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溶ける週末#1
とある休日、仕事を終えた友人と共に美術展へ向かった。
携帯を封印して、夜の無人島を周るというものだった。
当初は2人で行く予定であったが、いつも遊ぶ友人のカネコくんとサトウくん、最近仲良くなった一回りくらい歳上の友人(師匠とも言える)で行くことになった。
この一回りくらい歳上の友人については今度紹介したいと思う。
横須賀のアメリカ感漂うハンバーガー屋さんで、苦手なピクルスが細かく刻んで入れられたソースのハンバーガーを歩きながら食べ、集合場所へと向かった。
無人島に行く。ということで、船に乗って美術島へ向かった。やはり、海の上を走る船というものはどんなに短い時間でもテンションが上がるものだ。
冷たい風が当たり、手袋を忘れたことを後悔しながら綺麗な夕陽を眺めていた。
10分もしないで島に到着した。
効率の悪い説明を受けつつ、携帯を封印して島を歩き始めた。これもまた効率悪い。団体行動。まるで小学生や中学生の社会科見学のような感覚。
しかし、進むにつれてだんだんと規制も緩くなり、自由行動が取れるようになった。感覚を大切にした美術展だったので、お喋りはしないでくださいと言われていた。絶対に守ってやろうと思っていたが、友人が渡されたライトでふざけるものだからそんなものは守れなかった。
喋ることを奪ったらストレスしか溜まらない友人を連れて来てしまったものだから、結局は楽しい会話をしながら周る美術展になった。これもまあ良いものなのだろう。そもそも、そんなに感覚を大切にするなら集団行動にする必要はなかったはず。と言い聞かせてたくさん喋った。
暗闇のなか、光が美しく現れた作品には惹かれた。
友人とあの角度がいい、この角度がいい。あの落書きは面白い。声が響かない。可愛い。時間がない。といいながら楽しく周ることができた。
その中で、サトウくんが言った言葉が面白かった。
無人島から見るキラキラ光った街を見て、『田舎の島出身だとして、あのキラキラ光る海の向こう側の都会を見た時、どう思うんだろうって考えたら胸が熱くなった。』『やっぱあの街に行きたいって思うんだろうな〜』そんなドラマチックなことを真剣に言えるなんて。と思い、共感はできなかったが同時にいい奴なんだなと思った。
帰りの船は時間が決まっていて、滑り込みで乗ることができた。
北風が強く、水しぶきが船着場を襲っていた。もちろん、風に飛ばされてきた波が体に飛びかかってきた。冷たい、寒い。そして、グラグラと揺れる船。そんな時でも友人たちは楽しそうに揺れたり、必死にカメラを撮ったりしていた。その光景を見て楽しい気持ちと、船酔いにならないか心配な気持ちが交互に来た10分。また普段の陸へと戻ってきた。
美術展が楽しかったのか、船が楽しかったのか、友達と過ごす時間が楽しかったのか。よく分からなかったが、あっという間に過ぎ去る時間だった。
また、週末が溶けるように終わった。