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仕事と恋、そして忘れられない彼との思い出 – 管理職女性の揺れ動く心と人生の選択

あれはずっとずっと前のこと・・・。

私は毎日、満員電車に揺られ、薄暗い朝と真っ暗な夜しか外に出ないような生活を送っていた。人から見たら恵まれた環境。

一流大学を出て、名の知れた会社に入り、順調に出世。今では管理職にまでなった。
お給料も大学時代の友人の中で一番多くもらっている。

でも、何か足りない。
毎日同じことの繰り返し。

恋愛もしばらくしていない。
身も心も枯れていて、このまま同じことを繰り返して一生を終えるのか。なんて思っていた。

あの子がくるまでは。

最初はなんだか冴えない子。あまりコミュニケーションを取りたがらない子と思ってた。
ただそれだけ。部下の一人にすぎなかった。

それがいつしかこんなにも苦しむことになるなんて・・・。

彼は私と2歳しか変わらない。
けれど、彼は転職したてで、役職は私のほうがずい分上だった。

上司からは彼が慣れてないから、「ちゃんと面倒を見るように。」と言われていた。
だから、通常の部下よりも世話をやいていた。
それに、なんというか初対面という気がせず、接していて居心地がよかった。

最初は上司と部下ということもあり、ある一定の距離感はあったのだけれど・・・。
歳が近いこと、仕事に関して同レベルで会話ができることもあり、いつの間にか距離が縮まっていた。

彼もすぐに昇格し、いつしか戦友のような関係に。

仕事帰りに飲みに行くことも増え、気づいたら私の中で彼の存在は戦友の域を超えていた。

でも、家庭のある彼に向ってこちらの好意を伝えるわけにはいかなかったし、何よりこの関係と仕事で築いた地位を崩したくないという気持ちのほうがまさっていた。

自分の気持ちが抑えられず、何度か涙を流したこともある。この歳になってそんな感情が湧いてくるなんて驚愕だ。

彼はどう思っていたのかはわからないが、少なくとも「友人」としては気に入ってもらえていたようだ。もしかして向こうも同じ気持ち?と思ったこともあったけれど、それは考えてはいけないと思っていた。

私の灰色の日々に光をともしてくれた彼には感謝している。

とにかく彼が元気で、幸せでいてくれれて、たまに元気な姿を見せてくれればそれでいい。
ただそれだけ願っていた。

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もう長く会っていないし連絡も取れなくなってしまったけれど、今、彼はどうしているだろうか。
夢では何度か会いにきてくれたけど、一緒に過ごした日々は、現実だったのだろうかと思うことがある。

もうずっとずっと昔の話なのに未だに覚えているなんて困った話。
最後に思い出すのが彼だなんて・・・。

いつしか私の手も皺だらけになってしまった。
今、病室のベッドの上でこれを書いている。

・・・ガラガラ。

「お婆ちゃん、体調、大丈夫?変わりない?」

可愛い孫の声がする・・・。

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Ryoka
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