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福祉事業所の防災訓練②(災害備蓄品の管理)
noteで「#みんなの防災ガイド」というお題の募集が始まりました。そこには、実践している対策や、準備している防災グッズなど、防災についての役立つ情報をぜひ投稿くださいと書いてあります。昨日に続いて、私の社会福祉法人の防災訓練の取り組みやそこで気がついたことを記事にします。
私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営しています。法人の事業所では、毎月、防災訓練を実施します。しかし、ときどき現実的ではない防災訓練をしていることがあります。昨日は、消火器の使い方の訓練について書きました。以前は、利用者の手を取りながら一緒に消火器の使い方の練習をしていました。しかし、消防署の方に「利用者は、逃げることが役割です」と言われ、消火器の訓練を見直しました。
今日は、災害備蓄品の管理方法の見直しを書きます。
東日本大震災のときの反省
東日本大震災のとき、災害備蓄品の管理で失敗をしました。東日本大震災は3月11日でした。年度末が近いということで、3月の防災訓練は災害備蓄品の棚卸をした事業所がありました。その事業所は、賞味期限が近い食材を買い替える前に訓練で食べていました。そのため実際に震災が起きたときは、備蓄品が半分になっていました。
あとで支援者は、本当に地震が来るとは思っていませんでした、と言っていました。私も本当に地震が来るとは思っていませんでした。
何がどこにあるの?
そのとき、災害備蓄品の管理についてはもう一つ反省がありました。何がどこに収納されているかということを把握しているのは、事業所の防災担当者だけでした。どの事業所も担当者が、法人が定めた一覧に基づいて備品を整理整頓をして収納し、食品は賞味期限を確認していました。
東日本大震災が発生したのは金曜日の14時46分です。その時間は午後の活動の最中でした。ある事業所では防災管理担当者が外活動で出かけたまま戻れず、すぐに必要な物を盗り出せませんでした。
また、私は有休をとっている支援者の代わりに現場に入っていました。その事業所の防災担当者は、有休をとっている職員でした。そのため、私は懐中電灯を探すことに苦労しました。どの事業所も、所轄庁より指導されている以上の備蓄品を用意しています。しかし、有事の際にそれを活かせなければ無意味です。それ以降、防災備蓄品の点検方法を変えました。
法人の事業所を使う人たちは、おもに知的障害と呼ばれる人たちです。そのため苦手なことがあります。しかし、それは生活の一部です。得意なことがあります。そこを活かして利用者と支援者全体で災害備蓄品の管理をすることにしました。
賞味期限の確認しています。
どんな食べ物がいくつあるか数えています。
災害時をイメージして乗り越える
利用者の中には、東日本大震災の恐怖を忘れられず、いまだにちょっとした地震で不安になる人がいます。利用者と一緒に備蓄品を確認することで、利用者も災害時のイメージが少しだけ持てるようになりました。
今、地震が起きて利用者が不安になると「大丈夫、地震が来たら髙橋くんとここでカレー食べよう」と話をしながら乗り越えます。
災害備蓄品は、整理整頓をして倉庫にしまう、リュックに物を詰めて置いておく、それだけでは有事に役立たちません。災害時をありありとイメージすることがだいじです。