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人生のステージにあった支援をしよう

noteでフォローしている向後千春先生の記事で紹介された本、ビル・パーキンス『DIE WITH ZERO-人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ダイヤモンド社, 2020)をkindleで読んでいます。

この本では、お金を老後の貯蓄のために使うな、今、そのお金で経験を積み、思い出をたくさん作った方が良い、老後にはその思い出が宝になると伝えています。また、そのためには、終わり、「死」を意識することが大切だと言っています。

私もその通りだと思います。とくに私の仕事では大切な視点です。今日、普通にすごしていた人が翌日に亡くなってしまったということが何度かありました。

後悔のない支援をする

私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人を経営をしています。主たる業務は理事長職です。しかし、直接支援にもたずさわります。私の法人の事業所を利用してくださっている人たちは、主に知的な障がいのある人たちです。しかし、内部疾患があったり薬の服用で免疫力が落ちていて、突然に亡くなることがあります。常に後悔しない支援をしたいと思います。

人生のステージを意識した支援をする

利用者の一人に、私より一つ年上の男性がいます。彼とは30年以上の付き合いです。若いころは、一緒に遊びに行ったり、飲みに行ったりしていました。その彼は、ダウン症という障害を持っています。以前は、ダウン症は短命と言われていました。最近は、医療が進歩したおかげで長命になりました。しかし、老化が顕著です。

ダウン症の人は、そうでない人に比べて老化が早く進みます。実年齢プラス20歳といわれることもあります。そう考えると、私と30年以上の付き合いになる彼は、70代後半の体ということになります。人生の後半です。

また、ダウン症の人の多くは先天的に心臓に疾患があります。彼もその一人です。

私たちが支援をするときは、その人が人生のどのステージにいるかということも意識しなければいけません

できごとの価値は人によってちがう

ある日、ダウン症の彼が、激怒したという報告がありました。支援者は、その日に彼が毎日楽しみにしていることができなかったことが理由だと言いました。また、たいして怒るほどのことではないんですけど…と言い訳をしました。

若い支援者にとっては、明日もできる、それぐらいのできごとかもしれません。しかし、人生の後半に差しかかった彼にとっては、おおごとだったのだと思います。できごとの価値は人によってちがいます

充実した一日にしよう!

『DIE WITH ZERO-人生が豊かになりすぎる究極のルール』の中に、「かけがえのない機会が次第になくなっていく」という一文があります。今日できていることが明日できなくなるかもしれません。

何年か先に達成できるだろうという目標も大切です。そこに向けて試練を積み重ねている利用者がいます。しかし、いろいろな利用者がいて、それよりも今日一日が最高に楽しかった、充実していた、それだけで十分な人もいます。

人生の後半になっても「一人でできるようになった方がいい」そう言われて生きることについて考えなくてはいけません。使いきれないお金の貯蓄が無駄になるように、報われない努力も無駄になります。

私と彼の間には思い出がいっぱいあります。昔の写真を引っ張り出してきて笑っていると、彼は「やめなさいって!」と、突っ込みを入れてケタケタ笑ってくれます。楽しい毎日にしよう!

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