかなり厳しいものがあります。
でもこの本は、先ほども書いたように、古典力学などを勉強していなくても、線形代数さえわかれば読めるようになっています。
その線形代数も同時に学べるのですから、本当に画期的な本だというのが、素直な感想です。
高校数学と大学数学の橋渡しとしても、とても役立ちます。
もし「量子力学を学びたい」と思われる方がいらしたら、気軽に手に取っていただきたいと思います。
もちろん小説のように読み進めることはできませんが、紙と鉛筆を片手に、ちょっとずつ自分で計算を辿っていけば、量子の世界に触れられるようになります。
大学時代にこの本に出会いたかった。
ということで、お勧めレビューは以上で終わりです。
最後にひとつだけ。
今回お手伝いしたということで、後書きに私の名前(ハンドルネーム)が載っています。
本名を載せたら身バレの可能性もあるだろうと、ご配慮していただいたことにも感謝しています。
多くの人に読んでいただきたくて、久しぶりにnoteに記事を書きました。
量子が当たり前の世界は、もうそこまで来ています。
その先端を体験できるので、ぜひお読みくださいね。
2024/08/22追記
Amazonで8/25に到着予定となっていたので、発売日を8/25と表記していました。
実際の発売日は8/27のようなので、記事を修正しました。