2024年、ちょっとだけ限界を超える
前置き/あいさつ
いったん休むと書き出すのにパワーが必要です。ひさしぶりのnoteになってしまいました。以前、noteを連続で1001日続けて書き、休憩に入りました。しかし、いったん休んでしまうと書こうと思ってもなかなか書けません。2023年は、ほとんど記事が書けずに終わってしまいました。2024年は少しでも多くnoteを書きたい、そう思う新年の始まりです。(新年もあっという間に3日です。)今年もよろしくお願いいたします。
社会福祉法人の存在意義
私は、障がいのある人が利用する社会福祉法人の経営兼、相談支援業務を中心とした直接支援者です。また、社会福祉法人は契約をしている利用者だけではなく、地域の社会資源として地域に貢献することが法律で義務付けられています。私の法人には、専門分野(障害福祉)に関係なく相談者が訪れます。
昨年末、一般的に御用納めと言われている日に緊急の相談がありました。その方は、午前中に役所に相談に行くも解決できず、私の社会福祉法人に相談に来ました。この相談に関することが今日の本題です。また、この相談内容から、日本の福祉施策の弱点が顕著になり、そこを補う機関として民間の社会福祉法人が存在するということを再確認したところです。
相談支援の実際
日本の福祉は、「相談」に力を入れ、相談ができる機関を増やしています。それにより問題の早期発見、早期解決を図るのがねらいです。確かにそのとおりです。相談窓口が増えることにより相談する機会が増えます。しかし、実際の相談窓口は分野ごとに細分化され、各相談窓口が専門的になっています。そのため自分の困りごとが明確でなかったり、複数の問題があり相談窓口が別々になると相談者はどこに相談をして良いか迷います。また、相談するには勇気も力も必要です。相談するだけで疲れてしまいます。相談事業で必要なことは相談者の負担を減らすことです。
仮の事例です。たとえば、50代半ばの男性で、両親が80代、また障がいのある兄弟がいる人が相談をしたいとします。今までは、両親が障がいのある兄弟の面倒をみてきました。しかし、両親が高齢になり兄弟の面倒をみるのが難しくなってきました。そこで兄弟の将来と両親の今後のことで福祉サービスが必要になり相談をすることにしました。
役所に相談に行くと障害福祉の窓口と高齢者福祉の窓口は別々です。さらに、年金や生活保護に関する相談も別々の窓口になります。その都度、番号札を取ってロビーのイスで待たなければいけません。また、サービスを使い始めてからも相談窓口と担当者は別々です。障害分野は「相談支援専門員」、高齢者分野は「ケアマネージャー」です。政策レベルでは「多職種連携」といいます。しかし、現実はうまくいきません。
緊急の相談
昨年末にあった相談は、複数の相談窓口にまたがる事例でした。そのため以前から複数の福祉専門職がかかわっていました。しかし、ある窓口が課題Aの解決が先と判断し、課題Aの解決を優先的に対応していました。しかしその内に課題Bが深刻になり、さらに課題Aと課題Bの相乗効果で新しい課題Cが生まれてしまい緊急事態となりました。
相談者が私の社会福祉法人に相談に来たのは御用納めのお昼前のことでした。それからでは公的機関はどこも対応できませんでした。また、私の法人も課題を解決できるほどの力を持っていません。そこで近隣の社会福祉法人の力を借りました。
この事例においては、ギリギリのところで最悪の事態を回避することができたと思います。実際に回避できたかどうかは本人にしかわかりません。ただし、私は、年末年始、毎日、相談者と連絡を取っています。元気に新年を迎えられたようで安心しているところです。
福祉サービスの弱点
今回の事例では、誰かが間違ったわけではなく、それぞれが自分の適応範囲内で最善のかかわりをしてきました。しかし、深刻な事態になってしまいました。そこが今の福祉施策の弱点です。課題が複数の分野にまたがると機能しなくなります。
今の福祉サービスはパッケージングされた商品です。福祉全体をショッピングモールに例えれば、商品がそれぞれの売り場、階で分かれています。最初から欲しい物がわかっていれば、簡単に商品にたどりつくことができます。しかし、欲しい物が漠然としていたり、どこの売り場に置いてあるのか、何から購入したら良いか迷うと手がつけられません。それぞれの売り場には、商品に詳しいスタッフが揃っています。しかし、他の売り場の商品には疎いのが現状です。今後はコンシェルジュのような人材が必要なのかもしれません。
(ちょっとだけ)限界を超える
しかし、急に制度が変わることはありません。コンシェルジュが増えることもありません。この現状で、社会福祉法人ができることは社会福祉法における社会福祉の専門機関としてそれぞれがちょっとだけ限界をこえることではないでしょうか。既存の福祉サービスで解決できないということは、それぞれが自分の専門領域(地域や資材、人材など)を越えなければ解決できません。
新年の誓いほどではありません。ただ、自分の専門外だからとか自分は忙しいからというのではなく、少しだけそれを超えてみる、「なんとかしたい」そう思ったならば動きたいと思います。心の命ずるままに…。